4.プリンシパル
印刷アンラーニングの末に残るもの
2026-02-20

教育とは?
「本当の教育は、学校で学んだことをすべて忘れてしまった時に、なお自分の中に残っているものである」と言った人を知っていますか?アインシュタインさんが言ったそうです。私がはじめて知ったのは、確か中学生の頃で、テレビを通してだったと思います。なんかわかるようでわからないなと思ったことを覚えています。
ただ、歳を重ねると、意味がだんだん分かってくるところもあります。私が小学校や中学校で学んだことは、勉学的にはほぼないです。授業は退屈だったし、早く終われ~っていつも思っていました。特に、理科と社会なんて嫌いだから、知識も何も残ってない。よく同年代の人と、子供時代の話になって、「国語の教科書にスイミー載ってた?」とか盛り上がることがあるけど、私はほんと何も覚えてない。
でもなぜか記憶に残っているのは、小学校のときのH先生の優しさだったり、中学校のときのW先生の一生懸命さだったりします。H先生は、やたら優しかったし、いつでも生徒のことを信用してくれたし、ああいう大人もいるんだなと子供ながらに感心していました。W先生は、若くして担任を持ったこともあり、悪ガキの対応に大変そうだったけど、どんな生徒たちにも、真っ直ぐぶつかっていたなと思い出します。若ハゲになってしまって、可哀想だったな。今でも先生しているのかしら。
教育とは、そういうものなのかもしれません。自分の血肉になっているのは、そういう得体のしれない価値観なのかなとも思うのです。
アンラーニングせよ?
それは、社会人でも同じだと思います。私が転職して、真っ先に言われて衝撃を受けたのは、「これまで学んだことをアンラーニングしなさい」ってことでした。今まで当たり前にしていたやり方や、考え方、プロセスは、全部忘れて、今の環境でゼロから学べと。それで忘れてしまうぐらいだったら、これまでのキャリアで何も身についてないのと同じだとも言われました。
そう言われても、いっきにゼロにすることはできないですが、なるべく転職するたびに、これまでのやり方は一回リセットしてみるように心がけてきました。でもね、不思議と、残ってるんですよ。ゼロにしようと思っても、ゼロにできず、自分にこべりついているものがある。
例えば、クライアントにはここまでやらないと喜んでもらえないだろうという基準感、やるべきことを残したままその日を終えられない責務感、なんでも自分の頭で納得しないとモヤモヤする感覚など。それは、社会人になる前から持っていた部分もあると思いますが、こういう価値観的なものは、どうしてもゼロにできない。でも、それがまさにここまで教育されてきた証なのかなとも思ったりするのです。
アンラーニングとは、すべてを捨てることではない。むしろ、何が捨てられずに残るのかを知ることなのでしょう。
過去に縛られる人、飛び込む人
一方で、過去のやり方に強くこだわる人もいます。「自分はこうやって成果を出してきた」、「このやり方が一番だ」と。それで今の環境でも成果が出るなら問題ありません。でも、郷に入っては郷に従った方が、結果として得るものはある気がします。
面接でも感じることがあります。「これまでこういう仕事をしてきてこういう経験をしてきたから、それをここで活かしたい」と。普通に考えれば、至極真っ当な考えですが、別に、活かせるものがなくても飛び込んでみれば?と思うのです。結局、アンラーニングして新しい組織で、新しい仕事に向き合った方が得るものがあるなら、アンラーニングする対象がなくても問題ないわけです。むしろそっちの方が、余白がたくさんあっていいかもしれない。
「自分は、こういうものを、ここで、こうやって、活かせるはずだ」っていうのは、その人の考えに過ぎないんですよ。その人が考えついた、ロジックに過ぎないわけです。それに対して、全然思いつかないけど、びっくりするような関連性で、過去の経験が活きるかもしれない。そういう偶然性もあるというスタンスでいれば、もっと自由に生きられるんじゃないかなと思ったりします。
ミジンコの自覚
自分のことをロジカルだと思っている人ほど、自分のロジックで縛られている。実は考えつかないロジックも世の中にはあるはずなのに、それが見えていないから、自分のロジックが正しいと思い込んでしまう。言い換えると、自分の見えている世界が全てだと思っているわけです。本当の意味では、賢くないですね、それは。
だから、もっと自由に、偶然性を期待しつつ、興味のあることに飛び込んでみるような生き方をすれば、人生面白いんじゃないかなと思ったりします。自分のちっちゃい頭で考えたことなんて、このカオスな世界の中じゃ、ミジンコより小さい。そういう意識というかマインドが実は大事なんじゃないかなと思います。そして振り返ったとき、「あのとき飛び込んでよかった」と思える瞬間があるなら、それはきっと、アンラーニングがうまくいった証なのだと思います。
MAVIS PARTNERS プリンシパル 田中大貴








