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価値観の溝は埋められない前提で考える

2022-05-20

価値観の溝は埋められない前提で考える

世代が違うと分かり合えないことは沢山ある

私はまだ20代で若いため、「俺の若いころはXXが当たり前だった」とか、「今の若い人はXXを知らないのか」など、上の世代の方々から、このようなことを言われることが多いが、そのたびに「また、年上マウントか、しょーもない」と思ってしまう(私もたまに学生と話をしたりすると、まだ20代の自分ですら、そういった類のことを言いたくなることはあるため、気持ちは分からなくもないが。。)。
上記は単なる愚痴にも近いが、実際本当に世代間で埋められない価値観の溝みたいなものは沢山ある。
よく言われる例で言えば、会社の付き合い(飲み会や社員旅行など)に対してどう思うか?で、最近の若手社員は参加したいと思っていないとか、ベテラン社員はやたら対面で会議をしたがるとか・・・周りを見渡しても、そういった事案は多いのではないだろうか。
これまでは、現代のトレンドにアジャスト出来ない上の世代に対して、どうしてこうも価値観がアップデートされないのだろうかと不思議に思っていたが、最近、自分も油断しているといつか「老害」と呼ばれる日が来てしまうのではないかと思う出来事があった。

ゼンリーと代替肉

Zenly(ゼンリー)という名のアプリをご存知だろうか。簡単に言うと、友達と24時間365日位置情報をシェアするアプリである。いまどこにいるのか?を常にシェアし続けるなど、自分の価値観では到底理解出来ないことなのだが、10代には非常に人気で、とあるアンケート結果では10代男性で47.6%、10代女性で32.3%が「利用している」と答えていたのである(2019年時点)。もちろん、10代は学生も多いので、社会人とは置かれている環境も大きく異なるが、それにしてもあまりの価値観の違いに驚いた。
話は全く変わるのだが、先日とあるスタートアップ企業(ニューヨーク株式市場にも上場する代替肉の超有力スタートアップ)が開発する代替肉を食べた。インターネット上では、良い評判の口コミが多かったので、期待して食べてみたのだが、正直なところ本物の肉と比べるとかなり劣っていた。今回は、カルビ・ハラミ・メンチカツ・牛丼を食べたのだが、肉に近いと言えるのは見た目だけで、味は厳しかった。。ただ、代替肉の世界市場規模は、今後5年で現状の2~3倍程度になるという試算もあるくらい、勢いがある。もしかすると、「本物の牛肉を食べるなんてけしからん」という世の中がやってくるかもしれない。そう思うと急に怖くなった。
この2つのエピソードは、最近私がショックを受けた代表的なものなのだが、これ以外にも時代の急速な変化に戸惑う場面は少なくない。そのたびに、自分も「老害」になってしまうのだろうか。。と思ってしまっていた。

溝は埋められないので、せめて相手へのリスペクトは忘れないようにしようと思った

Tik tokが流行ってきたときに、なんとも言えない嫌悪感はあったのだが、時代に取り残されないようにと、アプリを利用してみるなど、世代間ギャップが生じないようにとしたことはあったが、やはり長くは続かなかった。Zenlyにいたっては、理解できなすぎてアプリのインストールすらしていない。
やはりここまで幼少期から積み上げてきた価値観を、大人になってから捻じ曲げることなど不可能だし、そもそも他の世代の人達に、自分たちの世代の価値観を理解してくれと言うこと自体がナンセンスだと思っている。だから、世代間でどうしても分かり合えない部分があることは大前提として、世代の異なる人達と付き合っていかないといけない。
我々コンサルの仕事は、内部もそうだが、クライアント側の方々ともチームワークで検討を進めていく。特にM&Aや新規事業といった領域の検討では、あらゆる世代や様々なバックグラウンドを持った人たちが同じチームで検討をする。
異なる価値観を持った集団において、ハレーションを起こさずに、協力して物事を進めるためには何が必要か?それはやっぱり他者へのリスペクトなんだろうなと思っている。互いの価値観を(理解は出来なくても)認めることができれば、仕事をやっていく中で生じるストレスも軽減できるし、自分が「老害」になることも避けられるのではないだろうか。

MAVIS PARTNERS アソシエイト 井田倫宏

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