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「型」を使う側から創る側へ

2022-03-11

「型」を使う側から創る側へ

世の中にある「型」を流用しても付加価値ゼロ

世の中には、思考の「型」と呼ばれるものが無数に存在する。3C分析やSWOT分析、5フォース分析など、ビジネスマンであれば、一度は聞いたことがあるのではないか。そういった「型」を知っている(整理の枠を知っている)人は多いと思うが、一方で、それらを使いこなせている人はどれだけいるだろうか。
よくあるのが、上記のような「型」を使って、単に情報を整理して満足してしまうケースだ。3C分析であれば、「市場・顧客に関する情報を書いて、競合の情報を書いて、最後に自社に関することを書いて・・・出来上がり!」といった具合である。
かくいう私も、そういった「型」に情報を埋めて満足して、「あれ、結局言いたいことは何だっけ?」となってしまったことが、何度もある。そのたびに、上司に「すでにあるものを使っているだけで、頭使っていないよね?」と言われ、恥ずかしくなった。
結局、そういった世の中に存在する「型」を、自分の頭でまともに考えもせず、流用するだけでは、全く付加価値が無いのである。

自分の言葉で解釈すると、「型」を使いこなせる

とはいっても、「型」は思考を活性化させる上で重要である。「型」を用いることで、ゼロから自分で考えるよりも、検討の網羅性をある程度担保出来るからだ。重要なのは、その「型」を自分の言葉で解釈できるのか?だと思っている。
「なぜその枠で情報を整理するのか?」「整理された情報から何が言えるのか?/言いたいのか?」など、「型」を使うとしても、一度自分の頭を使って、その「型」を解釈してみると、検討の深みが増す。
最近、とあるサービスに関して、CX(カスタマー・エクスペリエンス)をどう向上するのか?について検討する機会があった。それまで、そういったテーマに関してじっくり考えたことは無かったため、CXについて解説している書籍を3~4冊読んで、何か使える思考の「型」は無いか探した。結果、その検討にダイレクトで役に立ちそうな「型」は見当たらなかった。いくつもの思考の「型」が紹介されているのだが、どれもしっくり来なかったのである。そこで、それらの書籍に載っている思考の「型」の意味を、自分で声に出して解説してみることにした。すると、その「型」の背景にある考え方が分かってきて(少なくとも自分が納得する形では理解できて)、そこから、全く新しい整理の方法を見出すことが出来た。

誰かに使ってもらえる「型」を創りたい

コンサルという職業柄、これまでたくさんの思考の「型」に触れてきた。最近では、それらの「型」を少しずつ、自分の言葉でも解釈できるようになってきて、使えるようになってきたと感じているが、同時に「このままだと、ただの器用貧乏になってしまうな」とも感じている。
そんな折、上司から「世の中にある「型」を使うだけでは半人前、自分で「型」を生み出せるようになったら一人前」と言われ、ハッとした。いまの自分は、他人の創ったものを使っているだけで、自分からは何も生み出していないのではないかと思った。
世の中にある「型」や、これまでに先輩コンサルタントが考えた「型」は、当然ながら、その背景に人が頭を悩ませ、体系化した過去がある。そして、そのような、自らの経験を「型」に昇華するプロセスを通じて、自分自身の付加価値を高めていったのかと想像している。
もちろん、ゼロから「型」を創るのは簡単なことではないが、「型」として可視化されていない思考プロセスは、世の中にはゴロゴロある。まだ存在していないものを創るのだから、ロジックさえ通っていれば、正解/不正解はない。そういう意味では、自分にもチャンスはあるはずだと思っている。
自分が、いまよりも一段成長して、より深みのあるコンサルタント、クライアントに信頼されるコンサルタントになるために、他人の「型」を使いこなすことで満足せず、自分から新しい「型」を生み出していきたいと思った。

MAVIS PARTNERS アソシエイト 井田倫宏

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