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成果を最大化させるためのタスクへのリソース配分

2021-04-16

成果を最大化させるためのタスクへのリソース配分

「再現性の高いタスク」でいかに存在価値を担保できるかが重要

多くの職業でそうだとは思うが、特に我々コンサルタントの仕事は、クライアントや案件の性質によって、仕事の内容が大きく異なるため、新しいクライアント・案件に関わるたびに、「この案件で自分たちがコンサルタントとしてどう価値提供すべきか?」をゼロから考えなくてはいけない。
しかし、提供すべき価値をタスクレベルに落とし込んでいくと、必ずしも過去に経験したことの無い「案件ならではのタスク」ばかりではなく、既にやったことがあり、そのときの知見を活かすことのできるタスクも出てくることが多い。つまり、課題解決の目的やテーマが異なっていても生じうる「再現性の高いタスク」は少なからず存在している。
そして、多くの場合「案件ならではのタスク」の方が難度は高い。だからこそ、「再現性の高いタスク」で一定の価値提供を担保しておくことが重要になる。

価値の出し方を難易度によって分散することで、失敗のリスクを軽減できる

「案件ならではのタスク」というのは、必ずしも顧客を唸らせるような価値提供をできるとは限らない。例えば、「我社は新しく次世代モビリティ事業を始めることにしたのだが、当該事業において将来性の大きい新規事業アイデアを創出してほしい」という要望があったとして、「アイデア創出」の部分に対して自信を持って「必ずやりきります!」と言えるだろうか。そもそも将来性が大きいか否かは仮説の域を脱することはないし、実際にその新規事業で成果を出せるかどうかは将来のことなので、短期間で検証もできない。つまり、このようなタスクにおいては十分な成果が得られない可能性も小さく無い。
一方で「再現性の高いタスク」は、高い確率で一定水準の価値提供を実現することができる。上記の場合で言えば、「次世代モビリティ業界(実際にはもっと具体化されているだろうが)の有識者や競合等へのインタビューを通じて、当該業界に対して現時点で持っている仮説を検証する」ということであれば、多くの案件で踏むプロセスと同じであるし、実現できる可能性が高い。

あえて「再現性の高いタスク」に多くのリソースを投下することで顧客の信頼を維持した

過去に、とあるファンドから、出資先の企業の今後の見通しについて調査するように依頼され、市場・競合分析~対象会社の今後の業績見通し・IR発表内容の検証等を行ったことがあった。すでに出資しているということもあり、ファンド側も既に対象会社の今後の見通しに対していくつもの仮説を持っており、それらを検証するということが我々の大きなミッションであった。
一口に仮説検証といっても、検証難易度は様々である。中には「こんなのどうやって検証するんだよ…」というような仮説や、「どこまでいっても推測の域を出ない」ものも含まれていた。一方で、過去の案件の経験から、検証の見通しが立つ仮説もあった。
この案件は約1ヶ月で成果物を出さなくてはいけないという時間的な制約もあったため、プロジェクトマネージャーの判断で難度の高い仮説検証に過度のリソースを投下することを避け、見通しの立っているタスクにリソースを集中投下した。
その結果、一部十分に検証しきれなかった仮説に関しては正直にそう言い、それ以外の仮説に関しては豊富なファクトをもとにしっかりとした検証結果を伝えることで、顧客は十分に満足している様子だった。

M&A絡みの仕事であれば何かしら「再現性の高いタスク」が存在するはず

M&A案件も、業界やテーマ・対象会社あるいはフェーズ(M&A戦略策定、ディール、PMI等)によって検討しなくてはいけないこと、やるべきことは大きく異なってくる。しかし同じフェーズ、例えばM&A戦略策定の部分であれば、業界やテーマ・対象会社が違ったとしても、多くの案件において活かすことのできるフレームワークや考え方、セオリーは存在するはずである。
特に過去に何度もM&Aを経験している企業や、M&Aに対する知見を豊富に持ち合わせる部署や人を抱える企業であれば、「再現性の高いタスク」の実行によって、そのM&A案件の成功確度を一定程度担保することは可能なのではないだろうか。
今後自分が案件の責任者(プロジェクトマネージャー)になったときのことも想像しながら、「再現性の高いタスク」と「案件ならではのタスク」どちらも中途半端になることで、最低限の成果も得られないような事態は割けるよう心がけようと思った。

MAVIS PARTNERS アナリスト 井田倫宏

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