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組織風土を変革するためのアプローチ(診断型組織開発と対話型組織開発)

2021-07-16

どんな会社でも課題として挙げられる“組織風土の変革”

昨今、SDGsやESG投資が浸透してきており、投資家をはじめとするステークホルダーは、企業に対して目先の短期的利益だけではなく、中長期の社会的価値の実現を(これまで以上に)求めるようになっている。そうしたステークホルダーのニーズの変化をいち早くキャッチした企業は、中長期のビジョンを示し、事業価値と社会価値の両立を目指した経営を謳い始めている。例えば、トヨタは「自動車会社ではなく、我々はモビリティカンパニーだ」と宣言し、ビジネスモデルの変革に向けた取り組みを加速しているし、ユニクロは「ライフウェア」というキーワードを掲げ、服のチカラで未来を変えるべくサステナブル経営へと舵を切った。
さて、こうしたビジネスモデルの変革や企業のビジョンの実現に向けて、必ずと言ってよいほど課題に挙げられるものとして“組織風土の変革”がある。今回は、一般的に言われる組織風土変革のアプローチについてご紹介したい。

組織風土を変える外側と内側からのアプローチ

組織風土の変革に対するアプローチは、外側からのアプローチと内側からのアプローチの大きく2つに分けられる。外側からのアプローチは、組織構造の再編やシステムの再構築など、いわゆるハード面を作り変えることで半ば強制的に行動変化を促し、組織風土を変革しようとする手法だ。一方、内側からのアプローチはソフト面の変革を促す手法で、人材開発と組織開発に大別される。人材開発は文字通り、OJTやOff-JTで個々人のスキルや知識をアップグレードさせ、自発的に学習をしていく組織に変えようとする手法である。対して組織開発は、組織に属する人と人の関係性の改善を行うことで挑戦しやすい風土の形成や縦割り文化の解消等を目指す手法である。
外側からのアプローチはそう何度も行えるものではなく、一度実行されるとしばらくはその状態が維持されるような性質のものである一方、内側からのアプローチは何度も何度も繰り返し行う・継続して取り組み続けることでじわじわと効果を発揮するような性質のものである。
特に、組織開発は近年非常に多くの企業で取り組まれているが、アカデミックの世界では「よき組織開発は人材開発とともにあり、よき人材開発は組織開発とともにある」と言われており、どちらかだけ注力するのではなく、セットで考えて実行するべきと言われている。
そうはいっても、組織開発と言われても何に取り組めばいいのかわからない、と思われる方もいるのではないだろうか。そこで、組織開発をさらに2つのアプローチに大別し、それぞれのポイントについてご紹介する。

組織開発をうまく進めるためのポイント

組織開発は一般的に、診断型組織開発と対話型組織開発に分けられる。診断型組織開発とは、「組織には客観的に望ましい目指す姿がある」という前提のもと、その姿との差分を従業員満足度調査やエンゲージメント調査などで定量的に測り、組織の課題を見つける手法である。一方で、対話型組織開発は、人によって望ましい姿は違うという前提のもと、対話によってメンバー間の認識の齟齬や物事の捉え方の違いを認識させることで個々人の行動変革を促す手法である。診断型組織開発は、客観的かつ科学的に組織課題を抽出できるため理解・納得がしやすい反面、調査・分析によって組織を診断する側と、診断され変革に向けたとりくみをやらされる側に分断されやすい。そのため、診断結果から組織の課題を抽出し、課題解決に向けて何に取り組むかを部門ごとに決定させて当事者意識を持ってもらうなどの工夫が必要である。対話型組織開発は、上手くいけば異なる考え方を許容しダイバーシティを実現できる可能性がある反面、みんなそれぞれバラバラで良いと曲解され、逆に組織としての一体感を損ないかねない手法でもある。そのため、あらゆる見方を共有した後に、組織としての核となる考え方を定めるといった工夫も必要である。
このように、組織開発にも様々な施策があるが、それぞれ一長一短あるため、両方をうまく使い分けながら多面的に取り組んでいく必要がある。

MAVIS PARTNERS マネージャー 渡邊悠太

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