4.プリンシパル
印刷ChatGPT:新時代のコンサルティング支援
2023-03-31
ChatGPTの驚異的な可能性
ChatGPT、とてつもないものが出てきたと思った。有料プランにも即加入して、色々試してみたが、面白い。依頼したリサーチは瞬時に仕上げてくるし、「ちょっとそれは違うよね」と言えば、「申し訳ありませんでした」と言って、すぐにやりなおしてくる愚直さ。そして、私はプログラミング経験が全く無いが、ChatGPTに教わりながら、PythonでWEBスクレイピングも出来てしまった。次は、Androidアプリも作ってみようと思ったが、さすがにハマり過ぎると、仕事に支障を来すので、いったんストップしている…。
コンサルタントの新たな武器:ChatGPTとのディスカッション
これは、コンサルタントとして使えるなと思った例をいくつか紹介しよう。1つ目は、ChatGPTを時間無制限のディスカッションパートナーにすること。自分の考えや仮説をぶつけてみて、それに対して反証してくれと命令すれば、色々な観点で意見やアイデアを出してくれる。全てが全て使える内容ではないが、それでも、なるほどねと思わされたこともあり、クライアントに何か提示する前には、必ず、ChatGPTを登竜門にしたくなる。人前で恥をかく前に、ChatGPTで試しておくというのは良い使い方だと思う。
効率的なリサーチ活用:ChatGPTと若手コンサルタント
2つ目は、初期リサーチ結果をクイックに把握すること。ChatGPTでリサーチできる内容は、間違っていることもあるし、内容が浅くなってしまう部分は正直あるが、それでも、数十秒でリサーチを仕上げてくれるのは有り難い。それをベースに追加リサーチすれば効率が上がる。また、若手コンサルタントにも同様のお願いをして、出てきた成果物を比べてみるという使い方もある。「ChatGPTでもこれぐらいは出してくるから、もうちょっと深いところまでリサーチしないとね」というフィードバックが出来る(若手には酷い話?)
ChatGPTによる作文支援:時間効率化で業務に集中
3つ目は、頭を使わない作文をしてもらうこと。例えば、時候の挨拶や日程調整メールの返信等、形式的な内容がメインのメール作成は、ChatGPTに任せてしまうと非常に楽。まだ使ったことはないが、会食後のお礼メール作成等にも使えるだろう。毎回、Google検索で、それっぽいメール文例を探して、カスタマイズするぐらいだったら、条件を明確にして、ChatGPTに依頼すれば、それっぽい素敵なメール文章が仕上がる。時間効率が上がるので、コンサルタントとしてメインの仕事に時間が割ける。
AI進化とコンサルタントの価値:人間が持つ3つの強み
しかし、このようにChatGPTを向き合い、数週間が経つと、コンサルタントの仕事としては何が価値になるのだろうかと考えるようになった。今でこそ、「やる気はあるが、ちょっと抜けてる、スピード命の1-2年目のコンサル」のようなChatGPTも、日々進化して賢くなっていくだろう。そうなると、返してきた回答に対して、「それは違うよ」なんて言える隙もないかもしれない。この延長線上において、そもそも人間がコンサルする意味はあるのかどうか…。考えた結果、今のところ、私の中では3つの価値は残ると信じている。
コンサルタントの強み:依頼の真意を理解し、心に寄り添うサポート
1つ目が、依頼の真意を汲み取り余計なお世話をすること。ChatGPTは、命令したことに対して、回答を返してくれるが、その裏側までは読み取ってくれない。「お腹が空いたな。何食べればいいかな?」なんて質問をして、「どうしました?今日何か辛いことでもありました?」なんて回答は返ってこない。「幸せって何かな?」なんて質問をして、「人生に疲れたなら、ゆっくりしていいんですよ」なんて言葉も返ってこない。もちろん、プログラムを組めばそういった回答も可能だろうが、AIにそこまでは期待できないと信じている。
コンサルタントの独自性:感動的なストーリーを紡ぐ力
2つ目が、人が聞いて納得/感動できるストーリーを描くこと。文章の要約や、定められたインプットを基にして文章を書くことはChatGPTにも出来るが、人間の琴線に触れるようなストーリー展開を描くことは難しいようだ。こういう言い方をしたら、読み手はどう感じるか、ここでこういうロジックを使ったら、納得してくれるか、そこまではAIでも読めていないように思う。これも、人間が複雑だからということに尽きるかもしれないが、AIがその領域に達するには、まだまだ時間が掛かるのではないかなと思う。
人間の独創力:異色なアイデアを組み合わせる創造性
3つ目が、異色なものを組み合わせること。「AとBを組み合わせて、考えて」と言えば、ChatGPTは愚直に考えて、アウトプットを出してくれるが、そもそもAとBを組合わせるということは、人間が発想しているわけで、そこにAIは関わっていない。もしかしたら、人間の脳に電極か何かを刺し込んで、そこから得られた情報をランダムに組み合わせてアウトプットするということも理論的には可能なるのかもしれないが、だいぶ非現実的なので、この異色なものを組み合わせる作業も、まだまだ人間由来な気がしている。
人間の主体性とAI:価値創造の進化する時代
要は、人間の主体性や主観がより価値を生むということなのかもしれない。自分がどう思うか、どう感じるか。それ自体は誰からも否定されることではないし、その個人の「我」によって、AIが駆使されるようになるのかなと思っている。私がコンサルになりたての頃、「~だと思います」と言うと、「あなたが思う・思わないは関係ない。ファクトから考えて、どう客観的に判断できるか言いなさい」という教育を受けた。要は、「I think」ではなく、「It suggests」を使えと。そういう時代も今後変わっていくのかもしれない。
(なお、本コラムのタイトルと見出しは、ChatGPTとディスカッションして決めてみました)
MAVIS PARTNERS プリンシパル 田中大貴