1.アナリスト

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モチベーション管理はポジティブインセンティブさえ与えればいいのか

2020-12-04

どうして同じ方向を向いてくれないのか

ミーティングを重ね、強化するカテゴリの売上など各種数値目標が決まり、それに対するアクションプランも固まった。あとは実行するのみだ。……とはいかず、数か月後蓋を開けてみたら、施策がどうも上手くいっていない。ヒアリングを通じ問題点を洗い出して見ると、施策を決めるときにミーティングの場で既に上がっていた問題点で、それの対応策は施策に盛り込んでいたはずだ。対応策が甘かったのか……。
結論として、アクションプラン通りに実行していなかったことがわかった。ミーティングでは一旦同意はしたものの、しっかりと腹落ちした状態ではなく、施策を実行するインセンティブが欠けていた。また、M&Aで吸収された側の会社出身の人が多く、会社自体への不信感のようなものもあり、そもそも会社の決定したことに対して協力的な土台が出来上がっていなかった。

一方的な取引は成り立たない

もちろん、それではその協力的ではない人たちが、普段から仕事をサボっているかというとそうではなくて、定常業務は毎日残業するほど頑張っている。ただ、定常業務以外の新しいこととなると、それなりのインセンティブがないと実行に移されない状態が続いているようだった。私も事業会社にいたときは、定常業務の対価として固定の毎月の給料を貰っている感覚で、定常業務以上のことを求められるのであれば、それに応じたインセンティブがなければ動きたくないというのが正直なところだった。
それでは、インセンティブの源の対価として、何をあげたらいいのだろうか。一番シンプルで強力なものはお金だろう。内閣府の令和元年の世論調査では、「働く目的は何か」という質問に対し、「お金を得るために働く」という回答が56.4%で最も多かった(内閣府,国民生活に関する世論調査,令和元年6月)。とはいえ、お金がぽんぽん渡すわけには行かず、1つ1つの施策ごとに設定するのは難しいので、代替となるインセンティブが必要になるケースがほとんどではないだろうか。同じく内閣府の令和元年の世論調査で、お金の次に上がったのが、「生きがいをみつけるために働く」で17%。「社会の一員として、務めを果たすために働く」14.5%と続く。つまり、お金でなくとも、その人が充実感や使命感などを感じることが出来れば、それをインセンティブとして人は動いてくれるのではないだろうか。

ネガティブなインセンティブを消すことから始める

それでは、どうすれば充実感や使命感を感じさせることが出来るインセンティブを払うことが出来るだろうか。恐らく絶対的な正解というものはなく、個人によって異なると私は感じている。何故なら、時間軸・環境・性格によって求めるものは異なり、例えば私の場合なら、学生時代はとにかくお金が高く楽な仕事を求めていたが、今はお金よりもビジネススキルであったり、仕事を通じて人に感謝されることだったりを求めている。
この記事の冒頭の件で私がした対処法としては、ポジティブなインセンティブをそれぞれに与えるのは難しいので、ネガティブなインセンティブを打ち消すように努めた。会社の決定した施策に協力的でない一番の根源は、買収されたときから続いている会社への不信感であると仮説を立て、その不信感を除いて安心感を与えられるようにした。具体例で言うと、非上場会社で全社的にもPLを公表していなかったので、許可をもらいPLをチームで共有、会社の業績が今どうなっているのか、今後どうなって行くのか、チームのやったことがどうPLに表れているのか、表れて行くのかといったように、現状と今後の目指していく姿を説明した。その後の変化としては、それ以降振り返りミーティングで、メンバーが積極的に話してくれるようになったり、個人的にも施策のためのリクエストや改善案が来るようになったりして、数値目標も大幅に上回ることが出来た。
まだ、アナリストとしてチームマネジメントに関わっていく機会は少ないが、人はどうやったらモチベーションを維持・向上出来るのか、普段から観察とストックをして、マネジメントする機会があれば活かして活きたい。

MAVIS PARTNERS アナリスト 北川和道

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