1.アナリスト
印刷キャリアにおける”断捨離”の大切さ
2024-12-20
これまで築いてきたものの価値
私は12月に新卒から約4年半勤めた広告代理店を退職し、心機一転コンサルファームに転職をした。
前職時代は全社で仕入額TOP4に入るクライアントを担当しており、予算が大きいだけあって、案件の数が膨大であるにも関わらず、チーム人数は他とは大して変わらなかったため、少人数で夜を徹して、膨大な業務量を捌くハードスタイルな働き方をしていた。(新卒が配属されたくないチームランキング堂々の1位だったらしいという噂も)
そんなチームも予算が更に伸長するにつれ、新しく人を入れてもらえることもあったが、ハードワークさや求められるクオリティについていけず、すぐに他のチームに異動していく。そんな黒く輝くチームに在籍していた。
これだけを話すと、元いたチームに対する愚痴のように聞こえるかと思うが、私自身はそんなチームに在籍して生き残り続けていることに誇りをもっていたし、チーム在籍前と比べた成長幅に自負を感じていた。なので、MAVISに入った際もこれまで培ってきた能力を駆使して、「すぐに”バリバリのコンサルタント”になって活躍してやる!」そんな気持ちで入社日を迎えた。
一旦忘れるという大切さ
そして、入社して数週間まず思ったことは、これまで培ってきたものの矮小さだった。
会議での振る舞い、資料作成の進め方など、これまでも同じようなことをしてきたはずなのに、歯が立たないのだ。
もちろん、前職でPowerPointやExcelは使っていたため、そうしたスキルは最低限役に立つが、それすらも周りの社員と比べて大したことはないどころか、どちらかというと遅い方に入ってしまうし、論点設計や仮説構築力、メッセージ/ボディを考える力は、正社員はもちろん、インターンの学生と比べても、全然勝てないと感じてしまうほどだった。
前述の通り、前職で正直バリバリやってきたという自負があった私は前職で培ったスキルの延長線上にコンサルタントとしての成長曲線を描けると考えていたが、その考えが甘かったことをこの短期間で身に染みて理解した。
このような衝撃を受け私は、これまでの経験を”一旦忘れてしまおう”そう決意した。一旦まっさらな状態ですべてを吸収する素地を整えようと考えたのである。フランス料理屋の居抜き物件を、本格和食料亭がそのまま使うことが難しいように、広告代理店としての経験が逆にコンサルタントとしてのスキル習得の枷となってしまうと考えたのである。
“捨てるもの”と”捨てないもの”の整理
とはいえ、未来永劫捨ててしまう必要はないと私は考えている。あくまでも”一旦”捨てるのだ。
これから、多くのプロジェクトを経験して、コンサルタントとしての成長をしていく中で、前職の経験を振り返った時に必ず役に立つものがあるはずだと私は信じている。MAVISの先輩社員にもアドバイスいただいたことだが、広告代理店を経験した私だからこそ言える発言や、持てる仮説がきっとあるはずなのだ。ただ、コンサルタントとして一人前になる前に前職の経験を振り返っても、何が使えて、何が使えないのかがわからないと思っていて、むしろ前職で評価されていたことや、求められていたクオリティやスピード感に対するイメージがハードルになってコンサルタントとして速やかに成長していく上での障害になると考えている。そのために、過去の経験を忘れる決意をしたが、前述の通り、あくまで”一旦”捨てるだけなので実際の断捨離のように、ごみ置き場まで持っていくつもりはない。どこか心の中の物置にでも置いておいて、自分がある程度成長をしたあとに”捨てるもの”と”捨てないもの”の仕分けをするつもりだ。そのときに、過去の経験の中からキラリと光る何かを見つけられることを願っている。
MAVIS PARTNERS アナリスト 定永悠樹