4.プリンシパル
印刷シナジー創出は知恵の賜物
2020-12-18
M&Aコンサルタントはシナジー創出請負人
多角化企業の事業間シナジーを企画する、既存事業と新規事業のシナジーを創出する、過去のM&A案件で企図していたシナジーを再創出する。これらはどれも、我々M&Aコンサルタントの仕事だ。特に、弊社ではM&A仲介業を行っていないため、M&A周りの課題解決が生業だ。シナジーの企画や創出支援は、その典型的な1つである。
フレームワークを活用しながら、あれこれ組み合わせて、掛け合わせて、創出し得るシナジーを検討する。既に狙っていたシナジーがあるならば、それが創出できなかった阻害要因を突き止め、解消することで、シナジー創出を促す。我々の職業は、シナジー創出請負人と言っても過言ではない。それぐらい、クライアントのシナジー創出余地を考えている。シナジーを考えることは面白い。足し算ではなく、掛け算なので、創出できた時のインパクトも大きい。
社長とプレイヤーにシナジーは?!
個人の仕事でもシナジーは創れる。私はコンサルタントでありながら、大学院で講義をしたり、雑誌に寄稿したりしている。コンサルタントという仕事は、多面的なスキルが求められるため、話すスキル、気づかせるスキル、書いて伝えるスキルなどは、ダイレクトに活きる。そういう意味で、講師業や執筆業は、コンサルタントとしてのスキルアップに役立っている。逆に、コンサルタントで培った実務経験が、講義に活かされたり、執筆内容に活かされたりもする。互いのシナジー創出度合いは非常に大きい。
以前、「経営者になりたいのか?コンサルタントを究めたいのか?」と、所属していた会社のマネジメントに問われたことがある。その時、私は社長とプレイヤーは両立できないものなのか、その両者にシナジーは無いものなのか、と感じながらも、数秒考えて、「コンサルタントだ」と答えたのを覚えている。私は、会社の社長になりたいわけではない。今でもそうだ。自分の納得いくやり方でコンサルティングが出来るコンサルタント集団が創りたい。そのために必要だから、社長業をやっている。
視座が変わった
とはいえ、社長業を始めて、早1年超が経つが、経営者とコンサルタントの間でシナジーは意外とあるものだ。
大きな話で言えば、コンサルティングをするうえで、今まで以上に社長目線に自然になれるようになった。自分が社長だったらどう思うか、どう感じるか、どうしたら助かるか、喜ばしいか。以前は、無理やり視座を高めて、社長の頭を想像するしかなかったが、企業規模は全然違えども、同じ社長として気持ちが分かるというか、物事の見方が理解できるようになった気がしている。もちろん、出来ているとは言い難いレベルだが、糸口がつかめた気がするのだ。
また、小さな話で言えば、費用対効果を強く意識するようになった。経営をしていると、当たり前だが、毎月の支払いが実に多い。給与の支払い、外注先への支払い、家賃の支払い、携帯料金の支払い等など。そして、毎日のようにあらゆる営業を受ける立場になった。そうすると、否が応でも費用対効果を意識する。本当にこの金額を支払う価値があるのか否か。それは、対クライアントに対してのサービス提供でも自問自答することに繋がった。このFeeに対して、これでいいのか。お金を払って良かったと思ってくれるだろうか。そんなことを日々の会議でも考えさせられるようになった。
意味づけ次第で、シナジーは無限に
結局、何事も関連づけることが出来るのだと思う。経験からどのような意味を見出すのか。それはその人の考え方次第だ。生きてきた過程の中で無駄なものなど何もない。大学受験に失敗して多浪しようと、大学で留年しようと、就職が決まらず浪人しようと、ニートだろうと、引きこもりだろうと、フラレて落ち込もうと、人に裏切られて絶望しようと、それはその人を構成する経験の一部だ。そこから何を意味づけ、今の何に活かすのか。意味づけ次第でいくらでも考えられる。意味づけこそ、人間の知恵が為せるモノだ。Aという事象とBという事象の関係において、AIで相関は計算できても、因果は説明できない。人間が想像を巡らせることで、一見関連のなさそうな事象同士でも意味づけをして、関連付けられる。そして、その繋がりに意義を感じることができる。人生におけるシナジー創出もまた面白い。
MAVIS PARTNERS プリンシパル 田中大貴