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カーナビ通りの運転はつまらない

2024-03-29

カーナビ通りの運転はつまらない

東京の道は難しい

昨年車を購入し、それからの週末はほぼ毎日ドライブに出かけている。
大きな幹線道路や、都会の道の運転に慣れているわけではなかったので、当初は緊張しながら運転していたのだが、その緊張の原因は大きく3つに分けられるような気がしている。
1つ目は、「眼の前の状況にどう対応すべきか迷う」ということ。例えば、混雑する幹線道路や高速道路で車線変更をするときに、どのタイミングで割り込むべきかというのは、慣れていないと結構迷う。他にも、狭い道等での対向車との道の譲り合いとかも、その場その場での判断が必要になる。
2つ目は、「少し先の未来まで予測していないと遠回りしてしまう」ということ。都会の道では本当にこれが重要だと思っている。例えば、陸橋や地下道という形で大きな道同士が立体交差しているところがある。そのような場合、右折するのであれば車線は一番左側をキープして側道に出ないといけないのだが、そういった少し先の未来を見通して運転するのは多少慣れていないと難しい。
3つ目は、「目的地までの道のりがざっくり頭に無いと道を間違いやすい」ということ。東京の道は下道だけでも複雑だが、そこに首都高が加わることでカオスになっている。その全体像がある程度頭に入っていないと、どこへ行くにしても、カーナビに常に目を配りながら運転しないといけなくなるが、道を覚えてくると、ある程度自分で道を判断して運転できるようになる。

プロジェクト運営にも通じる部分がある

上記の3つの話とプロジェクト運営を重ねてみると、結構通じる部分があると思う。
1つ目の話は、会議でのファシリテーションとリンクすると思う。常にその場その場の状況に応じて、問いかけ方や情報の整理が必要になってくる。
2つ目の話は、会議設計やデータリクエスト等幅広いタスクとリンクすると思う。次回の会議でここまで議論しておけば次の次の会議でこの論点に対応できるなとか、今後の分析内容を考えるとこのデータを早めにもらっておいたほうが良いなとか、プロジェクトを遂行していく中では、常に少し先の未来を見据えている。
3つ目の話は、プロジェクト全体の設計にリンクすると思う。そもそもクライアントは我々に何を期待していて、どんなアウトプットを出せば期待値を超えることができるのか?どんな進め方をすれば関係者の合意を得ながら進められるだろうか?そんなことを考えてプロジェクト全体を設計し、進めていくことが求められる。
上記3つの中でも、3つ目の”全体視点”の部分で、最近感じることがあるので、そのことを以下で書きたい。

「間違っていない」ではなく「楽しい」じゃないといけない

運転していて思うのが、「カーナビの盲信は厳禁」ということ。ある程度道路状況について分かってくると、カーナビを見て「この時間帯にこの道を通るのは、明らかに遠回り」とか「この脇道を通った方が近道」とか気づくようになってくる。
プロジェクトでも、過去に経験があったり世の中に知見が転がっていたりするようなテーマであれば、最初はその経験や知見を拠り所にプロジェクト全体の進行を考えるが、クライアントと議論していく中で、先方の反応やリサーチ状況を踏まえてやり方をカスタマイズし、より効率的なやり方を模索することが多いと思っている。
一方で、「カーナビの示している道は確かに最短だが、こっちの道を通った方が景色を楽しめる」といった、「楽しさ」を優先した選択をすることも多くなってくる。
これは、プロジェクトでもそうで、教科書通り・過去の焼き回しでは無く、常にクライアントに驚きを感じてもらったり、興味を示してもらったりしなければ、我々コンサルタントの価値も低くなる。私自身もまだまだこの点については、追求していく必要があるなと思っているが、最近になってこの「楽しさ」の追求が重要だなと常々感じている。そうでないと、クライアントも我々も疲弊してしまう。

何をしたら「楽しい」のか

何が「楽しい」のかというのは、個人の主観に依る部分が大きくて、車の運転の場合、例えば自分だったら「湾岸エリアは景色が良くて楽しい」とか、「首都高は分岐が多くて大変だけど逆にそれがハラハラ感があって楽しい」とかいくつか出てくるが、人によって意見は千差万別だろう。
プロジェクト運営の場合はどうだろう。やはりこれもクライアントや、そのときの検討テーマによって大きく変わる。
クライアントが考えていること・感じていることの解像度を高くして可視化することが興味・関心・気付きにつながるのか、クライアントが全く見えていない状況や情報をどんどんリサーチして伝えていくのが良いのか。これからも様々なクライアントのご支援をし、様々な課題に取り組んでいくことになると思うが、常にどうやったら「楽しい」と感じてもらえるのか?は意識しないといけない。

MAVIS PARTNERS アソシエイト 井田倫宏

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