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想いだけで事業は創れないが、“想い”なしでは始まらない

2021-01-01

想いだけで事業は創れないが、“想い”なしでは始まらない

あなたが仕事に込める“想い”はなんですか?

皆さんは法人営業の経験はあるだろうか?私は、過去リース会社に在籍していたときに、法人営業をしていた。ただ、大企業のブランドと某銀行の力もあり、ある程度の顧客基盤は既に築けていた中での営業だった。ルーティンの中で見積もりや契約業務をこなし、大きな案件があれば、その審査が通るよう膨大な稟議を書くといった、業務の中で、自分個人の想いを顧客に対して、全面に出すことはなかったように思う。
しかし、今在籍しているMAVIS PARTNERSは、設立から1年数か月の何の後ろ盾もないM&Aコンサルティング会社だ。その会社の営業活動を、最近自分も担い始めるようになった。営業を始めたばかりのときの訪問では、自分に自信が持てず、変に当社代表の実績を持ち出し、会社紹介をしていた気がする。しかしそうすると、「この人はただの社長の代わりに営業している人なんだな」という印象を持たれ、この人に相談してみよう、とは思ってもらえない。結果、次回の訪問のアポイント獲得まで至らないことが続いた。
そして何かを変えないといけないと思った。そして、会社紹介の後に、自己紹介ページを入れることにした。それから、潮目が変わり始めた。自己紹介ページでは、自分の経歴を紹介する際に、自然と「なぜ自分がM&Aコンサルの仕事をしているか」に話がつながり、自分の仕事に対する想いを伝えることができた。営業に来て、初っ端から自己紹介をする人は少ないらしく、そこで面白がっていただき、相談してみようかなと思っていただいたのか、少しずつアポイント獲得率が良くなってきている。

“想い”への共感がビジネスの始まり

最近、あるクライアント先で、過去のM&Aや新規事業の振り返りをすることがあった。その会社には、カリスマ的な創業者がいた。そして、既存コア事業の次の柱を、ということで、過去、創業者発信でさまざまな事業にチャレンジしてきた。まさに、創業者の想いで事業が立ち上がり、その想いに共感した人々が仲間に加わっていった。一部の事業は一定の規模まで大きくなったものの、あることがきっかけで、軌道に乗っていたと思われる事業もとん挫した。それは、創業者の死だった。
当時の新規事業立ち上げの資料などを見ても、精緻に事業分析がされた形跡はなく、創業者の想いありきだったと言わざるを得ない。周りの社員も、もし反対意見があっても言えるような状況ではなかったし、「上手くいかない」と言ったとしても、「初めからそんなこと言ってどうするんだ、成功させるんだ」と言われただろうと。
M&Aでも、事業部の「やりたい」という想いが強くて、管理部門がけん制しきれず、押し通されてしまうというケースもあるだろう。後から振り返って、あのときこうすべきだった、ああすべきだったと言うことはできる。
しかし、こういう見方もある。「やりたい」「やるべき」という想いがなければ、その事業の検討さえ始まらない。自分から手を挙げて「やりたい」「やるんだ」と想いを発信することは、それなりに勇気がいることだ。そういった人間が社内にいるのであれば、そういった人は大事にしたほうがいい。

事業やM&Aを成功させるには、“想い”をいかに継続させるか

では、最初に立ち上げた人の“想い”だけで事業が成功し、継続できるか、というとそうも思わない。やはり社長だけが熱い想いを持っていて、他の社員は「言われたことをやります」では成り立たない。いかに、その事業にかかわる人たちを当事者にせるか。想いを伝え続ける、クレドカードを作る、金銭的インセンティブを与える、色々な施策があると思うし、その会社の風土、関わる人の性格によって効果のある方法は違うと思う。
最後に、あるコンサルティング会社の取り組み例を挙げたい。その会社では、年2回ほど全社員集まって議論する会を2日間に亘って開催する。その中では社長や経営幹部からの話、プロジェクトの事例紹介に加え、この会社がどうあるべきか、について全社員で議論する時間があったりする。私もその会に少しだけ参加したことがあるが、外様である自分にとっては、何でこんなこと議論しているんだろうとその時は感じた。しかし、今振り返ってみれば、その会社も、元々の創業者依存の経営から脱し、新体制に移行としている過渡期であった。創業者依存から脱し、各々が当事者として会社や事業に向き合うための仕掛けが必要だったのかもしれない。当社もいつかはそんな課題にぶつかるのかもしれない。あなたの組織はいかがだろうか。

MAVIS PARTNERS マネージャー 井上舞香

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