1.アナリスト
印刷平成と令和は違う!
2024-10-18
日本人スポーツ選手が海外で大活躍!
海外スポーツ界における日本人選手の活躍が目覚ましい。米国野球のメジャーリーグでは、大谷翔平選手が前人未到の1シーズンにおけるホームラン数・盗塁数「50-50」という金字塔を打ち立てた。また直近では全米中が注目を集めるナショナルリーグ地区シリーズ最終戦で、両チームの先発をどちらも日本人選手(山本由伸選手、ダルビッシュ有選手)が務めた。もちろんドジャースの1番打者は先述の大谷翔平選手である。ポストシーズンにおいて、かつてこれほど複数チームの日本人選手に注目が集まったことはないのではないか。
世界で最も競技人口が多いスポーツであるサッカーにおいても、欧州において日本人選手が旋風を巻き起こしている。20年前に海外でプレーしていた選手は数えるほどしかいなく、海外クラブチームに所属をしているだけでも特別な選手であると思われていた。ところが昨年9月時点ではなんと79名もの選手が欧州サッカークラブに所属をし、強豪チームのスタメンに名を連ねる選手も少なくない。他の多くの競技でも同様に、日本人選手が海外で活躍するケースが年々増加している。
日本国内に漂う閉塞感
海外において日本人スポーツ選手が大活躍をしている一方で、日本国内はどうか。経済は平成時代から「失われた30年」と呼ばれ、名目GDPでは令和も6年が経過した今年、ついにドイツに抜かれ4位となってしまった。実質賃金が下がり続けるほど、現役世代の税負担割合が上がり続け、将来への見通しがなかなか立たないとまで言われている。海外で日本人スポーツ選手が大活躍する華々しさとは対照的に、日本国内では閉塞感が漂っているが、ここではその原因の一端について触れる。
田舎に住んでいると、かつてはこういった声を聞いていた。「かつて商店街が賑わいを見せていたが、いまはシャッター街となり商店街に人はほとんどいない。郊外にできたスーパーマーケットでは何でも揃うから、みんなそっちで買い物をするんだろうね。」と、商店街にあるお店の店主がこれからスーパーマーケットに向かう道中でこんなことを言っていた。なんとも皮肉な話であるが、商店街のお店の方が自ら商店街の外に買い物に向かうくらいなのだから、一般の市民はよりそういった傾向が強かったのだと思う。
時代は令和!
しかし、先述の傾向は平成時代の話であって、時代は令和、スーパーマーケットですら苦境に立たされている。その原因はDX化である。人々は昭和時代には商店街、平成時代にはスーパーマーケットや量販店、そして令和時代にはPCやスマートフォンを用いて自宅でショッピングをする。日本経済新聞によると、「検索はグーグル、会議はチームズやズームが当たり前。アマゾンで買い物をし、ネットフリックスやユーチューブで好きな映画やドラマ、動画を見る――。いまや多くの人にとって日常の光景だろう。こうしたサービスのほとんどは、海外のIT(情報技術)企業が提供している。ふだん意識することはないかもしれないが、使うたびにチャリンチャリンとお金が日本から海外に出て行くわけだ。」とある。日本の財務省によると、グーグルやマイクロソフトといった巨大テック企業への支払いなどで生じるデジタル赤字は、2023年度に5.5兆円に達した。5年前の1.7倍で、新型コロナウイルス禍の収束で急増した旅行収支の黒字(4.2兆円)をまるまる打ち消してしまう規模だそうだ。
私たちが日々使っているデジタルサービスは、海外勢が圧倒的に強いために今後もデジタル赤字は増え続ける公算が大きい。こういった競争力の弱さが円安に繋がり、ひいては実質賃金の低下の一因につながっているのである。
日本の未来は国民一人一人に懸かっている!
私の中学~高校時代であった2007年前後はガラケー全盛期であったが、いまではスマートフォンに取って代わられてしまった。ガラケーといえば国産機が中心で、当時は各社がそれぞれ独自の商品を開発・販売し、消費者は好みに合わせて購入をしていた。一方で現在のスマートフォンは、iPhoneかそれ以外かといった画一的なものとなっており、海外輸入品が中心となっている。国内出荷台数のデータ を見ると、2007年の49,549,000台をピークに2023年は6,516,000台と国内市場は衝撃の87%減になってしまった。このような変化が各業界で起きているのだとしたら、それこそが経済の停滞に繋がっているのである。
このような時代において、我々日本人はどうしていくべきか。正直言って具体的な解決策を論じる段階にはない。しかし、国民一人一人がいまゆっくりと静かに起きている円の海外流出に課題意識を持ち、国産商品の価値創出の大切さに勤しむことができれば、この流れに少しずつでも抗うことができるのだと考える。政治のせいにしたがる気持ちもわからなくはないが、すべてがそれだけの責任であることは決してない。我々の未来は一人一人に懸かっているのだということを自覚し、この令和時代を過ごしていこうと思う今日この頃である。
MAVIS PARTNERS アナリスト 大橋建太
一般社団法人 電子情報技術産業協会 携帯電話国内出荷台数推移(年度) https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/cellular/2021/03.html#:~:text=2021%E5%B9%B43%E6%9C%88%E3%81%AE,79.9%EF%BC%85%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82