1.アナリスト

印刷

新人は自分を客観視しすぎるな

2025-05-16

新人は自分を客観視しすぎるな

育児とキャリアのジレンマ

私はこの4月より、産休・育休を経て、1年ぶりにMAVISに復帰した。早1か月半が経とうとしているが、出産前とはまるで変わった生活になっていて、日々奮闘しているところだ。
今の生活は、大変だがそれなりに充実している、と思う。ただ、この「充実していると認識できる」状態の自分に「ピントを合わせる」ことには、だいぶ時間を要したので、今回はその点について触れたいと思う。
とくに、出産してからしばらくは、周囲と自分を比較してしまうことが多く、充実とはかけ離れた感覚を持っていた。体はボロボロ、化粧もせず、ぼさぼさの髪でただ子供といる日々を送っていて、ガラスに映った自分にギョッとすることもあった。寝不足の中、少しSlackを開けば、MAVISメンバーが各プロジェクトについて喧々諤々議論しており、自分にはそれらについて考える時間も体力も残ってない。自分で望んで出産し、幸せなはずなのに、社会から一人取り残されたような気持ちになり落ち込むことも多かった。
小学校から大学まで、また社会に出てからも、「男女平等」と言われる中で頑張って走ってきたのに、20代後半の貴重な時期に空白ができたような感覚で、覚悟していたはずのことなのに、「社会の中の私の存在」、「輝いている友達との差」みたいなことをぐるぐる考えてしまうのだ。(多くの女性は共感していただけるのではないか。)

一回ごちゃごちゃしたことは忘れてみよう

とはいえ、こうした思いを抱き続け、自分を遠くから見て悲観的になりすぎても、何か状況が変わるわけでもなければ、育児を投げ出してよいわけでもない。目の前には、今にも息が止まるかもしれない命があり、向き合うしかない。
自分の中でごちゃごちゃ考えたり、(もちろん、周りを頼りにはしているが、)夫や両親に悩みを垂れ流すより前に、今の自分に与えられた役割をまずは全うしようと思えたときに、ようやく、自分は「充実している」ことを認識できた気がしたのだ。
どうせ遊ぶならと、100円ショップで材料を買っておもちゃを作ってみたり、どうせ出かけるなら、いつもは行かない公園まで連れていってみたり、どうせあやすならと、子供の目の前で全力で踊ってみたり。どの瞬間も子供はニコっと笑ってくれて、思い返すだけでその笑顔が宝物で、これを充実と言わないなら、何を充実といえようか、とまで思うことができるようになった。

すぐに転職してしまう新卒に思うこと

最近はよく、配属ガチャに外れてすぐに仕事を辞めてしまう新卒が多いとニュースでも目にする。育児と仕事は全然違うもの(環境を変えられるもの)ではあるが、同じ新人として思うのは、おそらく、冒頭で触れた私と同じように「今の自分が社会から見てどうか」とか、「本当の私とは?」のような、その瞬間に遠くから自分を見ても、何も生まないことをぐるぐる考えたりしている人も多いのではないか、ということ。
そんな新卒の皆さんへ、まずはコピー取りでも、お茶出しでも何でも与えられた役割の中で自分ができることを考えてみる瞬間を挟んでもいいのではないか。(精神的に病んでも続けてみなさい、ということを言いたいのではない。)
自分自身、仕事の面で思い出すのは、前職に新卒で勤めて2年目の時に、「意味ないことばかりやらされるし、転職しようかな~」と家族に愚痴をこぼしていたら、「転職するのはいいけど、なんでもやってみて、組織のダメなところを自分が納得できるくらい指摘できるようになってから辞めれば?」と父に言われたことだ。その言葉もあり結局5年目で転職することになったのだが、それまで頑張って続けてよかったと心から思うし、心残りもない。
自分を客観視しすぎて悲劇のヒロインに見立てて逃げても、自分のその瞬間の能力が変わるわけではない。何か1つでも“これを得た”と思えるものをがむしゃらに見つけてから環境を変えても、この人生100年時代では、遅くないのではないか。

MAVIS PARTNERS アナリスト 神尾唯

Contact

お気軽にお問い合わせください

お問い合わせフォーム