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いくら文章を書いても、読み手にとって価値がなければ無意味

2020-05-08

自分の伝えたいこと≠読み手が知りたいこと

今年の2月から、私はm&a onlineで連載を始めた。テーマはマイノリティ出資におけるPMI。2週間ごとに、1500~2000字。1500字というと、このコラムくらいの長さなので、そう大した量ではない。しかし、書き始めると、色々なことを伝えたくなってしまい、気付けば知らないうちに3000字を超してしまっていた。そして試行錯誤して削っているうちに、締め切りが近づいてくる。ギリギリになって、上司に見せると、「この記事で、読み手に何を一番覚えてほしい?」と指摘を受けた。そして、「ある編集者から聞いたことだけど、部課長くらいの人たちが朝読んで、仕事場で得意気に話せるくらいのネタがちょうどいいらしいよ」ということだった。

そのときに、私は「自分の伝えたいこと」を書いていたことに気が付いた。当然、その記事を読んだ人に役立つものを、と考えてはいたが、具体的な読み手のその後の行動にまでは、思考が至っていなかったのだ。

全ての文章には読み手が存在する

それは通常のコンサルタントの業務でも同じことだ。提案書や会議資料、最終報告書など、全ての文章(=アウトプット)には読み手が存在する。そして、アウトプットを作る前には、読み手が誰なのか、その資料で何を感じてほしいのか、読み手がどのようにその資料を使うのか、を想定する必要がある。

しかしこれはコンサルタントの業務に限らず、みなさんが仕事で文章を書く際でも同じなのではないだろうか。程度の差はあれ、稟議資料、報告資料、日々の日報資料も然りだ。

上記のことを無意識に行っている方もいると思うが、もし、自分の文章が相手に伝わりにくい、と感じている方がいれば、
まずは、
①「その文章の読み手は誰なのか」
②「その人は何に関心があるのか」
③「その文章を読んで何をしてほしいのか」
を、PCに向かう前に考えてみて頂きたい。

以下は、私がある提案書を作成した際の例である。
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①「提案書の読み手は、ある中小企業の社長」。ただし、“裏の読み手”は「パートナー候補のオーナー社長」
②「あるパートナー候補のオーナー社長に、M&Aを持ち掛けたいと考えているが、オーナー社長はM&Aリテラシーが低いので、どうやって持ち掛けたら、警戒心を持たれずに話に乗ってきてくれるのかを考えている。そして、MAVISはそれをちゃんとサポートしうるのかに関心がある」
③「MAVISに頼めば上手くいきそうだと思ってもらい、提案に対してGoサインを出して頂く」
——–

実は、この設定をちゃんと行わずに、最初、とても細かい成果物イメージを作成してしまったのだが、上記を設定し直し、そのままオーナー社長に持っていけるような資料(=視覚的にシンプルに分かる資料)を作成した。結果的には、相手の社長のニーズにマッチし、提案を通すことができたと思っている。

ちなみに、①で“裏の読み手”という言葉を出したが、これは必ずしも、読み手が直接対面する人だけとは限らない、ということだ。特に、社内資料は、直属の上司から、他部署、さらに上の役員など、色々な人が目にする機会が多いだろう。全ての人の利害をカバーする必要はないかもしれないが、決裁上のキーパーソンの興味関心は事前にリサーチしておくと、より効果的なアウトプットが作成できるだろう。

読み手にとっての価値を考えるのに必要なものとは?

しかし、コンサルタントでも、資料を作成する前にこういうことを考えないといけないよ、と言っても、中々的を得た資料を作れない人もいる。作れる人と作れない人の違いが何かを考えたときに感じるのは、「アウトプット(=自分の仕事)に対するプライド・覚悟」があるかないかだと思う。その場しのぎで作ったり、最後は誰かがどうにかしてくれる、と思っていると、中々読み手に刺さるアウトプットは出せない。相手に関心を持つこと、相手が何に困っているのか、何を考えているのかを真摯に考えること、これを愚直に日々やり続けることで、相手も考えついていなかったようなニーズに辿り着けたり、解決策を提示することにつながるのではないだろうか。

MAVIS PARTNERS マネージャー 井上舞香

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