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名前を覚えてもらってようやくスタート段階

M&A戦略 MAVIS PARTNERS コラム12

何故名前を覚えてもらえないのか

「北村さんはこの仕事お願いします。」

私の名前は北川だ。

この仕事を割りふっていたのは同じ会社の上司だ。私は基本的には他の会社に常駐しているので、今まで直接関りがないとはいえ、入社1週間というわけでもなく、何度か顔を合わせたこともある。

そして、この北村さんという呼ばれ方は1度目ではなく2度目だった。それも短期間の間に。

人は繋げて覚える

ショックを受けたわけではないが、何故名前を覚えられないのか不思議に思った。

なんとなく人の記憶のメカニズムは、パソコンの記憶装置であるHDDのようものがあって、そこの出し入れの制御を脳で行っていると思っていたが、調べてみると、どうやら違うようだ。

脳の全てはまだ解明されてないので、あくまで一説ではあるものの、広く有力であると捉えられているものをご紹介したい。

まず脳にパソコンのHDDとは記憶の仕方が異なる。パソコンのHDDは0か1を記録する物理的な物が入っており、それを磁気によって0か1の情報を記録。その後は0と1の情報を読み取っていくことで情報を再現することができる。脳は多くのニューロンと呼ばれる神経細胞によって構成されており、そして、記憶とはこのニューロン1つ1つを指すのではなく、複数のニューロンを繋いでいる結合部のシナプスの単位で行われているそうだ。このシナプスは1つの神経細胞に約1万個もあり、全体的な関係性を読み解くことで意味が取れる。

つまり、人は記憶をするときに無意識に何かと何かを繋げて記憶する。「会社の○○さん」「CMで流れていた○○」「初デートで行った○○」・・・・・・

そして、この関連性と○○に入るモノが強ければ強いほど記憶には残りやすい。記憶のしやすさを測る記憶度指数みたいなものがあるとすると、記憶度指数=関連性×○○のパワー ということになる。

記憶をしてもらえるチャンスを私は掴めていなかった

今回のケースでの初期状態は、関連性に入るのは「同じ会社」「同じ仕事を任されている」の2つで、○○のパワーは「北川和道」である。

1回目に間違われたのは、仕方ないとして、1回目に頂いたチャンスで、この掛け算をパワーアップすることができず、私は2回も名前を間違われることになってしまった。

名前を間違われながらも頂いた1回目の仕事は某社のM&Aの特徴についてのリサーチの仕事だった。参考になる記事を探し出して、そのURLを送ってください、というくらいのものだった。

私は言葉通りに参考になる記事を探して、そのURLを伝えた。それ自体には問題はなく受け取って頂けた。

その仕事の延長として2回目に違う仕事を割り振って頂いたときに、再度名前を間違われ「北村さんはこの仕事お願いします。」と言われてしまった。

もし1回目の仕事のときに、ただURLを送るだけでなく、某社のM&Aに関する資料と、自分なりの考えをまとめた素晴らしいパワポ資料で渡していたらどうなっていただろうか。このとき、相手の中には「期待を上回った資料を送ってきた人」「信頼できる」など、他の関連性も生まれ、更に「北川和道」個人のパワーも上がって、記憶度指数は高まり確実に名前を覚えて頂いていただろう。

仕事に妥協はしない、自分のパワーをあげる

今回は私の甘さゆえに、2度も名前を間違われることになってしまった。相手が求めていることは何か、言葉通りに受け取るのではなく、相手の期待の延長線上にあるモノを見つけ出して、答えていくように心掛けていくことが必要なのだろう。

ひいては自分のパワーを強化して、関連性が薄くても覚えてもらえるようになったら、コンサンタントとして1人前になるのではないかと感じるので、どうすれば自分のパワーが強化されるか日々考えて実行していきたい。

MAVIS PARTNERS アナリスト 北川和道