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日本酒の楽しみ方~事業環境の生態系を分析する視点を持つ~

2020-10-30

日本酒など身近なところで生態系を考えてみる

「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」をご存じだろうか。最近、日本酒のラベルに書かれていることに気づき、調べてみると、この賞は2011年より始まり、今年はもう10回目とのことで、2020年は、259社897点もエントリーしたそうだ。結果が気になる方は、賞で検索してみてほしい。一昔前、日本酒は中高年の男性が消費者のメインであったが、昨今は女性、若年層、外国人にもファンを広げていて、こういった層が飲む日本酒の新たなジャンルが確立されてきている。ストイックな辛口のキリッとした日本酒がある一方、甘くてフルーティーな日本酒もあり、それぞれのジャンルで消費者層が違い、棲み分けているようである。なお、甘くてフルーティーな日本酒、とても飲みやすいのだが、アルコール度数は意外と高めなので、気をつけてほしい。
また、別の機会に森を歩いていたところ、鳥がいたが、人がかなり近づいても怖がらずに飛んでいかない。一方、別の鳥が近づいてくると縄張りを主張しているのか、大きな声を出し、羽もバタバタしていた。鳥は、自分に影響を及ぼさず自分の縄張りを荒らさないと判断した人間と、競合となる同類の鳥とを見分けて、行動を変えているのである。コロナ禍でアウトドアやキャンプが流行っているようであるが、森に行く機会があれば、生態系を観察してみるのも面白いのでお薦めである。個人的には、枯れ木に生息する粘菌の観察にはまっている。
生態系は、あらゆるところで営まれており、お互い干渉せず棲み分けていたり、競っていたり、何気ない日常の中にも、それぞれの生き方が垣間見れる。

自然界と同じく、事業環境で企業も命をもって生きている

このところ、クライアントの事業計画を作る仕事をしている。事業環境、競争環境、自社能力の3C分析から、勝ち筋となるKSF(Key Success Factor、重要成功要因)を見極め、KSFとのFIT、GAPから戦略ストーリーを作る。そのプロセスの中で、競合企業や様々なステークホルダーの利害を見ていく。このときに、入手した情報から、ただ単に分析していくのではなく、サプライチェーン、競合企業等のそれぞれの立場になって考えないと、本当の姿は見えてこない。事業という生態系で、サプライヤー、製造委託先、取引先、競合企業などが、それぞれ命があり、淘汰されないよう競ったり、共存したりして真剣勝負で生きているのである。現場のリアルな状況を思い浮かべ、各企業が、どのような思いで事業を営んでいるのか、どの要素が彼らの生き死にを左右するのかを考えた上で戦略を考えていく。

他のプレイヤーの立場で考えることにより、強固なビジネスモデルを築くことができる

事業戦略を考えるときにプレイヤーを表層的なコマとして捉えてしまうことがあると思うが、事業の中で、それぞれが魂を持っていて、生きるために日々、事業を営んでいることを思い描いてほしい。彼らの立場になって、どのような環境、仕組み、商品・サービスを整えれば共存できて、攻められにくくなるか、ライバルを減らすことができるかを考えることで、壊されにくいビジネスモデルを構築することができる。現場視点を持ち、各プレイヤーの立場で考えてみることで、より本質に近づいて理解し、敵は最小限で、共存共栄できる道を探ることができるのではないか。
ちなみに、冒頭の話題に立ち返るが、新ジャンルとして、アウトドア用日本酒を開発している企業もあるようである。他の日本酒と棲み分けて、アウトドアの流行に乗り、流通経路も他の日本酒と変えていくのであろう。
お酒を飲みながら、あれこれ考えてみるのも一興である。

MAVIS PARTNERS アソシエイト 竹森久美子

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