2.アソシエイト
印刷グループガバナンスにおけるバランス
2026-03-06

あらゆるところに存在する「ガバナンス」
社会を見渡すと、実に多様な「グループ」が存在する。一番分かりやすいのは、企業グループのように資本関係で結ばれた強固な結びつきだが、MAVISも他企業と資本の関係はないもののアライアンスグループに所属している。スポーツチームや学術団体、地域コミュニティに至るまで、規模も性質も異なるこれらのグループによって、社会はできている。
どのようなグループであっても、そこには必ず何らかのガバナンスが存在する。小さい個人間のコミュニティでは、「絶対に他の人に言わないで!」と言ったことを軽々しく話してしまう人によって、コミュニティ内部から破綻する場合もあり、誰にどこまで何を言うかというのは自分自身のガバナンスだったりもする。一方で、大企業ともなれば、直近のニデックの事例など、トップの暴走を止められるのか、それはどのような仕組みによって担保されるべきか、というのがまさにガバナンスとして重要だったのだろうと思う。ガバナンスの設計と運用の仕方が、そのグループの成功と失敗を決定的に左右するということである。
グループの質とガバナンス
また、「グループ」が大きくなればなるほど、リーダーの求心力によって、実際の関係性の深さとは無関係に、その責任範囲を明確に線引きしなければ、外部から疑念を持たれやすくなるという現象はサナエトークン事案からも見て取れた。
サナエトークンはYouTube番組の「Noborder」から始まったプロジェクトの一環で発行されたものと理解しているが、MCである溝口氏が一方で運営している番組「Real Value」で宣伝したことにより、本来はそれぞれの経営を個別に行っている、当番組に出演している経営者達にも「関係があるのでは?」と疑念が向いていた。直近でもXで関係者が「私は関与していません」という発信を行っているものをいくつも見た。(私は夫が当番組を好きだったので、横目で見ている程度だったが、それでも興味深い事象だった)
求心力があり、ある種ワンチームとして機能している「グループ」は、本来望ましい形に思えるが、それが、反対に制約や疑念を生んでしまうという皮肉な状況が生まれることがあるのだろう。
新しく、勢いがあるほど、注目度は高い一方で、ガバナンスが追い付いていないということもあり、外部からの見え方や印象までも考慮したガバナンス構築というのは非常に難しいものなのだろうと感じた。
バランスの試行錯誤
こうした問題を回避するために何から何までガチガチに決めればよいかというとそうではない。過度に厳しいガバナンスはそのグループが本来持っていた価値や強み、例えば迅速な意思決定力、柔軟性、メンバー間の信頼関係に基づく協力体制などが損なわれてしまう可能性もある。それは企業グループでも同様である。
どのような「グループ」であっても、ガバナンスは確かに必要不可欠な要素であるが、それ自体が目的化してしまっては本末転倒である。結局のところ、「バランスの問題」ということになる。責任・許容範囲を明確化し、一定の境界線を設ける必要がある一方で、そのグループが持つ固有の価値や魅力を損なわない程度に制約を抑えておく必要がある。(妻から夫へのよくあるお小遣いガバナンスもおそらく同様。)また、それを実現できる「文化」も重要だろう。
そして、このバランスは静的なものではなく、動的なものであり、内外の環境や「グループ」の目的・ステージ・対峙する相手によってその形は変わっていく。完璧な解決策など存在しないからこそ、継続的な試行錯誤と改善を重ねていく姿勢が求められるのだろう。
MAVIS PARTNERS アソシエイト 神尾唯








