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M&Aに限らず、事業の重要指標は現場とのすり合わせが肝要

2020-12-11

M&Aに限らず、事業の重要指標は現場とのすり合わせが肝要

分析の際には、現場の指標を漏らさず盛り込む

経営コンサルタントとして働くことの醍醐味の一つは、様々な業界や規模のクライアントとプロジェクトごとに対峙させていただくことだと考えている。それぞれのプロジェクトの長さは基本的に短期間のものが多く、3ヶ月~半年間のプロジェクトや、中には1ヶ月間という超短期間のプロジェクトも存在する。その限られたプロジェクト期間内で、クライアントの取り巻くビジネス環境を理解し、クライアントが目指すべき青写真の描出や実行体制の検討に携わる機会をいただいている。しかし、クライアントの事業や業界動向といった、外側からでも収集可能な情報を集め大まかな流れを理解しても、それだけではクライアントのビジネスを理解したとは言い難いと感じる場面が多い。「確かにファクトはそうだけど、この事業部では●●という観点を必ず考える必要がある」や「実務上指標にする✕✕率を必ず参照するのに、含まれていない」といったクライアントからのフィードバックは、やはり実務担当者が日々追い続けている指標を踏まえた検討の重要性に、改めて気付かされる機会となっている。プロジェクトを進めていく上で、対象となる事業部や子会社ごとの業界常識や現場の重要指標を踏まえた分析を進めるために、考慮しておくべきことは何であろうか?

検討で用いる指標は、早期に議論を済ませておく

業界の商習慣や実務常識を外さない検討を進めるためには、やはり、プロジェクトの早期の段階で事業部や子会社、そして競合他社が経営上・実務上で重要視している指標を早い段階で把握し、認識をすり合わせておくことが重要だと考える。一般的に広く使われている事業分析のフレームワークのみならず、ヒアリングや競合リサーチを通してクライアントが事業分析の際に用いている指標についての仮説を立て、議論を進めていく。クライアントが参考にしている指標について議論することは、プロジェクトを進めていく上で、一見すると時間や手間がかかってしまうように見えるが、3つの利点があり、有効だと考えている。1つ目は、「この業界のビジネスを検討する上で、実は〇〇という観点は見てほしかった。」という漏れを防ぎ、検討の手戻りを防ぐこと。2つ目は、対象とする事業部や子会社が用いる指標を検討に用いることで、現場が知りたい箇所についての検討を深めることができること。そして3つ目には、検討内容に現場の声を反映することで、現場サイドのプロジェクトへの当事者意識の醸成にも繋がることが挙げられる。分析に用いる指標を事前に対象事業部や子会社との間で確認しておくことは、手間はかかるかもしれないが、利点があり、何よりクライアントへの貢献に繋がりやすいと感じている。

買収候補の業界慣習やビジネスの重要指標を踏まえた計画となっているか

M&Aにおいても、買収先の子会社の成り行きを考える際には、買収先の子会社の業界常識や商習慣、現場感を踏まえた計画や業界分析となっているのか、今一度振り返る機会を設けていきたい。買収前には、買収先企業単体での成り行きや、親会社と子会社の間でどのようなシナジーが創出されそうかといった検討が進められるはずである。しかし、その前提となっている分析を裏付けるファクトや評価の観点が買収・被買収先の企業の業界慣習や現場感覚の実態に即していないと、買収後の統合作業時に支障をきたすことになりかねない。M&A戦略やPMIの実行プランを考える際には、経営トップや現場が重要視する業界慣習や重要指標が漏れていないかは注意深く見ていく必要がある。M&A候補先で用いている重要指標を盛り込み、「現場感覚を踏まえた分析となっているか?」という問いを、要所で思い出すことをプロジェクト進行時には留意していきたい。

MAVIS PARTNERS アナリスト 橋本良汰

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