2.アソシエイト
印刷上司から部下への言葉遣いの配慮って必要?
2023-05-26
上司から部下への言葉遣いの配慮は無駄だと思っていた
「パワハラ」という言葉が一般的になってから時間が経ち、どこもかしこも人手不足に困っている昨今、世の中の多くの職場では、上司が部下に気を遣って、褒め方や叱り方を工夫しているように感じる。
例えば、部下に対して何かを指摘する際にも、「今でも十分やってくれていると思っているんだけど」とか「私の伝え方が悪かったのかもしれないけど」等、何か前置きをして、相手を傷つけない工夫をしている方も多いのでは無いだろうか。
コンサル業界でもこれは例外ではなく、某P社が「やさしいコンサル」と標榜したりするなど、以前と比べると、上司の部下への接し方はマイルドになっているのかもしれない(私自身もそんなに前のコンサルのスタイルを知っているわけでは無いが)。
私自身も、かつて一緒に仕事をしたマネージャーから、上記のようなフレーズを使ってマイルドに指摘を受けたことはあるが、むず痒い気持ちになってしまい、逆に「もっとストレートに言ってくれ!」と思ってしまったことをよく覚えている。
これまでの私は、「細かい言い回しを使うよりも、ストレートに伝えた方が、より相手に伝わるだろ!」と思っていたが、最近少し認識が変わってきた。
振り返ってみると、実は自分も上司の言い回しに影響を受けていた
最近、ひょんなことから「部下のモチベーションを向上するフレーズ」についての本を読む機会があった。そこには、上記で挙げたようなフレーズが沢山並んでおり、「本当にこんなフレーズを使うだけでモチベーションなんか上がるのかな~」と思ったのだが、そういった言い回しに自分が影響を受けたことは無いだろうかと振り返ってみると、少なからず影響を受けたこともあったなと気づいた。
たしかに、上記のようなフレーズはむず痒く感じてしまうのだが、例えば「たしかに井田さんの言っていることも間違いでは無いと思うけど」とかいうフレーズは、指摘される際の枕詞としてあることで、自分自身としても指摘を受け取りやすかった気がする。
結局のところ、程度の差はあれども、どんな人間でも言葉遣いや言い回し一つで、相手の言っていることの受け取りやすさは影響を受けるのだろうと思った。つまり、その人の性格あるいは年次等によって、使うフレーズのレベル感を調整するのが良いのではないだろうか。例えば、部下に何かを指摘するときであれば・・・
「私の伝え方が悪かったかもしれないけど」→新入社員や、ストレス耐性が強くない人。なるべく自分の責任に持っていく
「◯◯さえなければ完璧だけどな」→仕事に慣れてきてやる気が上がってきた人。なるべくやる気を落とさないようにする
「私だったらこうするけどな~」→部下を持って仕事に対する責任が増してきた人。自律性を尊重し、その人のやり方自体は否定しない
30歳という節目を迎えて“大人”になろうと思った
だんだんと自分の下に人が付いて仕事を進める機会も増えてきて、他人にアドバイスや指摘をすることも多くなってきたが、「自分はストレートに言ってもらった方が伝わるから、気を遣った言い回しとか無駄だ!」という考えは、少し思い上がり過ぎのような気もしてきた。結局、自分も無意識のうちに、上司からの細かい配慮に助けられていたのだと思う(そういった気を遣った言い回しが全く無い環境で生きてきた方も中にはいるのだろうが、少なくとも私はそうではなかった気がする)。
いわゆる打たれ強い人とばかり仕事をするというのは、今後さらに人材の取り合いが激しくなっていく中で、より難しくなってくだろうし、よく「鈍感だよね」と言われる私ですら、言い回しには影響を受けていたのだから、そういった気遣いというのも、今後絶対に無視できないことだと思った。
私も今年30歳になるが、諸先輩方を見習って、もう少し”大人”になって、自分より若い世代に接しても良いのかもしれないなと思った。
MAVIS PARTNERS アソシエイト 井田倫宏