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努力か才能か

2024-08-23

努力か才能か

「努力したからできるようになった」は本当か

「昔はできなかった」とか「ずっとやっていたらいつの間にかできるようになった」とよく耳にする。活躍している人の9割くらいは過去の苦労話をしてくれる印象だ。(「最初からなんでもできた」と言い切る人にもまれに出会う)
そう言われると、努力すれば報われるのだ、と一息ついてしまう。だが、果たして本当にそうだろうか。よくよく苦労話を聞いていくと、できなかった時代の話にも優秀さの片鱗が見え隠れしている気がするのだ。
努力したから結果が出た、という順番ではなく、そこそこ最初から芽があったから努力した、という順番なのではないだろうか。努力が先か、才能が先か、どちらが結果に結びついているのか。

努力の限界か、間違った努力か

改めて考えてみると、得意なことは元からそこそこできていた気がする。幼少期の頃が一番わかりやすい気がするが、クラスの勉強ができる子は元からできるし、ずっと”できる子”だった。運動ができる子も、1年生から6年生までリレーの選手だった。一方で私は1年生から6年生まで、何の種目をやるにしても延々とへっぴり腰だった。
振り返ってみると、”できる人の循環”と”できない人の循環”があることは明らかであると思うが、才能が全面に押し出されることは少なく、努力が求められることが多いように思う。できるようになるために回数をこなせとよく言われるが、本当に地道な努力で突破口が開けるのか。
そこで以前SaaSビジネスの会社にいたことを思い出す。SaaS業界はそもそもの営業のモデルとして、”努力による繰り返し”が推奨される世界だった。商談までのマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、受注後のカスタマーサクセス、というように徹底的に役割を分担し、組織的に顧客を獲得・受注後の手厚いフォローを仕組み化する考え方があった。
営業台本を練ってABテストをしてみる、時間を変えてアプローチしてみる、ニーズがマッチする顧客ペルソナを考えてみる、等考えることはあるものの、取り組み方を模索するより、ひたすらアプローチ件数を増やすモデルであった。100人に当たれば1人は話を聞いてくれるかもしれないから、ひたすら量をこなしましょう、という仕組みである。売上の基盤や人員リソース、企業ブランドがあれば、属人的なブレを排除した仕組み化が機能するのかもしれないが、ベンチャー規模、さらに個人の成長という観点ではコスパが悪いのではないだろうか。

才能をカバーする努力の仕方

それでは泥臭く努力しても成果には繋がらないかもしれない、と言いたくないので、努力が実る要件とは何かを考えてみた。
まずは、「とりあえずがむしゃらに頑張る」ではなく、「成果が出るように逆算する」考え方があるかもしれない。
努力したら成果が出る、成果が出るまで努力する、という順番ではなく、自ら成果が出るように努力する、という順番で考えるべきだ。過去、目の前に積まれた課題に対してひたすら一つずつ順番に潰していた自戒を込めて、頑張る方向性を正しい方に持っていきたい。
次に「正しく努力して成果を出す環境」に身を置くことも重要だと思う。今まで、勉強でもプライベートでも、自分より進んでいる人と一緒にいると、追いかけようと自分も前に進むことができると感じてきた。よく海外に行くと英語が話せるようになると言われるが、大変な環境に無理やり身を置いてみるのも一手だろう。
とはいえ、言うは易しである。なりたい姿があるなら、摩擦やストレスを伴いながら、一歩ずつ進むしかない。進む方法や方向を間違えないように、立ち止まりながらも進むしかない。

MAVIS PARTNERS アソシエイト 豊嶋美知

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