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頭の中のシステム1と2~組織に当てはめて考えてみる~

2021-05-21

頭の中のシステム

3月は引っ越しの繁忙期だ。進学、入社、転勤などで移動のシーズンだ。私自身も3月、引っ越した。そうすると、長年当たり前だったことが、そうではなくなり不便なこともある。買い物は、どこがいいのか、しばらく探索の日々が続く。最寄駅までの最短コースもどれになるか、電車の乗り換えは、どうすれば効率がいいのか、しばらく試行錯誤だ。意外なのが、電気のスイッチと家の段差である。これまでの感じを身体が覚えている。無意識に同じ位置でスイッチを押そうと探していたり、段差がないと思い、足がそのまま入ろうとして、つまずきそうになる。長年培われた無意識、恐るべし。人はなかなか動作を変えれない。結局10日間ほどかかってしまった。頭には無意識と意識して働く部分があり、このような頭の働きについて、ちょうど書籍を読んだところであったので、タイムリーに考えることができた。

システム1と2

この書籍というのは、ダニエル・カーネマン著 村井章子訳「ファスト&スロー」である。この書籍の中での定義によれば、「システム1は、自動的に高速で働き、努力はまったく不要か、必要であってもわずかである。また、自分のほうからコントロールしている感覚は一切ない。システム2は、複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。システム2の働きは、代理、選択、集中などの主観的経験と関連づけられることが多い」とのことである。
つまり、上記で述べた行動に当てはめると、以前住んでいた住居と同じ箇所でスイッチを押そうとする行動は無意識で、システム1に当てはまり、壁に触ってスイッチがないことに気づくとシステム2が出てきて、意識的に考え、やっとスイッチを押して電気をつけることができるのである。人の頭は普段はシステム1がメインの省エネモードで稼働していて、いざという時、意識的に動くシステム2が出てきて、システム1の動きを補助したり、補正したりするのである。また、システム1とシステム2の関係には別の観点もある。書籍によると、「システム1は何の努力もせずに印象や感覚を生み出し、この印象や感覚が、システム2の形成する明確な意見や計画的な選択の重要な材料となる」のである。システム1には経験や勘が紐づけられていて、システム2はシステム1のアウトプットを使いながら論理的に考えたり、システム1の動きを監督する機能を担っている。なお、システム2は前頭葉にあるらしく、頭の前の方が痛い頭痛になるのは考え過ぎかもしれないので、リフレッシュして気分転換した方がいい。

組織の観点でどう捉えるか?

システム1は経験値を積んで勘として稼働する。システム2の稼働時にも、このシステム1の経験値を材料として利用するので、システム1に記憶される経験値のクオリティはシステム2の品質にも影響する。勿論、システム2自体の論理的思考や監督機能の高度化も思考のクオリティ向上に必要である。つまり、常日頃から勘を磨きたい分野の経験値を積み重ねていくことが大切で、AIの機械学習のようなものである。また、これらをまとめる論理的思考力を鍛えることも重要である。そうすることにより、システム1と2のスペックが高くなっていくのである。ここまでは個人の視点である。これを組織に当てはめると、どのようなことが言えるだろうか。組織も営業、技術を問わずノウハウを蓄積し、これらを他の従業員や他の部門が活用できるようにすること、つまり、ナレッジをシェアする機能、個人の持つ暗黙知を形式知化することは組織として重要である。また、日常業務はある程度裁量を与えられていて自律的に動いているが、何か違和感があったときは、システム2のように監督機能を持った部門に連絡、問題がないか確認するシステムを備えること、この連携も重要である。企業の組織も頭の中のシステム1と2のように、ナレッジをシェアして、お互い役割分担しながらガバナンスを効かして緊密に連携して活動するようになれば、組織としてハイスペック化できるのである。

MAVIS PARTNERS アソシエイト 竹森久美子

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