1.アナリスト
印刷「やることになっている」仕事、いつやる?
2025-07-25

仕事の優先順位
皆さんは、仕事にとりかかるとき、まず何を考えるだろうか。締め切りが迫っているもの、締め切りはまだだが時間がかかりそうで早めに手を付けておかないといけないもの、まだ余裕があるものなど、優先順位を決めて取り掛かるはずだ。
「仕事をするときは、優先順位を決めてやりなさい」ということは、誰でも言われてきたことであるはずであり、優先順位を考えて取り組まないと、社内外に迷惑をかけることになるし、自分の首を絞めることにもなるので、忙しければ忙しいほど、取り組む順番は重要だ。
優先順位が高いものとしては、コンサルの場合は、クライアントの関心度合が高いもの、プロジェクトの大筋に関わるもの(報告会などを含む)などが挙げられる。反対に、関連はしているけれどもクライアントの関心事からは外れているものなどは、優先度が低い。
1つのプロジェクトに関して、優先順位が高いものを「幹」とするなら、優先度が低いものは「枝葉」にあたるだろう。枝葉の中には、これは「後で必ずやる」と決めている「枝」もあれば、「余力があれば」と思っている程度の「葉」もある。
しかし、やるべきことを並べてみると、「余力がなくても」、「やることになっている」、しかし「幹」ではない、枝と葉の中間にあたるような仕事があるように思う。こういった仕事を抱えたとき、皆さまはどのように優先順位を考えているだろうか。
「やることになっている」仕事
枝と葉の中間の仕事に関して、「やることに“なっている”」という点は、優先順位をつける上で要注意と思う。どういった背景でその仕事が出てきたかにもよるが、少なくとも、なんだかよくわからないけどルーティーン化していて「やることになっている」ものや、上司がなんの気なしに「やっといて」と指示して「やることになっている」ものなどは、「そもそもそれはやる必要があるものなのか?」という点を考える必要があるだろう。
以前(前職)、上司に「こういうスライド作って」と毎日のように言われ、「他にもやりたいことがあるんだけどな…」と思いながら、都度指示通りに対応したら、後日、「こんなにスライドあっても使いづらいな」とぽろっと上司がこぼしたことがある。「あなたが言ったんでしょうが!!!」とその当時は思ったが、今思えば、私自身も何も考えずに手だけを動かしていたなと反省している。
反対に、上司に指示されたものを、「ちょっと忙しいから置いておこう」と放置していたら、「あれ、今日使いたいんだけど」と言われ、撃沈したこともある。ぱぱっと1時間だけ捻出すれば終わっていたものを、頭の隅に置き続けて憂鬱になりながら、結局最後には怒られる、という最悪なパターンだ。
こうした、なんだかよくわからない「やることになっている」仕事に対して、「やる必要がないのに時間を使う」、「やる必要があるのに後回しにしすぎて首が締まる」状況をきちんと自分自身が認識できているか、やる必要があるものをいかに早く手放せるか、という点が仕事の効率を上げる、気持ちよく仕事に取り組む鍵になると思っているし、誰かが「やる必要があるのに後回しにしている」状況に気づいたときには、できる範囲でぱぱっと気づいた人がやってしまうことも、チーム全体で仕事を進めていく上ではときに重要と思う。
下っ端としてできるこ
こうした「やることになっている」仕事は往々にして、組織の下っ端(コンサルの場合は、アナリスト)が抱えがちである。上司は「幹」に関して考える時間が多いはずであるので、むしろそれが健全であるはずだ。学生時代の部活動で、「下っ端は何もまだできないんだから、声くらい出せ!」というのは本当にそうだなと個人的には考えていて、上司と比べてプロジェクトの要になることを担えるわけでも、その責任を取れるわけでもない間は、上記のような「やる必要がある」、「やることになっている」仕事をいかにぱぱっと終わらせて、上司の思考・仕事に食らいついていくことが、下っ端としてできることであり、自分自身も意識したいなと思っているポイントである。また、「やる必要がない」のに「やることになっている」ものにいち早く気づきテコ入れできるよう、日ごろから仕事の優先順位を考える中で「本当に必要な仕事か?」という点を自問自答したい。
MAVIS PARTNERS アナリスト 神尾唯