4.プリンシパル

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ストーリーを持って死にたい

2022-02-18

ストーリーを持って死にたい

欲望は尽きない

今年から、採用活動を積極的にはじめた。面談で必ず聞くことは、「10年後、20年後、将来どうしたいのですか?」という質問。何か、夢や目標があって、MAVISで働くことがその糧になって欲しいと思って聞いている。色々な回答があるが、一定層は、「お金を稼ぎたい」という内容だ。私が「いくらぐらい必要なのですか?」と聞くと、たいがい「うーん」と答えに詰まる。
いや、分からなくもない。特に20代のうちは、周りの友人知人がいくらもらっているか気になるだろうし、具体的にこれぐらいの金額が欲しいというよりは、お金を稼ぐことが目的化してしまっているのもよくある話だ。
では、そういう人たちがお金を実際に稼げるようになったら、ハッピーなのか?私が見聞きしている限り、そうでもない。お金を一定額稼げたら、生活は派手になり、より多くのお金を稼ごうとするし、言動も横柄になっていく。「お金を持つようになってから、人が変わってしまった」のは、昔からよくある話だし、私が子供の頃に好きだった、織田裕二主演のドラマ『お金がない!』で、まさにそんなシーンがあったのを覚えている。しまいには、目的がないので、くだらないことや、刺激的なこと、良からぬことに時間を使うようになる。

トンカツを食べる

一方、私はあんまり欲が無い方なのか、お金に対して執着心があまりない。そう言うと、家が金持ちだったんでしょ?と言われることがあるが、決してボンボンで育ったわけでもないし、どちらかと言えば、環境的には金銭面で困った経験が多かったのだけれども…。
小さい頃、父親が、「トンカツを好きな時に食えるくらいになれ。それが、人間偉すぎもしない、貧乏すぎもしない、ちょうどいい」と、私に言っていた。(これが漫画『おいしんぼ』のセリフだったことを知ったのは、20年後のこと)
それが頭に焼き付いているせいか、お金のことを考えると、トンカツが思い浮かぶ。トンカツに限らずだが、食べたいときに食べられること、家族が何かあったときに困らないこと、子供がやりたいと言っているものはやらせてあげられること。それぐらいが出来たら、十分幸せなんじゃないかなと。もちろん、人によって、そのために必要な額は変わるだろうし、そこを目指すこと自体は何も否定しない。ただ、その基準はきちんと設定した方がいいし、その基準を超えてまで、ひたすらお金を稼ごうとする行為は、私の価値観には合わない。

フローで生きる

昔、先輩から言われた言葉で覚えているのが、「プロとして生きたかったら、フローで生きられるようになりなさい」というもの。当時は、あんまりピンと来てなかったけれども、「必要なときに、必要な額を稼げる人になれば、誰に媚びること無く生きられるよ」という意味だと、今では解釈している。確かにそうだなと思って、ストックで生きることに頭を使うよりも、フローで生きることに頭を使うようにしようと思った。「金持ち父さん」とは対極の生き方だが、私にはその方が心地よい。財テクとか無理です、はい。
そして、私は、すごい金額を稼いで、SNS上で崇められている人に対しては何とも思わないが、何か自分の芸やスキルを極めようとしている人や、何かの領域でNo1を目指している人、或いは、世のため人のために一心不乱に頑張っている人には、とても惹かれる。なんでかなぁと思うと、おそらく、その人の「ストーリー」が見えるからだと思う。日本語でいうと、「生き様」というものかもしれない。売れずに極貧生活を送りながらも、自分の芸事を極めようとしている人には惹かれてしまうし、なんか美しいなぁと思ってしまうのだ。
死ぬとき、自分ならではのストーリーが残っているといいなぁとよく思う。この世に存在した意義みたいなものを感じながら、旅立っていく逝き方に憧れる。そこにはお金なんて関係ないのですよね。フローで生きつつ、ストーリーを残す、そういう男でありたいものです。

MAVIS PARTNERS プリンシパル 田中大貴

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