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暗中模索に光を照らすコンサルという仕事(個人的見解)

2023-06-16

暗中模索に光を照らすコンサルという仕事(個人的見解)

MAVIS初の短期インターンを実施中

今年、MAVIS4期目にして、はじめて短期インターンを実施している。5月にM&A概論の講義を実施、希望者は6月にケース課題に取り組むというもの。MAVISはまだ4期目のベンチャーファームなので、どれぐらい募集が集まるか不安だったが、想像以上にたくさんの学生から応募をいただいた。結果、5月の講義には約50名が参加、6月のケースには、書類選考後、11名が参加することになった。
来週頭に、最終成果物を提出してもらう予定だが、検討期間の中で2回、弊社コンサルタントから検討内容について、フィードバックする機会を設けている。私も、初回フィードバックの打ち合わせには全て参加した。そこで感じたのは、(学生なので仕方ないが)経営コンサルティングという仕事に対して誤解をしていそうだなということ。しかし、学生に限らず、コンサル志望の社会人でもよくある誤解でもあった。
そこで、コンサルってこういう仕事なのか、と少しでも理解してもらえたらという期待で、コンサルという仕事に対するよくある誤解と実態について述べてみたい。

よくある誤解①「調査・分析を頑張れば価値が出るはず」と思っている

これは弊社の採用選考でもよく見受けられる現象だが、“自分なりに”頑張れば認められるはずという誤解だ。たくさん調べて、分析して、大量の資料を作成して、バンっと提出してくる人。大学のレポートなら、多少は評価されたかもしれないが、コンサルティングという仕事では、クライアントにとって価値が無ければ、評価はされない。
たった1枚の資料でも付加価値がある場合もあれば、100枚あっても、無価値の場合だってある。そもそも、クライアントが何に困っていて、何を考えて欲しいと思っているのか、その“読み”が外れていれば(していなければ)、何を調査して分析しても、価値に繋がることはない。大量のレポートから、価値ある所を探してもらえるなんてことはあり得ない。

よくある誤解②「この問いには正解があるはず」と思っている

クライアントから依頼されたことに対して、正解を探しにいく人も多い。一生懸命、調査して答えを探そうとする。世の中に(Googleに?)答えが落ちているはずと思っている感覚は捨てた方が良い。大体、答えが落ちていたら、コンサルに依頼することもないはずだ。自分たちで調べても考えても、納得いく答えが出ないから、外部のコンサルタントに助けを求めたはず。その前提に対する想像力が必要だ。
或いは、自分の考えたことを、「これって合っていますか?」と聞く人も多い。相手に答え合わせしてくださいと言っているようなもので論外だ。また、自分の成果物に対して、相手に「違和感無いですか?」と聞くのも、ほぼ同義だと思う。それがファクトか否かを確かめるために、「これって合っていますか?」なら良いが、相手に対して答えを探るような姿勢は、コンサルタントとしては3流だろう。

よくある誤解③「この方程式に当てはめれば正解が出るはず」と思っている

コンサルタントが使うフレームワークは多いが、それらフレームワークを使えば、正解が出ると思っている人は意外と多い。これは学生に限らず、社会人でも然り。やたらとフレームワークを知っていたり、知りたがったりするのは、それが理由だろう。
でも、考えてみて欲しい。仮に、フレームワークで正解が出るとしたら、経営なんて楽すぎないか?フレームワークを知っていれば、経営方針に正解が出るなんてことはあり得ないだろう。フレームワークは、思考の整理、思考の幅出しのためのツールであって、それ以上でもそれ以下でもない。例えば、検討の中で、SWOT分析をすることは止めないが、最終成果物にSWOT分析結果がそのまま残っているようでは、何も考えてないに等しい。SWOT分析から何が言えるのか、そこが無いと価値がないのだ。(残っている時点で成果物の質は低いと100%断言できます)

正解のない世界へようこそ

そんなことを言っていると、「では、コンサルタントは正解を追究しないのですか?」と言われそうだが、そもそも、正解は無いと思った方がいいと思う。「正解」とは、文字通り、“正しい解”のこと。ただ、誰にとって正しいのか、どうして正しいのか、どこまで正しいのか、いつまで正しいのか……等、真面目に考えると、不確実性が高く、現実世界で唯一無二の正解は無いと私は思っている。
あるとすれば、「最善の妥当解」。クライアントの文脈にあった、実情をふまえた解。その中でも、最善と思える解。それを追究すること。我々コンサルタントの仕事は、そういう代物を模索し続けるものだと思う。暗中模索でもめげず、火を灯し、クライアントの手を取って前に前に歩み続ける仕事。
正解か不正解か、そういった世界で生きてきた時間が長いと、仕事でも正解を求めたくなるのかもしれないが、正解がある世界なんてフェイクだろう。現実はもっとグチャグチャでグレーでとらえどころがないものだと思っている。そこに、鋭い切り口でメスを入れ、第3者が見ても、「あー言われてみればそうだ」、「もっともだ」、「ようやくスッキリした」と言われる解を見出していくこと。グレーな世界に白黒つける。そこにコンサルタントとしての価値があると私は思う。正解が無いからこそ難しい。正解が無いからこそ面白い。そんな仕事なんです。

MAVIS PARTNERS プリンシパル 田中大貴

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