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ステークホルダーは何を求めているのか?

企業は誰のもの?

皆さんは、ソニーの創業者の盛田昭夫さんの著書「MADE IN JAPAN」という本を読んだことがあるだろうか?社会人3~4年目くらいの頃に、ある知り合いから紹介されて読んだのだが、ものすごく熱い創業ストーリーが語られており今でも大好きな本の1冊である。
さて、先日この本をパラパラと見返していた時に、当時の自分がマーカーを引いていた箇所が目に留まったのだが、直近ご支援していたプロジェクトで調べたことと似たようなことが書かれていて、いつの時代でも似たような議論がされているんだなと感じた。(MADE IN JAPANの初版は1986年)

「日本の経営者に、企業の社会的責任は何かと尋ねたら、おそらく、大多数は企業の長期的な発展を図ることによって雇用を安定させ、従業員の生活を改善することだと答えるだろう。(中略)アメリカの経営者は、同じ質問に対してほとんどが、その責任の第一は出来る限り高い収益を上げ、株主に高い配当をすることだと答えるだろう。(以下略)」

よくある「企業は誰のものか?何のために存在するのか?」といった問いに対し、この本では、「日本では株主だけではなくて従業員のものでもあるという考え方が普通だが、アメリカは株主を重視した利益偏重型だ(だから日本の経営者の方が効率性や合理性だけではない優れた企業哲学を有している)」といったような盛田さんの考えが書かれていた。この主張の正否の議論は別の機会に取っておくとして、こういった議論は昔から延々と繰り返されてきたものなのだと改めて気づかされた。
上記のように、「企業は誰のもの?」という問いに対しては、大きく、「株主のものだ」という考え方と、「株主だけではなくステークホルダー全員のものだ」とする考え方が昔からあって、国や時代によってどちらの主張が強いかは変わるのだが、昨今ではステークホルダー全員のものだ、という考え方が強い。

ステークホルダーが求めているものは時代とともに変化している

では、企業がステークホルダー全員のものだとしたときに、各ステークホルダーは何を求めていて、どういう企業が各ステークホルダーから評価されるのであろうか。こちらを調べるにあたって、ステークホルダーを投資家・株主、従業員(応募者含む)、地域社会(行政や市民)、消費者、顧客などに分けて、1900年代くらいからの歴史を紐解いてみた。
細かい調査結果は割愛すると、結論、各ステークホルダーは、昔は、配当や給与、納税などの金銭的な要求が強かったのだが、豊かになってモノがあふれている現代になるにしたがって、企業の存在理由や長期的なビジョンを示すことも求めるようになり、ちゃんとした企業の商品を使いたいし、投資をしたいし、働きたいと感じている、ということがはっきりと分かった。
要するに、企業はステークホルダー全員のものだという考え方に立つ場合だとしても、投資家・株主のものだという立場に立つ場合でも、企業の長期ビジョンや存在理由をはっきりと示さなければならないのである。

企業の存在理由・長期ビジョンを検討する際の注意点

企業の存在理由やビジョンを示せ、ということはこれも昔から繰り返し議論されていることだとは思うが、近年の傾向を見るに、昔よりも“持続可能性”と“一貫性”が求められているように感じる。例えば、一昔前は企業の中長期戦略を描くといった場合には大体3~5年とか、長くても10年とかの目標を示す場合がほとんどだったが、今では10年後の2030年はもちろんのこと、30年後の2050年くらいまでのビジョンが求められている。さらには、そのビジョンに向けて今足元何をやっているのか?言っているだけではなく実際に行動しているのか?といった一貫性も強く求められている。皆様の会社で設定されている長期ビジョンは、“持続可能性”と“一貫性”の観点で各ステークホルダーの要求にこたえられるものになっているだろうか。

MAVIS PARTNERS マネージャー 渡邊悠太