4.プリンシパル
印刷MAVISが規模を追及しない理由
2023-07-14
世界一は続かない
最近、選考方法を変えたこともあり、私が面接を務める機会も増えてきた。面接で大体聞かれる質問が、「MAVISの規模を15-20名ぐらいで抑えようとしている理由は何ですか?」というものだ。HPのFQAに書いてある通り、それぐらいのサイズ感が、理想とするコンサル会社運営に適当だからという理由だが、それは、裏を返せば、コンサルティング会社の規模を拡大しても、その行き着く先に何があるのか分からないから、ということでもある。
人数が増え、売上が増え、利益が増え、(仮に上場したら)時価総額が増えて……。どこに行き着いたら、その競争は終わるのか。仮に世界一になれたところで、それはある一時の現象であって、それ以上でもそれ以下でもないと個人的には思ってしまう。栄枯盛衰、いつかは、他社がその定量基準では世界一になるだろうし、その刹那的なゴールを達成しようとするモチベーションが湧かない。もちろん、そうやって規模拡大して、雇用を創出し、クライアントにより多くの貢献ができていること自体は、素晴らしいことだと思うが、それを弊社が志向するかというと、全くそういう気になれない。別にNo1になりたくて会社をやっているわけではないのだ。
世界一より世界初
とすれば、弊社のような小さいコンサル会社が志向すべきは、限界が明らかに見える規模拡大ではなく、自分たちしかできないことの成果作りと、それら知見の発信なのではないかと思っている。いくら規模拡大したとて、弊社のコンサルティングスタイルで、請け負えるプロジェクト数には限界がある。だったら、その数を増やすのではなく、数は少なくても、じっくり各プロジェクトにコミットし、面白くて役立つ知見を使える形にして外に発信することではないか。MAVISはそういう志向をしているコンサル会社だ。
“記録”より“記憶”に残るコンサル会社、“世界一”より“世界初”を持っているコンサル会社であるほうが、よっぽど嬉しい。弊社は、M&Aを基軸にしたコンサルティングが得意なので、自ずとM&A周りの知見が多いが、「あのコンサル会社のM&Aに関する考え方はわかりやすいね」とか、「あのコンサル会社が提唱するM&A戦略の方程式は使えるね」とか、そういう風に言ってもらえるようになれたら、MAVIS PARTNERSをつくった意味があるなと思う。もちろん、M&A以外のテーマもプロジェクトはあるので、人々が難解で捉えがたいと思っている概念を、どこよりも分かりやすく噛み砕いて消化できやすい形にしていきたいと思う。
一番“先に”頼られる存在
採用面接でこの質問もされることがある。
「MAVISの競合はどこですか?」
正確に答えれば、M&Aプロセスの工程ごとに競合は変わるが、それは機能を比較した場合の話であって、実際は、私自身、どこも競合と思っていない。規模拡大も目指して無ければ、どこに勝ちたいとも思ってないし、自分たちがべらぼうに儲けたいとも思ってない。ご依頼いただいたプロジェクトでしっかり成果を出すだけ。そして、それを知見の形にして、世の中に還元するだけだ。
もし、「一番頼られるコンサルティング会社でありたいか?」と聞かれれば、YESと言うだろうが、それは、「一番“多く”頼られる」という意味ではなく、「一番“先に”頼られる」という意味だ。なにか困ったことがあり、どこに相談したらいいか分からないとき、真っ先に脳内に想起されるコンサルティング会社になりたいと思う。このテーマならA社だよね、そのテーマならB社だよね、という定番があっても、「これはどこにお願いすればいいんだ?」と迷うものがあれば、すぐに相談先として想起されるように。
MAVIS PARTNERS プリンシパル 田中大貴