4.プリンシパル

印刷

「読み」できてますか?

2023-02-03

「読み」できてますか?

経験は想う数でもある

「なーんかズレてない?」
社内でメンバーに対して、こんなフィードバックをしてしまう機会がある。決して考えたことがダメとか間違っているということではなく、言葉通り、ズレてるのだ。そう言うと、あまりしっくり来てないような反応があるので、私がもっと咀嚼して伝えてあげなければいけないのだろう。ただ、その“ズレ”を言語化するのが難しいのも事実で、そこにもどかしさを感じることが多い。
敢えて説明するならば、事実誤認していたとか、数値がミスしていたとか、調べた情報が間違っていたとか、そういう話ではなくて、クライアントは何に困っていて、何を欲しているのか、そこの「読み」がズレて無いですか?ということ。
コンサルとして経験を積むと、分析力が上がるとか、示唆抽出力が上がるとか、クライアントとのディスカッションが上手くなるとか、そういうスキルが向上するには違いないと思うが、経験を積むことで得られるのは、実は、そういった表層的スキルではなく、相手を慮る癖なんじゃないかと思ったりする。あの人はこう言っていたなとか、こういう反応していたなとか、バックグラウンドはこうだよなとか、参考になる情報を全て使って、一体何に1番困っていて、何をしてあげたら価値になるのか、と本気で考える。そういった相手を想う数が増えれば、「読み」の精度が高まり、“ズレ”は無くなってくるのかなと思う。

勝負は手を動かす前に決まっている

採用面接でよく聞かれるのが、「どれぐらい忙しいですか?」という質問。“忙しい”の定義にも依るし、人によっても感じる度合いが違うので、答えに窮する。結果、「うーん、ケースバイケースですね」といった、つまらない回答しか出来ない。ただ、一般的に、コンサルの忙しいイメージは、深夜までひたすらPCに向かって作業している姿のようだ。でも、実はそうでもない。
私の場合は、振り返ると、「読み」をすることに1番時間と頭を使っているように思う。PCの前に座らず、なんだったら、ソファでゴロゴロしながら、TVを見ながらぼーっと考えたりする。(それを見た家族からは、暇だと思われているのだろうが…)
私は、こういう思想する時間が仕事では大事だと思う。「あのクライアントは、ここが困っていて、これをしてあげれば喜ぶに違いない!」という、具体的且つ明確な「読み」が出来たら、仕事の大半は終わったに等しい。
後は粛々と、その「読み」に従って、調査・分析・資料作成・会議準備をすればいい。「読み」があるから、検討がブレない。手戻りしない。優先度がつけられる。仮に、クライアントとの議論を経て、「読み」が間違っていると思えば、修正すればいいだけなので、やはり、初期的「読み」は重要であり必須だ。クライアントに刺さるかどうかは、実は手を動かす前に既に決まってしまっているのだ。

せめて仕事では人に関心を持とう

「読み」の精度を上げるには、相手を想う数を増やすこととは言ったが、いつまで経っても、「読み」が浅い人はいるものだ。一応は、想像力を働かせて考えているようだが、それが実に浅い。そして、浅い「読み」のまま、調査や分析等の手作業に入ってしまい、頑張って時間をかけて成果物を作っても、“ズレ”が発生して、上長からは叱咤され、クライアントからも認められない。そして、評価をされずに業界を去っていく。過去周りで辞めていった同僚を思い返すと、そういうパターンも多かったなぁと思う。
そういう人の特徴は、人に対して無関心だと思う。「私、あまり人に興味ないんですよね」と自分から言う人がたまにいるが、少なくとも対人商売は合ってない。人に関心が持てないと、その人の特徴に気づけない。言動はもちろん、さりげない仕草や、顔色の変化、声のトーン、そういった情報からいかに、精度高い「読み」をするか。そこで仕事の質に差が出る。私も、プライベートでは、他人にあまり関心が無い方だと思うが、仕事では関心を持つようにしている。面白いなと思えば面白い。つまらないと思えばつまらない。せっかく仕事で関わる人なのだから、少しでも興味を持って接した方が、賢明じゃないでしょうか?

MAVIS PARTNERS プリンシパル 田中大貴

Contact

お気軽にお問い合わせください

お問い合わせフォーム