4.プリンシパル

印刷

成長しない会社の環境の特徴3選

2024-05-03

成長しない会社の環境の特徴3選

変わるかどうかは本人(クライアント)次第

面接では、候補者に対して、「こういう仕事をしているよ」、なんてポジティブな話をすることが多いが、コンサルタントとして、毎日やりがいを持って仕事できているかというと、必ずしもそういうわけでもない。どんな仕事でも同じだと思うが、正直、私だって気持ちの浮き沈みは多少なりともある。基本的に(9割ぐらいは)、仕事は楽しくしている方だと思うが、稀に、気持ちがげんなりするときは、決まって同じ。「こういうところがこの会社良くないんだよなぁ」と気づいてしまったとき。
「え、それを良くするのがコンサルタントじゃないの?」と思われるかもしれないが、医者と患者の関係性と同様に、本人が治したいと思ってないものは治療できない。企業再生案件で、是が非でもこうすべきだっていう状況なら別かもしれないが、基本的に、世の中で言えば相対的に優良企業からのご依頼の場合は、死活性もなく、緊急性がそこまで高くないことの方が多いわけで、本人(クライアント)に意思がなければ変わることはない。問題箇所が分かっているのに直せないことほど、もどかしいことはない。

老害を蔓延らす環境

この会社だめだなって感じる環境の1つは、老害が蔓延っていること。老害は、自分の経験や知識でしかものを考えないので、自分の考え方以外は受け付けない。「それは知らない」、「そんなの分からない」と平気で言ってしまう。でも、本来それらは偉そうに言う事ではない。知らないこと、分からないことは、努力不足か理解不足なのだから、恥ずべきことだと思うが、そういう感覚がない。
加えて、そういう発言が周りから制されずに放置されている状況も良くない。諦められているのか、なんなのか。老害は、放置するから、のさばるし、蔓延る。指摘されないと、そういう態度で良いと思ってしまうので、余計わがままになる。しまいには、よくわからない理屈で、根拠もなしに、「~をもっとすべきだ」論をマウント取り気味に宣う。いやいや、それはもう説明したでしょ、聞いてなかったの?ということばかり。私が意見したならば、後で、他の人から「そういうのは控えてください」なんて言われたこともあった。

その場で意見を言わない環境

そして、会議参加者の顔を見て、空気を読んでいるつもりなのか、それが生産的だと思っているのか、その場で意見を言わない環境にも辟易してしまう。後から、「本当はこう思っていた」なんて意見が出てくる始末。いやーだったら、さっき言えばいいじゃないと思うが、言わない。「あの人に言っても無駄ですからね」なんて、賢ぶる始末。そして、老害は本人の知らぬところで“欠席裁判”される(可哀想)。
そういう風に物事を進めていきたいならば、コンサルなんて呼ばない方がいい。やるべきことがあるからコンサルが起用されているわけであって、社内事情を慮る必要があることは否まないが、それを第1優先させてしまうならば、コンサルを起用した効果は半減してしまう。いつものぬるい環境にコンサルを呼び込んで、そこに染めた状態で働かせようとするのは、コンサルに足かせをはめながら仕事させるようなもの。(そもそも、コンサルという人種は、政治的なものが苦手なピュア人が多いのに)

上司の仮説ありきの環境

他、いくらファクトや数値を示しても、それを折り曲げて、自分たちの考えを合理化しようとする人はいるもので、自分たちの言いたいことを言うために、コンサルに裏付けさせようとするのもダメだと思う。自分でロジカルに説明できないから、そこだけをコンサルに任せようとする。それだと、自分たちの脳みそ以上の内容は生まれない。結果として、コンサルは“高級文房具”と化してしまう。
コンサルに対してそうだから、おそらく、上司が部下に対しても同様の接し方なのだろう。部下は上長が考えていることを一生懸命想像して再現しようとする。上司は、その再現性が高ければ評価して、自分の意図と違うものが出てくれば評価しない。ダイバーシティやイノベーションとは程遠い環境だ。かといって、そういう上司ほど、自分は部下の意見を取り入れていると思っているのが不思議な現象。

その会社のポテンシャル

クライアントの中に入り込めば入り込むほど、その会社のポテンシャルというものがわかる。思いつくところで挙げた、「老害を蔓延らす環境」、「その場で意見を言わない環境」、「上司の仮説ありきの環境」の3つの特徴をもっている会社は、100%成長しないと断言してもいい。もちろん、中の人が変われば、雰囲気も変わり、徐々に従業員の価値観も変わり、行動も変わっていくかもしれないが、そういうケースは、よほどのエースがその組織にジョインするか、人事的に大鉈を振るわない限り、ないだろう。
これまでコンサルタントとして、100社以上見てきた経験からすれば、相対的にどこが良いか悪いかは判別がつくものです。そして、どういう考え方が主流で、こういう切り口で考えるとこういうことがわかるよ、というものもストックがあります。もし、それが分からないなら、私の説明が悪いか、あなたの物わかりが悪いかのどちらかなので、「わからない」と突き放すのではなく、お互い精進しませんか!
……という考えをしている私ですが、賛同していただけるならば、ぜひ諸々ご相談くださいませ。

※本コラムの内容は、個人的な見解であり、所属する会社、組織とは全く関係ありません
※内容はノンフィクションですが、特定1社を想定したものではなく、複数社の記憶を組み合わせて書いています

MAVIS PARTNERS プリンシパル 田中大貴

Contact

お気軽にお問い合わせください

お問い合わせフォーム