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質問ありますか?の罠

2022-03-04

質問ありますか?の罠

「質問ありますか?」は「質問してください」という意味

何か説明をされた後、「質問ありますか?」と聞かれることは、誰しも経験があるはずだ。そんなとき、「質問があれば質問するし、質問がなければしないよ」というのが普通かもしれないが、私は無理やりひねり出してでも、質問はした方がいいと思っている。
クライアントとの会議でも、採用面接でも、何か説明した後、私も「質問ありますか?」と聞いて、相手に意見を求める。良い質問をされれば、議論が弾むし、難しい質問をされれば、思考が更に深まる。逆に、「いえ、特にないです」と言われると、そこで終了なので、議論が発展しない。質問したいことが本当に無いなら仕方ないが、そんなときは、「あれ、興味なかったのかな」と残念に思う。
なので、私が質問を求められたときには、必ず1つ2つはしようと心がけている。そうじゃないと、せっかく説明してくれた人に失礼だと思うから。質問し過ぎて、相手の予定を狂わせてしまうと良くないが、適度な質問は、議論を円滑にすると信じている。それに、同じようなことを疑問に思っていた人がいれば、「聞いてくれてありがとう」と思われるかもしれない。

質問が無いことを良いと思ったらダメ

逆に、自分が説明する立場のときには、何かしら質問されなきゃいけない。1通り説明して、何も質問されないときは、理解してもらっていないか、興味を持ってもらえていないか、或いは、その両方か。要は、話し手と聞き手の歯車が合っていないときだ。ダーっとまくしたてるようにプレゼンして、誰からも質問されないことを、「よし、うまく説明できた」とポジティブに捉えている人もいるが、それは大きな誤解。そもそも、プレゼンという「コミュニケーション」になっていない。質疑応答を重ねて、認識を揃えて、理解を深めていき、議論の中で、新たな考えを生み出すことがプレゼンの本質だろう。聞くだけなら、各人自由なタイミングで録音を聞けば良い。
人間、理解できないと、思考がシャットダウンして、質問すら思い浮かばない。「わからないこと」がわからないからだ。認知負荷が高いだけで、思考には害。少なくとも、相手が理解できるものをお届けしないと、議論は始まらない。一生懸命プレゼンしたけれども、誰からも質問されなかったというのは、そもそも論外、シビアに言うと、評価にも値していないと思った方がいい。質問は大事だ。

質問するための戦略、されるための戦略

では、質問するにはどうすればよいか。もちろん、手を上げて問いを放てば、それが質問にはなるが、どんな質問すればいいのか分からないとか、いつ質問すればいいか分からないということもあるだろう。私の場合は、なるべく1番目に手を挙げるようにしている。後になるほど、質問のハードルが上がって、質問しにくくなるから。そして、話を聞きながら、「自分だったらどうするか?」を考えておくのも大事だろう。話し手の考えと、自分の考えが食い違うところで質問が発生する。どうして、そのように考えるのか。なぜ、そう判断したのか。それを問えば、議論が生じる。
反対に、質問されるにはどうすればよいか。当然に内容が理解しやすいことは前提として、1つ工夫を挙げるならば、敢えて、突っ込む隙を作っておくこと。例えば、因果の因を抜かして、説明してみること。すると、「どうして、そう考えたのか?」と、理由を問う質問が来る。要は、聞き手から、突っ込まれやすいポイントを用意しておけば、質問されやすくなる。あまりやり過ぎると、スカスカの内容になってしまうので注意だが、双方型にしたいならば、敢えて全ては話さないことも大事だ。「会話が弾む」というが、議論の場合は、「議論を弾ませる」だ。自発的に仕掛けなければ、議論は活性化しない。

MAVIS PARTNERS プリンシパル 田中大貴

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