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有事の際の心構えはM&Aにも役立つ

2020-06-12

良からぬことが起きると、人は必要以上に惑わされてしまう

仕事でも私生活でも、思いも寄らないアクシデントや、想定外な事件というものは起きるものだ。しかも、一度何か起きると、大抵の場合、悪いことは次々と連鎖していく(ような気がする)。そういった時、いかに冷静に且つ効果的に対応できるかが肝要だ。

ズルズルと状況変化に任せ、もぐら叩きのように出てくる問題に対応しているだけでは、「次は何が起きるのだろうか」、「こんなことが起きてしまったらどうしよう」と不安に駆られる。そうなれば、通常時には出来ていたはずの仕事も手につかない。頭の中は不安で占められて、思考もまともに機能しなくなる。当然、有事に対して危機感は持ってもよいが、過剰な危機感は気持ちを病ませる。
では、どうすればよいか。私には、必ず2つやることがある。

最悪な事態に対して覚悟を決める

私が、有事の際にやることの1つ目は、最悪な事態に対して覚悟を決めることだ。
起きてしまったことは、もう戻せないので、それは諦める。まずは、何が起きたのか、事実を明らかにする。事実が明らかになるまでは、不用意に落ち込んだりしてはいけない。それは無駄だからだ。そんなことに思考のキャパシティを使ってはいけない。

そして、事実が判明したら、それによって起きうる悪影響を徹底的にノートに書いて洗い出す。“風が吹けば桶屋が儲かる”ぐらい、思考を派生させ、最悪な事態を想定するのだ。最後に、それが起きた場合の覚悟を決める。「最悪な場合、こうなってしまう。ただ、そうなった場合は、こうすればいいや」と思い切ることができれば、怖いものはもう無い。大概、最悪な場合でも、他人に命が取られるわけでもなく、社会で後ろ指をさされるようなことはないので、いつか挽回できるはずだ。加えて、そういったことが起きた場合、逆にメリットが無いかも考えた方がいい。物事は常に表と裏がある。悪いと思っていたことも、見方によっては良い場合もある。そこまで考えれば、覚悟も決まり、心も軽くなる。

最悪な事態を回避するために出来ることをやるきる

次に2つ目は、その最悪な事態を避けるために出来ることを1つ1つやることだ。
最悪な事態を想定して覚悟を決めたからといって、最悪をそのまま受け入れる必要はない。なるべくその事態に陥らないよう、採れる最善策を考えるべきだ。私は、これもノートに洗い出す。とにかく思いつくものを全て挙げつくす。効果が高いもの低いもの、実現しやすいものしにくいもの、そういった整理は後だ。

洗い出したら、最善策として何をすべきかを考え、採るべき手段の順番を考える。要は、戦略の実行計画を策定するのと同じ要領だ。この場合は、“最悪な事態に陥らないための打ち手の実行計画”を作るということだ。そして、その計画通り、よそ見をせず、寄り道せず、1つ1つ着実にやるべきことをやる。ここで、「計画など考えずに、思いついたものをすぐ実行すべきでは?」と思う方もいるかもしれないが、それは違う。打ち手というのは、内容は当然だが、タイミングも重要だ。タイミングを間違えれば、せっかくの打ち手も効力を失う。

M&Aに関わるならば、有事の際の心構えを

このように、有事の際は、最悪な状況を生々しく描いて覚悟を決め、それに至らないように、出来ることを1つ1つやりきるようにしている。これさえやれば、大抵の場合は、軽症で済むものだ。

M&Aの世界では、“有事”が頻繁に起きる。逆に、思い通りに事が100%進むとは考えない方がいい。「デューデリジェンスできちんと精査していたはずなのに、買収後に発覚した」、「企業文化がこんなに違うとは思わなかった」、「キーパーソンが他社に引き抜かれてしまった」など、枚挙に暇がない。ゆえに、M&Aでも、この「有事の際の心構え」は役立つ。次々と起きる想定外な事象を受け止めながら、M&Aで狙った目的を達成させるには、こういった精神論も必要だ。

MAVIS PARTNERS プリンシパル 田中大貴

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