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外注前にやるべきこと

2021-08-27

外注前にやるべきこと

バックオフィスがいないコンサル会社

MAVISでは、バックオフィス人材がいない。会社の規模が大きくなると、間接業務も徐々に増えてきて、バックオフィス人材を1人ぐらい採用しようと思い、募集して面接もして、オファーも出したことがあるが、結局、採用に至らなかった。
いわゆる単純作業だけをやってもらうために採用するのもつまらないので、色々他にもやってもらいたい仕事も整理して、それ含みでバックオフィス業務全般を担ってもらう想定だったが、応募者側には荷が重い仕事も多かったようで、入社直前で辞退されてしまった。
それ以来、「絶対必要というわけでもないしな」と思い直し、募集をストップして、外注サービスに頼ることにした。探してみると、便利なサービスが色々あるもので、営業開拓から、採用活動、秘書業務まで、オンライン対応で外注できるものがたくさんあった。結果として、外注サービスを活用しながらも、バックオフィス業務は私一人でも余裕を持って対処できるようになった。金融機関の担当者と話していると、「事務を雇わずによく回ってますね」と言われることがあるが、それも全て外注サービスのおかげと言っても過言ではない。

外注する意義

ただし、なんでもかんでも外注すればいいという話ではない。それは単なる“丸投げ”だ。外注コストはそれなりにかかるので、コンサルタントとして、というより、零細企業の長として、外注する意義はよく考えた。
突き詰めると、2つの意義があると思った。1つが、自分でも出来るけれども、その時間が勿体ないので、外部にやってもらい、時間をつくるという意義。もう1つが、自分では出来ないから(或いは、出来ても時間がかかり過ぎるから)外部にやってもらうという、能力を補完するという意義。どちらにせよ、起点は、自分に出来るか出来ないか。つまり、自分で何事もやってみてからじゃないと、「外注」という選択肢は考えてはいけないと思うし、依頼したいこともはっきり決められないと思うのだ。
私の外注活用の方法はこうだ。やってみて自分でも出来る場合は、自分でやれた方法なりプロセスを文章に残してマニュアルを作っておき、外注依頼する際に、それらを全て渡してしまう。そして、やってみてもらった後、マニュアルに改良点があれば直してもらう。ただ代わりにやってもらうだけではなく、自作マニュアルをアップグレードすることをゴールにするのだ。餅は餅屋で、素人の私のやり方より、よっぽど洗練されて効率的なやり方をしてもらえる場合が多い。その改良されたマニュアルは、会社の資産として残せる。
一方、やってみて自分で出来ない場合は、何がどうして出来なかったのか、どこでつまずいたのか等、出来なかった原因を考えて整理しておく。そして、その業務を外注でやってもらう際、しっかりと教えてもらうのだ。直接教えてもらえなくても、業務工程を見たり聞いたりすれば、スキルを盗むことは出来る。或いは、自分でも出来るように、外注先に追加料金を払ってでも、仕組み作りにも力を貸してもらえば良い。それはマニュアル作成かもしれないし、簡単なシステムを組むことかもしれないが、出来なかったことが出来るようになるのだから、多少の投資は掛けても良いと考える。それも会社の資産となり、いつか自社内人材に任せるときに使える。

まずは、やってみる

翻って、我々コンサルタントも、外注サービスの一種だ。クライアントの依頼の動機も各社によって異なるが、既述の「外注する意義」は、コンサルティングでも同様だろう。
コンサルに丸投げしても、大した成果は得られない。一度、自社で考えてみたこと、やってみたことがあって初めて、「外注」という選択肢が出てくるべきだ。業務効率化のためにコンサルを起用してもよいだろうし、自分たちで出来なかったことをお願いするためにコンサルを起用したってよい。ただし、一度は自分でやってみたものでないと、何を依頼するのが適当なのか分かるはずがない。「とりあえず、コンサルに投げておこう」で上手くいくなら、誰もが名経営者になれてしまう。
一方で、自分たちで1回考えたことを何も共有せず、コンサルから何が出てくるのか期待するような使い方、“答え合わせ”をするような使い方も、私はイマイチだと思う。それは賢いやり方のようで、実は品質コントロールが出来ていない。外注するならば、淡い期待ではなく、得たい成果を明確にしておくべきだろう。ただ、そういう場合も、自分たちで考えきってないからの行動だとも考えられる。自分たちで限界まで考えたことがあり、その先を本気で目指したいならば、当然、“途中まで掛けた梯子”は共有するのではないか。とすると、やはり、最も重要なのは、「やってみること」に尽きる。それも、これ以上無理だというレベルまで、考えてやってみることだろう。その次に「外注」の選択肢が出てくる。外注前にやるべきことは、まずは自分でやってみることだ。

MAVIS PARTNERS プリンシパル 田中大貴

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