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経験は所作に表れる

2024-01-12

経験は所作に表れる

初めて知った祖父の仕事

年末に、私事だが、祖父が逝去した。私は沖縄に住んでいるので、死に目には会えなかったのだが、葬儀には無事参加することができ、一段落しているところだ。ちょうど、今月末にお見舞いに行こうと思っていたが、想像以上に急に容体が悪化してしまい、あっという間に亡くなってしまって、最初は実感もなかったところだ。
祖父の葬儀の際に、どのような人生を歩んで来たのか、振り返るシーンがあったのだが、そこで、祖父がどのような職業に勤めてきたのか、など、私自身が生まれる前の話について聞いた。祖父はあまり自分を語らない人間だったので、それまで、そうした話を聞くのは、親からがほとんどだった。祖父は機械の設計を行う職に生涯就いていたようで、何となくは聞いたことがあったような気もするが、機械設計をやっていた詳しい話などは知らなかったので、もっといろいろと仕事のことについて聞いておけばよかったな、としみじみ思い、聞いていた。特に私は建築学科出身であるので、分かり合えたりする部分ももっとあったのでは、と今更ながら思ったりもする。

経験は所作に表れる

とはいえ、祖父が機械設計をやっていたことが、“意外”では全くなかった。祖父はかなり几帳面な方で、居間の机の上のものはきちっと並べていたし、祖母が亡くなって10年以上経つが、部屋が汚かったことは一度もない。何か線を書くときは必ず定規を使っていて、定規は常にペン立てに常備されてあったし、書く文字もフォントのようだった。「機械設計」と聞いて思い浮かべるイメージと違わなかったのだ。今思い返すと、仕事を辞めた後でも、生活の至るところに祖父の設計時代の経験が色濃く出ていたように思う。元々几帳面な性格だから設計を選んだというのもあるだろうが、設計をやる中でこだわりが強くなったというのも確かにありそうだ。
一種の職業病のようなものだとも思うが、こうした人が経験したことというのは、何かしら生活の中で言動に反映されるということを改めて感じた次第だ。
プライベートな間柄であれば、なおさら、そうした経験を聞いてその人の性格と結びつけて理解する機会を気軽・容易に持てるので、人を理解する上でもっといろんな人のいろんな経験をこれからは聞いていきたいな、と思った。

人への積極的な興味

そして、プライベートだけでなく、仕事上の関係であっても、相手を理解することは仕事の価値を出すためにも最も重要なことの一つである。もちろんクライアントと飲ませていただく機会をセッティングして、その人が経験してきたことをざっくばらんに聞いてみてプロジェクトに活かす、ということも一手ではあるが、日常の対話やいただくご意見の中にも、その方が、どの方向を見て仕事をする人なのか、どのような経験が背後にある方なのか、というのを予想することができる。振り返ってみても、仕事の場面でも、「あの方はXXという人だから、XXという言い方をした方が良いよね」とか、「あの方が○○と考えるのは、きっと○○という背景があるはずだ」等、言動の背後にあるその人の性格や経験を理解しようとする行動は自然と行っているし、それは継続していくべきであると思っている。
そう思うと、プロファイリングに近い話になるのかもしれないが、少なくとも、クライアントに対して「あなたを理解したいです。」という意思を示しておく、ということは、プロジェクトを進行する上では重要なことだろうと思うし、もっと前のめりになってもいいのだろうな、と今回のことで改めて感じたところだ。「もっと聞いておけばよかった」と小さな後悔を積み重ねないように積極的に「人を理解する」ということを実践していきたい。

MAVIS PARTNERS アナリスト 神尾唯

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