1.アナリスト
印刷スキルや知識があるから「背中を見て育つ」ことができる
2021-05-14
「背中を見て育つ」というのは難しいこと
会社によって人を成長させるためのやり方は異なる。MAVIS PARTNERSの場合、どんなプロジェクトであっても、外部との打ち合わせが終わるたびに、社内メンバー同士でフィードバックし合う場を設けているため、日々上司やその他同僚からの指摘を受けて、自分のやり方を改善し、少しずつ成長できているように思う。
一方で、そういったフィードバックの場をあまり設けていない会社も多いと聞いている。
「背中を見て育つ」という言葉があるが、特に自主性が求められるコンサルのような仕事では、「背中を見て育つ」という姿勢は重要なマインドセットだと思っているが、実は新人や経験の浅い人にとって、それは結構難易度の高いことなのではないかと思っている。
“背中”から自分の”目指す姿”を見出すこと、”育つ”ための要件を見出すことが難しい
“背中”=”あるべき姿”だとして、その”あるべき姿”から自分の”目指す姿”を見出し、自分の現状のGapを埋めるために様々な改善やスキルアップを行っていくこと「背中を見て育つ」ということだと定義する。
このときに、「背中を見て育つ」上で、困難なことが2つあると思っている。
一つは「”背中”=”あるべき姿”から”目指す姿”を見出すこと」である。これをするためには、理想像となる上司や先輩のやり方から、自分のスキルや性格等を考慮して、実現可能な要素を特定することが必要だが、実現可能かどうかは経験を積んでいる人でなければ判断しにくい。
もう一つは、「Gapを埋めるための要件を見出すこと」である。仮に”目指す姿”と自分の”現在地”が分かったとしても、そのGapを埋める方法は、Gapを埋めた経験のある人でないと分からないことが多いのでは無いだろうか。
「背中を見て育とう」と思って焦りすぎて、上司にセーブされた
MAVIS PARTNERSでは、プロジェクトが始まる前に「このプロジェクトで自分はどういった役割を果たしたいのか?」「どういった成長を成し遂げたいのか?」をプロジェクトマネージャー含めメンバーに宣言する機会が設けられている(MAVIS PARTNERSではこれを”ピカンテ”という造語で呼んでいる)。この”ピカンテ”を行った際に、私は「XXさん(その当時のプロジェクトマネージャー)がやっていることをできる状態になりたい」という風に上司に言った。しかし上司からは「井田さんの現状のステータスからすると、そこまではやりすぎで、まずは○○することから始めたほうが良いよね」と言われた。”目指す姿”の設定が非現実的だったのである。
また、よく考えてみると、それを実現するための要件も自分の中で見いだせていなかった。あまりにも遠い目標だったからである。
このように、「背中を見る」だけでは「育つ」ことは難しいのだと思った。
ある程度スキルや知識を積むと「背中を見て育つ」ことができるようになってくる
私もコンサルを始めて2~3年ほどは、上司の”背中”を見ても、上手く自分の目標設定に反映させることが出来ていなかったように思うが、これまで様々な上司を見て、自分の得意なこと・苦手なことがおぼろげながら分かってきたことで、優秀な先輩コンサルタントと働いたときに、自分に活かすべき要素が少しずつ分かるようになってきたと感じている。
それと同時に、他のコンサルタントに対して「ここをこういう風に直せば良くなると思う」といったように、他人の現状と目指す姿に対して自分なりの考えを持てるようになってきた。言い換えると、他人にフィードバックをできるようになってきた。
やっと「背中を見て育つ」域に少し足を踏み入れることが出来たのではないかと思っている。
M&Aも振り返りが大事だが、その前に振り返るためのスキルや知識が必要では
ポストM&A研究会で、様々な企業のM&A担当者からお話を伺っていく中で、M&Aでも振り返りを行うことが、社内における知見を蓄積し、M&A功者になるために重要であると分かってきた。振り返りを行う際に、他の上手くやっている企業を参考に”目指す姿”を議論することもあると想定されるが、そもそもこの”目指す姿”を”正しく”設定するためには、M&Aに対するスキルや知識が不可欠ではないだろうか。
振り返りを有効に活用するために、外部からM&A実務の経験が豊富な人物を採用する、M&Aに対する知見を持っている外部のパートナーと議論をする等、様々な方法があると思うが、スキルや知識が不足している場合には、まずそこから腰を据えて考えることが必要なのではないかと思った。
MAVIS PARTNERS アナリスト 井田倫宏