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MAVISはピカンテのごとく

M&A戦略 MAVIS PARTNERS コラム119

コンサルは実務経験が乏しいことを前提にしている

自分が経験していないことを相談される。そういう機会は、コンサルタントという仕事をしている以上、日常茶飯事だ。「知りません」「やったことありません」というのは、責任感の裏返しというポジティブな捉え方もできるが、悲しいかな、そのような反応ばかりしていたら、誰からも仕事を頼まれなくなってしまう。
なので、「コンサルになる前に、ちゃんと実務経験を積んでおけ。そして、それをコンサルティング業務に活かせ」というのは、至極真っ当な考えだ。それもあって、「新卒で実務もやってないやつがコンサルなんてできるわけがない」と言う人も多いのだと思う。
ほうほう。確かに、最もらしい言い分ではあるが、逆に、事業会社で実務経験が豊富だからといって、コンサルとして大成するわけでもない。それに、自分が経験できることなんて、限られた人生の時間の中で僅かなので、それがコンサルに直接的に役立つことは、確率的にも高くはないから、実経験でコンサルティングスキルをカバーするという考え自体がイマイチだと私は思っている。
経験できることに限界はあるので、(おおよそのコンサルタントがやっていることだと思うが)自身が経験してきたことの中で、類似したものがないかを探し、それを応用して、コンサルティング業務で活用する。或いは、無理やりでも、全く同じとはいかないまでも、類似経験やプチ経験をしてみるという工夫もできる。

最近、自社のパーパス・ミッション・ビジョン・バリュー・戦略について考えてみた

近年、各所からパーパス設定やミッション・ビジョン・バリューについて、ご相談を受けるケースが増えてきた。私自身に、それらを一部作成した実経験が1回、類似経験が学生時代に1回あったので、何が大事だったか、何に留意すべきだったか等、一生懸命思い出して、本相談の内容に当てはめて考えるようにしてきた。あのときこうだったから、本件もこうじゃないかとか、自分の場合はあれで失敗したから、本件でも気を付けなければとか。もちろん、座学として本も読んできたし、他社事例等も調べてきたし、識者にも話を聞いてきたし、相手が専門家や同業者じゃない限り、比べれば、私のほうが知ってることも多いだろう。ただ、やはり、どんなにスケールの小さい内容だとしても、自分の実体験や類似経験から思えること・言えることは、深くて広いのは確かだ。言葉に重みがあるというか、1次情報からの思考なので、それは筋として太くなって当たり前だ。
ただ、自身の経験から語れることも徐々に陳腐化してきた感が自分の中ではあり、せっかく会社を創って丸3年経ったのだから、自分の会社でパーパス・ミッション・ビジョン・バリュー・戦略を改めて明文化してみようという気になった。考える時間がいくらか掛かってでも一度創ってしまえば、今後同様の相談が来たときには、「うちの場合はこうです。これはこう考えました」と、自信を持って言える。
今回は、最近考えたことのうち、特に「MAVISの戦略」について語っていきたい。

コンサル会社もタイプはそれぞれ

わかりやすく、コンサルティング会社の簡単なタイプ分けからしていこう。
まず、「コンサル」と言って思いつくのは、キラキラの外資系ファームではないだろうか。いわゆる、戦略コンサルというやつだ。クライアントに対して、膨大且つ緻密な調査分析をベースにした壮大なる戦略仮説を提示する役割。内容によっては会社の向かう方向にも影響するもので、言い換えれば、「提言型コンサル」と言えるかもしれない。
次に、思いつきやすいものとしては、シンクタンク系ファームがあるのではないか。調査を主に行い、官公庁からの仕事も多い。おおよそ、ネットで転がっている調査レポートはこれらコンサル会社が執筆しているケースが多い。言い換えるならば、「調査型コンサル」か。よく弊社でも拝読し、ふむふむと勉強させてもらっているので、日頃より感謝している。
他には、ハンズオンで実行支援するコンサル会社もある。クライアント先に常駐して、デスクをもらい、そこでクライアントメンバーと一緒に仕事をするスタイル。「え、派遣とどう違うの?」と言われることもあるようだが、実質に違いがない場合が多いように思うので(個人的見解です)、ここでは「派遣型コンサル」と呼んでしまおう。近年、DXブームに乗っかって、このタイプのコンサル会社も増えてきたように思う。
このように、いろいろなタイプがあるが、コンサル会社としての優劣があるわけではなく、どのタイプにしろ、クライアントに対して付加価値を与えて、その対価として報酬をもらっている仕事には違いないということは強調しておきたい。

