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実体験から課題を認識する、認識させることの重要性

2022-11-04

実体験から課題を認識する、認識させることの重要性

先日トライアスロンの大会に出場した話

先日栃木、埼玉、群馬、茨城の4県の境界にある渡良瀬遊水地で行われたトライアスロンの大会に出場した。この場所では毎年この時期にトライアスロンの大会が開催されている。昨年この大会に参加して「余裕を持って完走するだけの持久力が課題だ」と実感したからこそ、今年は1月から“毎週欠かさず走る”という習慣づくりに勤しんでいたわけだ。
ランニングが習慣化したおかげで昨年よりも(もっと言うと今年7月に出た大会よりも)走れるようになり、前回大会と比べて成長したなと実感する部分も多かった一方で、新たな課題も見つかるものだ。例えば自分は給水や補給食のタイミングを間違えるとお腹が空きやすく、今年もそのせいでランのラスト3kmのペースがガクッと落ちてしまった。その話を知人にしたところ「そもそも脂質をエネルギー源として十分活用できていないかもしれないので、日々の食事から糖質を制限した方がいいかもしれない」というアドバイスをもらった。いろいろ調べてみると、糖質よりも脂質の方が身体に蓄えられる量が多いので、持久力が必要なマラソンランナーなどは、脂質をエネルギーに変換する能力に優れているらしい。
昨年度までは「余裕を持って走り切る持久力がない」というぼんやりとした課題だったわけだが、今年はそこからさらに「余裕を持って走り切るために脂質をエネルギーに変えることのできる体質改善」という具体的な課題も見えてきたわけだ。

課題を自分事として認識させるにはとにかくやらせないとダメ

今回のトライアスロンで感じた課題は、おそらく自分で実感する前に人に言われても「ふーん」という感じで終わっていたと思う。仕事でもなんでもそうだが、自分で何かしら取り組んで、自身が経験したところから実感した課題はやはり納得度が違うなと思った。言われてみればすごく当たり前なのだが、意外と忘れがちなことではないだろうか。これは、部下を育成する上でも大事なことだと感じた。
例えば、私は自分でなんでもやってしまう方で、部下に仕事を振って出てくるアウトプットが微妙だと自分で一から作り直してクライアントとの会議に臨むことがある。だが、それだと部下は「自分の資料はクライアントに出すレベルにない」という問題は理解するが、ではどうすればよいのか、という課題が分からないのだろうなと反省した。部下が自分自身の経験から課題を認識していない状態で、上司の立場で「この部分を改善せよ!」と言っても、部下からするといまいちピンとこないのだと思う。だからこそ、最低限の品質は担保するとしても部下に資料は作り切らせてクライアントに対するプレゼンもさせて、「クライアントにうまく伝えるためには資料をこう見せないとだめだ」とか「この部分の思考が不足していたからここに頭を使わないとダメだ」といった課題を認識させることが大事だなと感じた。

まわりまわって自分の課題も見つかる

一方で、部下自身に課題を実感させようとすると、まわりまわって自分の上司としての課題も見えてくると思う。例えば、「部下自身に課題を認識してもらうためにやり切らせる」ことが大事とはいえ、状況によってはPJの品質担保のために任せるべきではない場合もある。また、部下への仕事の任せ方次第でアウトプットの良し悪しが決まる場合もあるだろう。「部下に任せる」という判断をしたことで、自分自身のマネジメントとしての「PJの品質担保と部下の育成のバランス」や、「部下への仕事の依頼の仕方」といった課題が見つかる。これも自分が経験したからこそ気づく課題である。
さて、「実体験に基づく課題が大事」というのは、コンサルとしてクライアントに課題提起する場合も同じだと思う。第三者として客観的なファクトに基づいて課題を提起しても、クライアントは理解できても腹落ちはしない、という状態になるのだろう。とにかく、クライアントにもアクションしてもらって、課題を実感してもらうよう導くことがコンサルとして大事なのではと感じる。あるいはクライアントの実体験に基づく課題提起、というのだろうか。コンサルの立場でクライアントをアクションさせるのは難しいが、そこまで見据えた提案ができるコンサルになりたいものだ。それが私の“コンサルとしての課題”かもしれない。

MAVIS PARTNERS マネージャー 渡邊悠太

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