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制度設計をする時には、それを導入してやめた後の影響も検討すべし

2020-05-29

制度設計をする時には、それを導入してやめた後の影響も検討すべし

ご褒美を与えることで、人の行動はどのように変わるのか?

突然だが、ある有名な行動実験の結果について一緒に考えてもらいたい。

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◇とある幼稚園の園児をA、B、Cの3チームに分けて、それぞれの子供たちにマーカーペンを渡した。
・ Aチームの子供には、上手な絵をかけたらご褒美をあげると伝え、実際にご褒美として飴を与えた
・ Bチームの子供には、ご褒美のことは伝えず、絵を描いた後に飴を与えた
・ Cチームの子供には、何も伝えず、飴も与えなかった

Q1.さて、A、B、Cそれぞれのチームで最も長くマーカーペンで遊んだチームはどのチームだろう?

◇数週間後、再度同じ子供たちにマーカーペンを渡した。しかし、今度はご褒美を与えなかった。

Q2.子供たちは前回と同じようにマーカーペンで遊んだだろうか?
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この実験の結果は下記の通りである、
Q1.最も長くマーカーペンでお絵かきを楽しんだのはAチームであった
Q2.B、Cチームは前回同様お絵かきを楽しんだが、Aチームの子供たちは全く興味を示さなかった

想像通りの結果だったであろうか?最もお絵かきを楽しんでいたはずのAチームの子供たちが、絵を描くことに興味すら示さなくなったというのはかなり意外だったのではないだろうか。

一度与えたご褒美を無くすと、与える前よりモチベーションを下げてしまう

この実験結果は、一般的には「アンダーマイニング効果」として知られている。アンダーマイニング効果とは、「内発的に動機づけられた行為に対し、報酬などの外発的動機を与えてしまうと、かえってモチベーションの低下を招いてしまう」という効果のことである。

つまり、一度でも行動と紐づけて報酬を与えてしまうと、本人が自覚しなくても、行動の目的が「やりたいからやる!」ではなく、「ご褒美が欲しいからやる!」に変化してしまうのである。良かれと思ってご褒美を与えてしまうと、そのご褒美が無い場合に途端にモチベーションが下がってしまう、なんとも恐ろしい効果である。

制度設計においても導入時の効果だけでなく、導入後、撤廃した場合の影響も検討すべし

私がここで言いたいのは、「社員の行動変革を促すためには、ご褒美(インセンティブや賞与など)といった外発的動機づけよりも、内発的動機付け(意味づけやエンゲージメントなど)を高める工夫をしなければならない」ということではない。社員の行動変革に向けて、外発的動機づけを行う場合には、それが無くなった時の影響まで検討する必要があるということだ。

言われてみればその通りなのだが、実際の企業では、そこまで考えられていることは少ない。

◇例1)社員の自発的な行動を促すために、成果報酬的な評価報酬制度への改革を検討しており、どのような制度にすべきか、ということは深く検討されているが、仮に上手くいかず制度を元に戻した場合、社員の行動にどのような影響を及ぼすかについては検討しきれていなかった

◇例2)経営計画で掲げられている重点商品の販売強化のために一時的にインセンティブの導入を検討しており、インセンティブをどれくらいに設定すべきか検討されていたものの、そのインセンティブを無くした場合の影響までは検討しきれていなかった

制度設計を行う上では一歩引いて、「導入後、仮に撤廃することになったらどのような影響があるだろう」といったことまで考慮すると、深い検討が出来るのではないだろうか。

MAVIS PARTNERS アソシエイト 渡邊悠太

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