MAVISで大事にしていることは議論

さて、では弊社MAVISは、どのタイプのコンサル会社なのか。「提言型」?「調査型」?「派遣型」?
要素としては、重複している部分もあるかもしれないが、MAVISはいずれのパターンにも属さない位置づけだ。強いて言うならば、「共創型」と謳っている。クライアントと価値を共に創っていく。そんなイメージだ。
なので、MAVISで最も重視していることは、クライアントとの議論だ。MAVISのコンサルティングの本質は議論。調査することでも、分析することでも、資料作成することでもない。それらは議論に通じる作業にすぎない。クライアントメンバーと仮説をぶつけあい、思考を深化×進化させていく。一方的な提言ではなく、議論しながら、前に物事を進めていくのが肝要だ。
そして、「議論」と一口にいっても、ただ意見を言い合えばいいのではない。クライアントから意見を引き出す、こちらの意見とぶつける、思考を昇華させる。そういった一連の動作を、いかに純度高く回せるか。それが「議論」だ。私は「建設的衝突が大事」という言い方をよくするが、それを仕掛けて実行できるコンサルタントは非常に少ないように思う。コンサルとしての基礎体力が高くないと、議論は上手くできないと断言できる。

MAVISはクライアントの側にいる存在

MAVISは、クライアントにとって、“コンサルタント”よりも“パートナー”を志向している。クライアントが難題に立ち向かうときに側にいられる存在でありたい。時には後ろから支え、時には肩を組んで歩み、時には腕を掴んで引っ張っていくような存在。優しさも厳しさもあり、側にいてくれたら有り難く、頼もしい存在。それが“パートナー”のイメージだ。MAVISの理想のコンサル像でもある。だから、MAVISの社名にも“PARTNERS”を入れている。
先日、ふと読んだインタビュー記事にとても共感した。ドイツテレビ局のプロデューサーからドイツ語の通訳・翻訳までこなすドイツ人のお話だったが、コンサルタントとして感じるところが多々ある内容だった。下記のコメントは、まさに“パートナー”を体現しているなと感じた。

「私よりいい文章を書く人も、私よりいい編集ができる人も絶対にいる。でも、その人たちはその場にはいなかった。どんな理由であれ依頼を受けたのが自分だったなら、その分精いっぱいやるしかないんです」

Like a Picante!

MAVISでは目標管理シートがあるのだが、通称“ピカンテ”と呼んでいる。先日、新しく入社したメンバーに、「ピカンテという名前に意味は無いんですよね」と言われたが、実はある。昔、所属していた会社で、「自分たちはどんなコンサルで、どういう価値があるんだろうか」と、同僚と考えたことや話したことがあって、例えると、自分たちは“ピカンテソース”かなという結論に至った。

「辛さ熱さ(コンサルとしての仮説や提言)で料理の味(クライアント企業)を引き立てる、日常愛用される存在(どんなテーマでも相談できる)」という意味で。

そして、いつか独立したら、「ピカンテコンサルティング」という社名とかいいかもね、と笑い合って、その気持ちを忘れないように、目標管理シートの名前にして、それが継承されているという背景だ。(確かに、ここまで説明しないと目標管理シートの名前になっている意味は分からないだろう…)
MAVIS創立からの3年間を振り返ったとき、まさに、この「ピカンテ」が共創型とかパートナーの暗喩であり、MAVISの戦略なのだろうと再確認した。知られて真似できるような戦略は、真の戦略ではないと私は思っているので、MAVISの戦略として、対外的に開示していきたい。ピカンテのような戦略を標榜するコンサル会社を実現するには、それ相応の取り組みが必要であり、それが徹底されない限り、会社として成り立たない。だからこそ、「戦略」には競争力があるのだと思うし、MAVISがピカンテのようなコンサル会社を志向し続ける意味がある。MAVISコンサルタント1人1人が美味しいピカンテソースになれますように…

MAVIS PARTNERS プリンシパル 田中大貴