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会議は資料朗読の場所では無い

2022-08-19

会議は資料朗読の場所では無い

会議が単なる資料の読み合わせの時間になっていないか

皆さんの会社で、多くの時間が、情報共有や結果報告に充てられている会議に身に覚えはないだろうか。
1~2時間の会議が設定され、その場で資料が共有され、会議の主催者が資料の内容を延々と話し続けて、最後に「何か質問ありますか?」と言って、少し質疑応答があって終了、というような具合である。
クライアント含め、周りの社会人と話していると「とにかく会議が多くて作業したり考えたりする時間が無い」「無駄な会議は無くして生産性を上げたい」などの言葉をよく耳にするが、まさに上記のような”資料朗読会議”は、無駄な会議そのものだと思っている。
普通に考えれば、資料の内容を理解してもらうだけであれば、メールベースで資料を共有して、何か不明点があれば連絡してもらうという方法が最も効率的かつ、人の時間を奪わないのに、”資料朗読会議”が常態化している会社は多いのではないだろうか。

「資料を送っても読まないから」という理由

送っても読まないから、会議で説明するという話を聞いたことがある。
なぜ送っても読まないのだろうか。それは、その資料の内容に関心が無いということに尽きると思っている。関心のある内容の資料であれば、たとえ多少分量が多かったとしても、しっかりと目を通して、気になったことは自発的に問い合わせてくるはずだからだ。
もしそうだとすると、会議で説明しても、そういった関心の無い人たちに、資料の内容は伝わらないと思う。特に、新型コロナの蔓延によってWeb会議が普及してからは、そういった関心の無い会議で集中して人の話を聞くことは難しくなったのではないだろうか。
そもそも、そのような関心の無いメンバーばかりになっているのであれば、あまり関係の無い人をメンバーに入れてしまっていないか?メンバーの巻き込みが十分で無いのではないか?等、資料の内容を伝える前に考えるべきことがあるのではないだろうか。

「資料に書いていないこともあるから」という理由

資料に書いていないことも含めて口頭で伝えたいという理由も聞いたことがある。
こういった理由を言う人の資料には、おそらくメッセージが無い。つまり、数値や分析結果等、ファクト(事実)の部分はあっても、「だから何?(示唆)」という部分が書かれていない。例えば、資料の作成者は「商品Aは、XXという理由で今後売上向上の余地が小さいので終売したい」ということまで考えていても、資料には「商品Aの売上はXX円だった」とだけ書かれているというようなケースである。
たしかに、そのようなケースだと、説明無しに読んでも資料の意図を汲み取れないので、説明が必須になるが、だったらしっかりと言いたいことを書けば良いと思っている。たまに、内容がセンシティブなため、資料が独り歩きしないように口頭で説明したいということもあると思うが、そのようなケースはそう多くないだろう。

会議は新たな気づきを得る場にすべき

せっかく、関係者の貴重な業務時間を使っているのだから、集まって話さないと分からなかったような、新たな気づきを得る場にしたい。そして、そのためにインプットすべき情報があるのであれば、事前に資料を共有して読んでもらった上で、議論したい論点について、参加者が仮説を持っておき、スムーズに議論に入れるのが理想だ。
しかし、それを実践するには、前述の通り、メンバーの巻き込みが必要だったりと、それ相応の労力が必要になることも多いと思う。それでも、生産性を上げ、スピーディな検討・意思決定を行うという意味では、会議を資料朗読の場ではなく、議論の場とするというのは、十分に取り組む価値のある課題だと思っている。

MAVIS PARTNERS アソシエイト 井田倫宏

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