1.アナリスト
印刷社会人の基本スキルは自然と習得できるものなのか?
2023-12-01
社会人の基本スキル
社会人の基本スキルと言ったときに、皆さまは何を思い浮かべるだろうか。失礼のないような表現・言葉遣いができる、責任をもって業務をやり遂げる、報・連・相を怠らない、ルールを守ることができる、など、本当に基本的なことを思い浮かべる人もいれば、主体性やリーダーシップなど、もっと上を求める、という人もいるかもしれない。
今回は前者の、基本中の基本、と呼ばれるスキルがいかにして身につくのか、というのを考えてみたい。私は、恥ずかしながら前職では部下を持ったことがなく、MAVISに入ってから、インターン生に指示・フィードバックをする立場になった。部下と呼べる存在を初めて持って気づいたことは、大学生の書く文章や話す言葉の敬語の拙さ、報・連・相の内容の薄さ、ハキハキさのなさなど、基本スキルの未熟さである。(自分を棚に上げてしまっているが、自戒も含めて、である・・・)
もちろん、彼・彼女らは社会に出ているわけではないので、今時点でダメだとは全く言っていない。気になったのは、人はいつからそのスキルが身につくものなのか?ということである。新卒で入社した後、社会人研修なるものを受けさせられ、お辞儀の角度や名刺の渡し方などは習った記憶はあるものの、そんなものでは上記のようなコミュニケーションのスキルは身につくとは到底思えない。
単に時を過ごせばよいというものでもない
今は、新社会人向けの本もあるし、ネットで調べればいくらでもそうした情報は出てくるので、単に「こうやればいい」という情報はすぐに集まるだろう。特に敬語の使い方などは、ネットから恩恵を今でも受けているので、有益な情報も多々あると思う。
また、そうした情報を集めなくとも、社会人生活を送っていれば、上司から叱られるし、失礼をして失敗する場面も経験するだろうし、経験値をためることで、ある一定は、自然と身についていくものではないか。(たまに、運が悪かった、、と思うしかないものもあるが。)
だたし、過去に、同じ部署ではなかったものの、私より役職の上の人の報告を聞いていて、新人の私からみても「それはないだろう…」というような説明をしている人もいたし、「え、それなんで先に言ってくれなかったんですか?」と言いたくなるような部下の首を絞める上司もいたことを思い出すと、ただ社会人生活を過ごし、環境に慣れるだけで、きちんと身につくようなものでもない気がしている。
なぜ、そうしたことが発生するのか考えてみると、結局のところ、いかに人を思いやれるか、ということに帰結すると考えている。
人の立場に立って思いやる心
例えば、あることを報告する必要があるかどうか迷ったとき、「これを報告しなかったら、上司は困るか?自分が上司だったら、何に困りそうか?」、成果物を提出するとき、「この構成・文章できちんと伝わるだろうか?自分が上司だったらこの内容でクライアントに説明できるか?」など、相手が負担する行動・手間・消費しなければならない時間というのを想像するだけでも、自分がやるべきことが少しは見えてくるのではなかろうか。
本やネットの情報だけでなく、個人として、いかに想像し、共感し、思いやれるかというのが、社会人の基本スキルを身に着ける最短の道であるのでは、とインターン生と関わっていて感じたし、自分もインターン生に対し「これで伝わるかな?やりづらくないかな?」ということをきちんと考えてコミュニケーションを取っていきたいと思う。思いやる心は社会人経験の有無・長さは関係なく、持てるはずである。
そしてこれは、コンサルスキルとしても通ずるものがあるはずである。クライアントの悩みに共感し、どのような価値を与えられるかを必死に考える、クライアントがどのように受け取るかを想像する、というのは常に我々がやらなければならないことであり、自分としても、より価値の発揮できるコンサルタントになれるよう、人の立場に立って思いやる心を忘れずに持っておきたい。
MAVIS PARTNERS アナリスト 神尾唯