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M&Aにおいて、リモートPMIは可能か?

2020-09-11

コロナで見えたリモートの可能性

コロナがもたらした「ニューノーマル」は、コンサルティングの在り方にも変化をもたらした。コロナ前のコンサルティングの仕事では、基本的には週1~2回程度クライアント先のオフィスで、印刷した資料をもとに、ディスカッションするというものだった。特に、当社の特徴である「共創型」(=クライアントとコンサルタントが共にアウトプットを作り上げていくスタイル)においては、複数人が同じ会議室に集まり、付箋やホワイトボードを使い、ときには意見をぶつからせ・・という光景が日常であった。
しかし、アフターコロナにおいては、特別な事情がない限り、クライアントとの打合せもWeb会議が普通となった。ただ、基本的にはプロジェクト自体は滞りなく進んでいる。むしろWeb会議のほうが優れている点もあると感じる。

  • 全員同じ画面を見るので、同じモノを見て話すことができる
  • Zoomだと、ブレイクアウトセッションという機能があり、グループ討議が可能
  • Webミーティングだと、個別メンバーが勝手に話し始めて脱線することが少ないため、問いさえ明確であれば、議論が進む
  • 遠方から参加するメンバーが疎外感を感じることがない(過去は遠方メンバーだけWeb参加で、他は対面というミーティングもあったが、あまりうまくいかなかった)       等々・・

上記のようなことも実感し、今では何の抵抗感もなくWeb会議でファシリテーションをしているわけだが、それであれば、PMIも同様に、ある程度はリモートで事足りるのではなかろうか。

リモートでも信頼関係は築けるか

リモートでの一番の懸念は、やはりWeb会議で信頼関係を築けるか、ということだろう。直近のプロジェクトでは、リーダークラスの方を含め、4か月程度ずっとオンラインでしか会っていなかったが、信頼関係を築くことはできたと思っている。

1つ言えることは、対面だろうが、リモートだろうが、やることは変わらない、ということだ。自分としては、「クライアントファースト」で、常に期待値を超えたい、喜んでほしい、メンバーに新たな気付きを得てほしい、そういったことを思いながら仕事をしているが、それは対面でも、リモートでも変わらない。その仕事ぶりを見ていただいて、「こいつは信頼できるな」と思って頂いたのだと思う。従って、PMIにおいてもそれは変わらないのではなかろうか。

もう一つ信頼関係構築につながった点を挙げるとすれば、リモートの副次的効果として、移動時間を気にせず気軽に会議をセットできる、会議の頻度が高まったということだ。PJリーダーとは、定例会前に事前打合せをしたり、事後の振り返りをしたりと、かなり頻度高く打合せを行ったと思う。「ザイオンス効果」というらしいが、会う時間が長いよりも、会う回数が多いほど、親密さが増すらしい。結論、リモートでもやりようによっては、信頼関係は築ける、というのが自分の経験から言えることである。

それでもリアルでないと駄目なこと

では、PMIにおいて現地で行う必要があることは何だろうか。持論ではあるが、PMIの活動のうち、「文化の共有」と「ガバナンスの構築」は実行段階では現地で親会社側の人間が動かないといけないと考える。

「文化の共有」は、お互いの理念や行動規範などを紹介したり、イメージビデオを共有するなどはリモートでも可能である。しかし、リモートだと、実際の人となり、仕事のやり方や、働き方は見えにくい。ある企業のPMIに関するヒアリングを行った際に、相互に出向者を受け入れ、その出向者が戻ってきたときにはじめて文化の融合がなされた、とおっしゃっていたことが印象的だった。DDだけでは見えてこない、その企業に働く人とその仕事のやり方を生身で感じてこそ、感じられるものがあると思っている。

「ガバナンスの構築」においては、やはりリモートの場合、一番怖いのは、現場で情報をごまかしたり、隠していたりしても気づきにくいということだ。従って、クロージング後早期に、重要な情報(特に悪い情報)が親会社にちゃんと報告されるようなガバナンスを設計・構築すべきであり、これは現地での確認作業が必要となるだろう。

PMI全ての工程をリモートだけで行えるとは思っていないが、これまでの既成概念に囚われず、PMIの在り方も世の中の変化に応じて変える必要があるのかもしれない。

MAVIS PARTNERS マネージャー 井上舞香

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