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コンサルタントと大型連休

2025-05-09

コンサルタントと大型連休

事業会社における大型連休とコンサルティングファームにおける大型連休

大型連休は多くの労働者にとって心待ちにされている。事業会社からコンサルティングファームに転職して感じた違いのうちの一つが、この大型連休に対する認識である。
多くのコンサルティングファームの契約は、プロジェクト単位の月額固定報酬が主流となっている。クライアントが支払う月額固定のフィーは、コンサルタントの稼働日数やカレンダー上の休日に紐づくものではない。それは、その契約期間全体を通して創出されるべき価値への対価である。ファン視点でプロ野球選手が休日か否かによるパフォーマンスやコミットメントの違いなどを考えないことと同様に、クライアントにとっても「その期間に大型連休が含まれていようがいまいが、月末に期待する成果は変わらない」ということが当たり前だとコンサルタントである私自身も認識している。クライアントの関心は、支払ったフィーに見合う成果が、約束の期間内にもたらされるか否か、その一点に尽きる。

なぜ期待に応え続けるのか

第一章で述べたように、クライアントの期待はコンサルタントの休日の有無とは無関係に、常に存在し続ける。では、なぜコンサルタントは、時に厳しいこのプレッシャーの中で、なおクライアントの期待に応えようと努力を続けるのであろうか。
私自身、事業会社からこの世界に飛び込み、実感している一番の理由は「業務を通したクライアントへの価値提供そのものから得られる純粋な喜び」である。クライアントの事業や組織が良い方向へ変革していく過程に深く関与し、その成功に貢献できるという使命感は大きなモチベーションとなる。
また、知的好奇心が満たされる喜びも大きい。コンサルタントの仕事は、複雑に絡み合った事象を分析し、本質を見抜き、解決への道筋を構築していく、まさに知的な挑戦の連続だ。難解なパズルを解き明かすような達成感は、何物にも代えがたい魅力を持っている。

コンサルタントの大型連休の過ごし方

では、コンサルタントはどのように大型連休を過ごすべきであろうか。重要なことはクライアントに最大限価値提供できるように戦略的に自己をマネジメントすることであり、これには個々のコンサルタントに対して高い「自律性」が求められる。
必ずしも連休中に物理的に働き続けることを肯定するものではなく、弊社においても推奨されていないことは強調しておくが、世間が大型連休を迎える時期であっても、コンサルタントがクライアントの課題やプロジェクトの成功を常に念頭に置き、思考を巡らせることはときとして必要不可欠となる場合があることは事実である。
一方で、高いパフォーマンスを維持するために自身の心身のコンディションを最適に保つための自己管理も必要であり、集中的に思考を深めるのか、英気を養うためにしっかりと休息を取るのか、あるいはその両方をバランス良く行うのかは、個々のコンサルタントの計画性と判断に委ねられる。
この業界に身を投じてから、早3ヶ月が経とうとしている。日々、目まぐるしく変化する状況の中で、クライアントに最大限の価値を提供できる一流のコンサルタントになるためには、専門知識や分析スキルはもちろんのこと、ここで述べたような「自己管理能力」を含めた、極めて高度な自律性が不可欠であると痛感している。大型連休もまた、その自律性を試され、そして磨くための絶好の機会と捉えたい。常にクライアントの期待を超える成果を追求し、信頼されるプロフェッショナルを目指して、自己研鑽に励む所存だ。

MAVIS PARTNERS アナリスト 西井建人

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