3.マネージャー

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初心忘るべからず

2024-05-10

初心忘るべからず

証券会社時代のメモを振り返ると・・・

私は新卒証券会社でリテール営業をしていた。当時は、配属初日から飛び込み営業をさせるのが会社(業界?)の習わしだったので、右も左も全くわからない状態で、「今日から毎日200件飛び込みして、名刺を10枚もらってこい。今週の目標は口座開設3件だ。とりあえず自分が思うようにやってみろ、では行ってこい。」と言って放り出される。
もう10年以上も前だが、支店に配属された初日のことや、初めて飛び込みをした対象先のことや、その時の迷惑そうな視線は今でも鮮明に覚えている。時には怒鳴られながらもなんとかやって3‐4年もすると多少のことには動じない証券マンが誕生する。
私も4年目の時には大きなお客さんも出来て、仕事の成果も目に見えて上がり、週末には早く月曜日になって仕事がしたいと思っていた。先日、データ整理をしていた時に、過去のメモ帳の中から4年目当時の自分が、仕事・営業をする上で大切にしていた考え6か条のメモ帳を発見した。改めて読み、当時と今を比較して気づかされることも多かったので改めてここにまとめたい。

①自信をつける努力をする

同じセールストークを使っていても、自信をもって説明した時と、そうではない時では、当たり前に成約率が違う。自信は、自分が納得するまで調査・分析して得られるものでもあるのだが、「毎日欠かさずにレポートを読んでいる」とか「毎日ジムで鍛えている」とか「ゴミのポイ捨てはしないし、なんなら道端のごみは絶対拾う」など誰にも恥じることはしていない、というような公明正大さもある。コンサルとしてクライアントに提案するときにも、自分自身が納得し、自信を持って説明できるまで調べつくすことは意識しているが、公明正大さみたいなものは忘れかけていたので改めて4年目の自分に気づかされた。

②言葉尻にまで気を遣う

これもセールスならば誰でも気を付けていると思うが、同じことを伝える、同じ内容の手紙を書くのでも、言葉の使い方や表現一つで印象が全く変わる。これはコンサルでも全く同じで、提案してクライアントに動いてもらわなければならないので、クライアントに伝わるように、伝わるだけではなく刺さるように、言葉遣いには気を遣っている。

③最後はお客様に選んでもらう

セールスは“押し売り”になってしまいかねないのだが、そうではなく「自分が選んだ」という感覚を持ってもらうことが大事だと当時考えていた。コンサルは単発で商品を売るわけではないので、あまり押し売りとなってしまう機会が少なく、今ではそこまで意識していなかったが、「自分が正しいから、この提案に従うべきだ!」と驕った姿勢にならないよう、謙虚さは意識しなければと改めて思った。

④何にどれだけ時間をかけるのか考える

これはコンサルの今の方が間違いなく意識している。まさか当時社会人4年目のセールスマンの私もメモをするほど意識していたことは記憶になく、我ながら驚いた。ただ確かに、リテール営業として当時2-300件の顧客を抱える中で、顧客からの依頼全てを自分で捌き切れるわけでもないし、提案の確度を上げるために出来ることにも限界がある中で、漫然と仕事をしていてはダメだと思っていたような気がする。

⑤商品ではなく考え方を売る

“商品ではなく考え方を売る”ことこそまさに4年目の自分が理想としていたセールス像だった。証券会社のセールスには、「XX社の株がキテます!」とか、「XXが儲かります!」みたいな提案で商品が売れる人もいたが、「XXというトレンドでXX業界が注目されている。このトレンドはまだ続くと思うのでXX業界にベットしましょう」とか、「金融政策がこうなると、金利がこうなり、その結果XXXとなるはずだ。この考え方に納得するならXXXに投資するのも一案だ」という考え方を説明するセールスもいた。どちらも結果を出せばいいのだが、私は後者の方がかっこいいなと思っていて、“自分は商品ではなく投資戦略を売っているのだ”と思うようにしていた。コンサルも、答えを売っているのではなく、答えに行きつくまでのアプローチを提案して一緒に検討をしているので、今の仕事が向いているのかなあとも感じた。

⑥1回1回の面談の目的を明確にする

リテール営業だと目的もなくふらっと立ち寄るとか、毎回提案する前提でアポを入れる、とか成約までの絵を描かずに、出たとこ勝負みたいなことができてしまうのだが、それだとダメで、「今回は仲良くなる、次回課題を聞く、その次仮提案をしてみて反応を聞いて、4回目の提案で大きな案件を成約する」みたいな道筋を描いて営業しよう、と意識していた。これはPJとして仕事をしている今の方が意識している。

全て言われてみれば当たり前のことなのだが、今の方が意識していることもあれば、当時の方が意識していたこともあることに気づかされ、改めて初心に戻って頑張ろうと思った次第である。

MAVIS PARTNERS マネージャー 渡邊悠太

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