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真面目さ・愚直さがもたらす思考停止

2022-11-11

真面目さ・愚直さがもたらす思考停止

真面目に考えているのに的外れなことばかりしてしまう

一生懸命考えているし、サボっているわけでも無いのに、仕事が上手くいかず、「こんなに真面目にやっても駄目ってことは、自分には向いていない仕事なのかもしれない」と思う瞬間が、これまで何度もあった。もちろん、本当に自分の実力とギャップのある課題に取り組んでいて、必要な苦しみを味わっているということもあると思うが、一方で、無駄に苦しみを味わっていることもあるような気がしている。一時はすごく苦しんだものの、振り返ってみると、「なんであんなに悩んでいたのだろう。そんな深く考えることなく普通に考えれば分かることだったのに」と思うことは少なくない。
自分なりに、そういった”無駄な苦しみ”を味わったときのことを振り返ってみると、大きな要因として、「真面目さ・愚直さがもたらす思考停止」があるのではないかと思うようになってきた。下記では、私が経験した、「真面目さ・愚直さがもたらす思考停止」の3パターンについて書きたい。

当初のやり方にこだわる

まず1つ目は、「最初に決めたやり方に固執して柔軟性を欠く」というパターン。
我々コンサルは特に多いが、プロジェクトのように、期間とゴールが定められているような仕事の場合には、どういったタスクをどういった順番・スケジュールで進めていくか?という設計図を書いてから始めることが多い。基本的には、その設計図をベースに検討を進めていくのだが、場合によっては、状況の変化によって、設計図を書き換えた方が検討しやすくなるというケースも少なくない。そんなときに、すんなりと、設計図を書き換える方向に舵を切れればよいのだが、最初に書いたものを愚直に貫き通そうとして、うまく検討を進められず頓挫するという経験を何度かしたことがある。
一度やり方を決めたあと、無意識のうちに、そのやり方を前提に頭が働いてしまい、頭を動かしているのに思考停止しているという状態である。

過度に厳密性にこだわる

次は、「正確に・精緻に・漏れなくダブりなく・・・と、厳密に考えようとしすぎて、目的を見失う」というパターン。
何かを分析する仕事では、このパターンで思考停止することが多々ある気がしている。例えば、事業計画や投資計画の作成に際して行う数値シミュレーションの場合、出す数値はできる限り精緻なものであるのが望ましいので、モデルやインプット数値をより確からしくしようと考える。それ自体は当たり前なのだが、精緻にしようとしすぎてロジックが複雑になり、自分しか理解できないものになってしまったり、複雑なだけで、結局現実に近いシミュレーションになっているのかよく分からなくなってしまったりするケースが結構あると思っている(これは特に数字好き、分析好きの人にあるあるだと思う・・・)。
本来は、そんな正確無比な分析結果でなくても、正しい意思決定は可能かもしれないのに、目の前のシミュレーションを精緻にしようと猪突猛進し、無駄な時間と労力をかけてしまうという状態である。

自分の知っているやり方にこだわる

最後は、「かつて学習したやり方で押し通そうとする」パターン。
個人的にはこれまで最も経験したことが多く、今でも完全に克服し切ったとは言い切れないのがこのケースで、過去に使った思考法や、フレームワーク、ロジックを無理やり使おうとして、意味不明な考え方をしてしまうというパターンである。
どうしても、何か新たな論点が出てきたときに、検討の仕方をゼロから考えるのは多大な労力が必要になるので、過去に使ったやり方を流用することで楽をしようとしてしまうことがある。特にマルチタスクになっていて忙しいときには、そのように易きに流れてしまうことも多い。しかし、そういった過去のやり方を使いまわしは、大抵の場合、上手くいかない。
受験であれば、セオリーを駆使して問題を解くことが正義かもしれないが、正解のない問いに答えるときに、セオリーのようなものは存在しないと思っておいた方が良いのかもしれない。

一歩下がって自分の現在地を俯瞰する

真面目に・愚直に進めていこうとするがあまり、「今やっていることの目的は何なのか?」「本当に求められているアウトプットは何なのか?」が見えなくなり、頑張っても成果が出ない。上述した3つのパターンは、私自身の経験からピックアップしたものだが、他にもこういった「真面目さ・愚直さがもたらす思考停止」のパターンはあると思う。
このような事態に陥らないためには、いったん目の前の仕事から距離を置いて、自分が置かれている立場や周辺の状況を俯瞰してみてみると良いことを最近実感している。会議で議論が停滞しているときには、他の参加者よりも一段視座を上げることを意識するとか、そういったマインドチェンジだけでも、日々のパフォーマンスに好影響があるのではないだろうか。
猪突猛進で自爆しないように、俯瞰するマインドも大切にしながら、日々の仕事に取り組んでいきたい。

MAVIS PARTNERS アソシエイト 井田倫宏

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