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コミュニケーションの壁

上司/部下とのコミュニケーションに壁は感じるか?

M&Aコンサルティングの中でも、いわゆるPMIに関わるご支援をしていると、「取り組むべきは従業員の意識改革だ」とか「グループ会社社員の収益責任を強化しなければならない」などのマインド的な話になることが少なくない。本当に意識が低いのか否かを検証するために、我々コンサルティング会社が従業員へのインタビュー調査を行うことも多い。
先日も、ある企業に対して、職場環境に関して社員が持つ課題意識を把握する目的でインタビュー調査を行った。質問項目はいくつかあるのだが、その中の一つに「上司あるいは部下とのコミュニケーションにおいて、壁を感じる(取りにくいと感じる)ことはありますか?」という問いがあった。この類のコミュニケーションにまつわる質問はよくあるタイプの質問なので、皆様も一度は回答したことがあるのではないだろうか。もちろん企業によって結果は様々なのだが、「上司は壁を感じていないと言っているけど、部下は壁を感じている」パターンはよくある回答結果だ。だが今回調査を行った会社では「上司も部下も7割以上の人がコミュニケーションは取りやすい」と回答していた。
この回答結果を文字通り受け取ると、非常に風通しが良くフラットにコミュニケーション出来ているいい会社なんだな、と感じたが、ある社員からは「上司は友達みたい感覚で同僚と変わりない」というような少し気になる回答もあった。

悪い意味での“コミュニケーションの取りやすさ”

このコミュニケーションに対してもう少し深堀ってインタビューを進めていくと興味深い結果が得られた。いくつかご紹介すると

✔︎上司は部下に対するコミュニケーションに壁は感じていなかったが、部下に対して伝える内容や言い回しにかなり気を遣っているという回答が多かった

✔︎部下曰く、上司とのコミュニケーションの内容は雑談が多く、具体的な仕事の指示や自支店が置かれている環境など事業的なコミュニケーションは少なかった

✔︎自社の損益分岐点となるコスト水準は、課長くらいまでは9割以上の方が知っていたが、それ以下では半数程度しか知らず、そもそも聞いたことが無いという意見が多かった

こうした結果から、コミュニケーションに壁を感じていないというのは、(言葉を選ばずに言うと)当たり障りのない会話しかしておらず、会社の置かれている状況を伝え危機感を共有することや、社員をストレッチさせるような厳しめのフィードバックをしていないのではないか、という仮説が浮かび上がった。

上司・部下のコミュニケーションと親会社・子会社のコミュニケーションの共通点

会社という組織を運営していく上で、上司から部下に、自社が置かれている経営環境を正しく伝達し、健全な危機感を醸成し、自発的な行動をとらせる(時には上司が後押しする)ようなコミュニケーションが昨今ではより一層求められている。こういったコミュニケーションはチェンジマネジメントと言われる手法の一つだと考えられている。一方で、考えてみれば、こうしたコミュニケーションは上司・部下との関係だけではなく、親会社・子会社との関係性においても共通する部分があるのではないだろうか。子会社の置かれている状況をどのように認識しているのか確認し、時には親会社が株主として危機感を表明し、子会社に改善行動をとらせるようなコミュニケーションが必要だろう。(もちろん子会社に対するガバナンスの効かせ方によって必要なコミュニケーションは変わるが)
皆様の会社では、子会社とコミュニケーションは十分取れているだろうか?取れていると思っていても、それは健全なコミュニケーションといえるのだろうか?考えてみると新たな課題が見つかるかもしれない。

MAVIS PARTNERS マネージャー 渡邊悠太