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相手の記憶に残るための仕事のやり方

2021-03-12

相手の記憶に残るための仕事のやり方

他人の記憶に残るの人はほんの一握り

つい最近、プロジェクトが終了した後にクライアントから「今回は本当に助かった。また何かあったら直接連絡しても良いか?」という感謝の言葉を頂いた。これに関しては素直に嬉しかったのだが、ふと「これまで関わりのあったクライアントにも同じように感謝をされ、彼らの記憶に残るような活躍をできていただろうか」と思い、これまでの案件を振り返ってみた。
これまで関わりのあったクライアントの数は約20社。しかし、「あの人は今でも自分の事を鮮明に覚えてくれているだろうか」と考えてみると、自信を持ってYesと答えられる企業は多くなかった。
私は学生時代の6年間、塾講師のアルバイトをしていたが、当時の生徒で鮮明に記憶に残っているのはほんの一握りで、大半は名前すら思い出せない。コンサル業でも同じで、クライアントにとって記憶に残るコンサルタントはほんの一握りではないだろうか。

誰よりも相手のことを考えて、相手と会話した人が記憶に残るのではないか

ではどういった人物が記憶に残るのか。コンサルタントであれば、「他の誰よりもクライアントのことを考えて仕事をして、他の誰よりもクライアントと会話した人物」だと私は思っている。「他の誰よりも」というのは、「同じ案件に参画している他のコンサルタントよりも」という意味で使っている。「誰よりもクライアントのことを考えている」というのは曖昧な表現だとは思うが、実際に時間をかけてクライアントの抱える課題と向き合い、仕事をする姿勢は、自ずとクライアント側にも伝わるのではないかと考えている。
そうだとしたときに、これまでのプロジェクトにおける自分の働きぶりを振り返ってみると、多くの場合、クライアントに対する姿勢がプロマネや他上司にくらべて、まだまだだったと感じるケースが多いので、「あのクライアントは今でも自分の事を鮮明に覚えてくれているだろうか」という問いに対して、自信を持ってYesと答えられないのである。

一番大変な仕事を引き受け、一番責任の重い役割を担うことで信頼を得られた

それでも最近、「このクライアントには自分の記憶が残るはず」と思える出来事があった。
そのプロジェクトは少し特殊で、弊社MAVIS PARTNERS以外に所属するコンサルタントと協働であるクライアントを支援するというものだった。各人がそれぞれ専門性を持って、各種リサーチや資料作成、クライアントとのディスカッションを行う形で進めていったが、最終報告が近づいても、なかなかクライアントの満足する成果物を我々コンサルタント側が提示することができずにいた。
時間も残り少なく、作業を分担し、あとで整合性をとるという余裕もなかったため、それまでクライアントとのコミュニケーションも多かった私に、最終報告資料のほぼ全てを作成する役割が課されることになってしまった。
正直最初は乗り気ではなかったし、「なんで自分ばかり」と思うこともあったが、昼夜を問わずにクライアントのことを考え、資料を作成し、議論をすることで、日に日にクライアントから感謝される機会も増え、最終的には冒頭で述べたような言葉をいただくことができたときは、本当にやってよかったと思えた。

若手のうちは価値の出しどころを絞ることで印象を残せるのでは

どんな仕事であれ、若手のうちから取引先にとって一番の印象を残すことは容易では無いと思う。上記で述べているエピソードはかなりの特殊事例で、今後同じような経験をすることはほとんど無いだろうと思っている。
確かに、その案件全体で上司よりもインパクトを残すことが難しかったとしても、ある一部分で圧倒的な価値を発揮して、「○○さんは、△△の部分で本当に助かった」と思ってもらうことなら不可能では無いと思っている。
「とにかく足を動かして市場調査を行い、貴重な一次情報を持ってくる」等、若手でも価値を出せる部分は少なからずある。あとは、しっかりフロントに立ってコミュニケーションを取れば、少なからず相手の記憶に残ることができるのではないか。

PMI成功の秘訣も、買収先との信頼関係

以前、日本電産のM&Aに最前線で関わっていた方にインタビューさせていただいた際、「(PMI担当者として買収先に送り込まれる社員は)部下が戦っている塹壕に飛び込まなくてはいけない」という考え方を教えていただいた。M&Aにおいて買収した側は買収された側に対して、PMIの担当者を送り込むことが多いと思うが、その担当者が買収された側の誰よりも必死に働くことで、買収された側の従業員からの信頼を得ることができ、その後の情報交換やシナジー創出がスムーズに進むということである。
コンサルタントとクライアントという関係とは少し異なるが、誰よりも相手のことを考えることで、信頼を得られるという点では、持つべき意識はPMIの場合でも同様だと思った。

MAVIS PARTNERS アナリスト 井田倫宏

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