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努力は才能より環境か

2025-02-28

努力は才能より環境か

「努力が足りない」に対する違和感

世の中には、挫折知らずのエリート街道まっしぐらで生きてきた人もいるし、多少の挫折はあれども自分の力で乗り越え上手くやってきた人もいる。一方で、何をやっても上手くできなかった人もいるだろうし、上手くいっていたのに何かがきっかけでダメになってしまった人もいるだろう。その成否の違いが生まれる原因は何だろうかと考えることがある。
若い頃は、「努力もせず頑張らなかったからダメなんでしょ」と思っていたが、徐々に、努力できる人とできない人が根本的にいることもわかってきて、「努力は才能なんだろうか」と思っていたこともある。
でも、自分も結婚して子どもを持ち、親の立場で考えてみると、それってなんか違うよなぁという違和感を感じるようになった。

努力が環境依存ならば同一視できない

子どもが小学校受験をするかどうかが家庭内で議題にあがるとき、「自分はこういう風に勉強してきたから、子どももそうできるはずだ」論がよく出てくるらしい。どちらかというと、父親がそういう「自分はできたから派」のようだ。特に、小学校から高校まで公立学校で過ごし、その中でお勉強を頑張って、いわゆる一流大学に進学したお父様は、「大学受験だけ考えればいい、それまでは公立で十分なはずだ」という論調になると聞いた。
言わんとすることは分かる。私も、自分は公立小学校を出たし、小学校受験なんて概念は、子どもがその年齢になるまで知るよしもないことだった。全くの別世界の話で、必要性も感じていなかった。
ただ、自分の頃とは時代も違うので、子どもを取り巻く環境も違うだろうから、「自分のときはそれで良かったから、子どもだって同じだろう」と身勝手に判断するのは筋が通らない。
もちろん、同じ環境でも全く異なる成果を出す人もいる。逆境を跳ね返し、努力を積み重ねて成功した人たちもいる。しかし、それは環境の影響がゼロという意味ではない。その人たちにも、努力を継続できる何らかの支えがあったのではないだろうか。

できる人の環境には必然性がある

実際、自分の子どもの教育環境として、色々な選択肢は見てみたいと思い、関心のある小学校について調べてみたが、想像以上にバラエティ豊かだった。教育熱心で面白い学校がたくさんある。私は当時、小学校というものが合わな過ぎて、退屈でつまらない記憶しかないので、自分もこんな小学校に通えていたら、今の人生が変わっていたのかなぁなんて思わされた(必ずしも良く変わっていたとは限らないが)。
受験問題を見ても、いわゆるIQテスト的なものだったり、コンサル就活の筆記テストででるようなロジカルシンキング的なものだったりで、「小学校受験からこんな訓練をされるのか……」と驚いた。今思い返すと、小学校受験を経験していた高校の同級生は、やたらとパズル問題が得意だったとか、就活で一緒だった友人は「テスト簡単だった」とか言っていたとか、色々思い当たる節がある。

いつ何を吸収して今に至ったのか

彼ら彼女らは、「自分は努力してきたから」と思っているかもしれない。もちろん、それらを否定する気はないし、いくら環境が良くても努力しなかったら、上手くいかないのだから、彼ら彼女らが努力してきたのは事実だろう。でも、努力できることは環境に依存することの方が大きい気がするのだ。できない人に「努力が足りない」と言い放つ人も、自分が努力できたのは、その環境因子があったからだけかもしれないし、それは完全に因数分解することは不可能なのだから、できない原因を努力不足だけに限定するのはおかしい。
もしかしたら、あのとき親があの話をしてくれたから、かもしれないし、買ってほしい本を買ってくれたから、かもしれないし、一緒に旅行に行ったこと、かもしれないし、学校の先生が叱ってくれたこと、かもしれないし、喧嘩してくれた友人のおかげ、かもしれないし、若いころに付き合ってくれた恋人のおかげ、かもしれないし、今の会社の働く環境のおかげ、かもしれない。

大人になったら自分で環境を選ぶ

だから、自分を変えたければ努力も必要だが、ごっそり環境を変えた方がいい。子どもの頃は自分で環境を変えられなくても、ある程度の大人になったら自分で環境を選ぶことが大事だと思う。
ただし、環境を変えること自体が容易でない人もいるだろう。シングルマザーで働きながら学ぶ人、家庭の事情で自由が効かない人たちにとっては、それは単なる理想論かもしれない。だからこそ、小さな変化でもいい。自分が置かれた環境の中で、できる限りの選択肢を広げることが大事なんじゃないかと思う。
もしかしたら、今ある環境から抜け出す気力も、個人の意思や力だけではない影響があるのかもしれないが、少なくとも、努力不足という“表層的解釈”よりはマシな気がするのだ。
努力には、本人の意思や力も当然にして必要だが、そもそも努力できるかどうかは、その人の置かれた環境次第。とても残酷だけど、実は本質なんじゃないかなとも思っているし、そう思うからこそ、環境の大切さを理解し、自分を変えようとする人を支援する仕組みが必要だと思う。経営者の端くれとしては、自分を変えたいと強く思う人を採用したいし、安心して頑張れる仕事環境を提供したいと思う。

MAVIS PARTNERS プリンシパル 田中大貴

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