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合理的な期待値コントロールは自分だけでなく他人も救う

2021-07-09

日々の仕事でも期待値コントロールを間違えることが多々ある

よくコンサルタントの仕事では、期待値コントロールが重要と言われる。
これは私の経験だが、PJでクライアントと接していると、クライアントに好かれようと思って、自分から実現が非常に難しい成果物や納期を設定してしまいそうになることがある。ただし言うまでもなく、これは後々になって自分の首をしめることになり、最悪の場合、達成できずにクライアントの信頼を損なうことになる。
期待値コントロールが重要ということは、対クライアントだけでなく、対内部にも同じことが言えるのではないかと最近感じている。
世の中の多くの仕事では、上司から何かしらの指示を受けて、それを完遂することが求められると思うが、「上司をなるべく安心させたい」とか「仕事が遅いと思われたくない」など様々な理由で、過剰な量の仕事を受けたり、到底無理な納期を設定したりして、結局それが完遂できなかった経験は無いだろうか。

期待値を下回ったという事実は自分が思っている以上に相手を不愉快にする

私はSNS上で広告が流れている漫画が気になって、購入してしまうことがよくあったのだが、読んでみると全然おもしろくなくて、失望したことは少なくない。そして最近では、そういった経験から、広告の漫画はあまり買わないようにしている。実際のデータは知らないが、面白そうな部分だけ切り出して広告を打つことは、短期的な顧客の獲得にはつながっても、いわゆるLTVを損なうことになるのではないかと思った(もちろんそういった戦略を取っている可能性はある)。
仕事における期待値コントロールも同じだと思っている。期待値を上げて、一時的な好印象を受けることがあったとしても、それを裏切った瞬間に、相手の自分に対する印象は悪化し、その後重要な仕事や難易度の高い仕事は頼まれなくなる。
しかも、自分が想定している以上に相手は不愉快に思っている可能性がある。自分が最初に伝えた期待値をベースに次のアクションを考え、それに向けて準備をしている可能性があるためだ。

自分が実際に期待を裏切られたときその代償の大きさに気づいた

これまで多くの場合、クライアントや上司から「XXしてほしい」というように仕事を頼まれるという立場のことが多かったのだが、最近MAVISのトレーニーを中心に、自分から仕事をお願いする機会が増えた。そんな中、次のような出来事が起きた。
ある日あるトレーニーに仕事を頼んだところ、「分かりました。明日出勤するので、夕方までにXXを送ります」と返信が来た。しかし、そのトレーニーから夕方になって届いた成果物は、想定をはるかに下回るものだった。特にそれによって自身の業務やPJ全体の進行に支障が生じるわけではないので、困るということはなかったのだが、それ以降そのトレーニーに頼んだ仕事は期日通りに来ないものと考えようと思った。本人にその気は無かったと思うが、嘘をつかれたような気持ちになり、非常に残念に感じた。
振り返ってみると、似たようなことを自分も上司に対してしたことがあったと思い、非常に後悔した。「期待値を上げすぎると、こんなにも他人の信頼を失うのか」と。

M&Aの社内稟議でも高すぎる期待値の設定はろくな結果をもたらさない

とあるPJで、クライアントの過去M&A案件について振り返り、そこから今後に向けた教訓を抽出しようとしたことがあった。
そのクライアントの社内では、対象企業や業界の第三者的な調査を十分に行わないまま、買うことありきで、シナジーを過度に積み増し、非常に高い期待値を役員陣に示していたという。その結果、過去のM&Aの多くは減損を出すなど失敗に終わっているため、そのような過度なシナジー積み増しを行わないための仕組み構築が課題であると明らかになった。
M&Aにおいても、期待値を上げすぎず、合理的な検討を行うことが重要だと思った。たとえ案件が白紙になって役員や起案部署の機嫌を損ねたとしても、中長期的に考えれば、合理的な期待値の設定は会社の財産や人を救う結果につながるのではないだろうか。

MAVIS PARTNERS アソシエイト 井田倫宏

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