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雑学で拡がる世界

2023-11-17

雑学で拡がる世界

練馬愛を語るご老人との出会い

11月23日の勤労感謝の日に、練馬区の自宅から徒歩圏内にある公園を散歩していたときに、たまたま見かけた地域の歴史を伝える博物館(といっても区が運営する無料の小さな施設)にふらっと立ち寄った。
特に長居するつもりはなく、5~10分くらい時間を潰せれば良いと思っていたのだが、施設に入ったすぐの所で、おそらく70代後半~80代くらいであろう施設の男性職員さんに「ちょっとこの説明だけ聞いていってよ」と話しかけられた。意気揚々と話しかけてきたので、最初は「話が長くなったら面倒だな・・・」と思っていたのだが、話を聞いてみると面白くて、結局30分くらい立ち話していた。
聞かせていただいたのは、練馬区の地形に関する話。地形の成り立ちの歴史など様々な話をしてくれたあと、最後に「結局のところ言いたいのは、練馬区の地盤は素晴らしいから、家を建てるなら練馬区にしなさい」と言うような練馬愛にあふれる人だった。
そんなご老人と話をして、仕事にも通じることを感じたので、コラムにしてみた。

周りの発するシグナルに気付くためには

上述の地形に関する話の中で、雑学的に面白かったのが、各地の地名の由来は地形の成り立ちが絡んでいることが多いという話。例えば「窪」という文字が使われている地名は、関東山地から流れ下った多摩川等の河川が蛇行して削ったところに出来た窪地であることが由来になっているというような話である。東京にずっと住んでいる人からしたら、子供の頃から教わっているような常識なのかもしれないが、地方から上京してきた身としては、結構新鮮な話だった。
言われてみると、「窪」の他にも「台」とか「丘」とか、よく目にする地名は多いが、こういった話を聞かないとその意味について気にもしない。でも、聞いた後だと、色々な場所に行くたびに、「この場所はこんな地形なんだろうな」と自然と考えるようになった。
普段仕事をしていても、こういった”知っていないと気づくことの出来ないシグナル”に遭遇することがあるような気がする。
会議に出ていて、「あ、この人いまイライラしているな」とか「話したそうにしているな」とか感じることがある。一方で、それに気づけ無いこともある(私もクライアントや上司から言われて初めて気づくことが多々ある)。そういったことが生じる要因の一つとして、会議参加者のこれまでの経験や、他者との人間関係などの、背景知識の有無があるような気がする。
では、そういった社内の”雑学”をどこで仕入れるのか?といったら、同僚との雑談や、飲み会の席での会話とか、そういったアンオフィシャルな場所でのコミュニケーションが多いのだろうなと思う。人と一緒にやる仕事である以上、雑談や飲み会の会話も馬鹿にできないということなのかもしれない。

「無駄な時間」と自分の物差しで判断しない

よく「タイムパフォーマンス」なんて言われるように、効率的に時間を使うことは重要だと思う一方で、あまり自分の物差しだけで時間の使い方の価値を測るのも良くないなと、今回の経験を通じて感じた。
特に若手のうちだと、「この仕事やっても意味ないでしょ」とか「この飲み会に使う時間がもったいない」と思うことは多少なりともあると思うのだが、その体験から何を持ち帰るかは自分次第だなとも思う。それがたとえ、直接業務に関係のないような、社内の噂話などの”雑学”であっても、上で述べたように、仕事の役に立つことは大いにある。
冒頭で述べたご老人との出会いでは、最初は話が長くなることを懸念していたものの、最終的には自分の世界観を拡げてくれるような良い話を聞けたなと思うことが出来た(それが今後の人生でどんな良いことをもたらすかはまだ分からないが)。
これからも、(よほどで無い限り)「こんなことに時間を使うのは無駄だ!」と短絡的に考えるのではなく、「この時間を使って得られることは何か無いか?」という思考を心がけたいと思った。

MAVIS PARTNERS アソシエイト 井田倫宏

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