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クライアントの“パートナー”になるには?

M&A戦略 MAVIS PARTNERS コラム113

カジュアル面談でよく聞かれる質問の背景にある“コンサルに対する勘違い”

おかげさまで、7月でMAVISは4期目となる。もう4期目ともいえるが、まだ4期目。まだまだ一般的な知名度は皆無に等しい会社なので、当然MAVISという社名を聞いて「この会社に入りたい!」と思ってくれる人もいなければ、取引したことのない企業から「MAVISに仕事をお願いしたい!」と問い合わせがくるケースもほとんどない。営業に関しては、目の前のお客さんの支援に全力を出しつつ、MAVISを知っている会社を増やして、困ったときにMAVISの名前が浮かぶように“覚えておいてもらう”ことが重要だと思っている。採用に関しても同様に、地道に知っている人を増やすしかないと思っており、今年に入ってからカジュアル面談を実施していて、気づけば半年で200名弱と面談を実施した。これだけの人数と面談を行うと当然よく聞かれる質問というものがあるのだが、その中の一つに「自分はXX業界にいるのですが、この業界の知識や経験は活かせると思いますか?」というものがある。これに対しては、「活かせるものもあるし、活かせないものもあると思います」と回答せざるを得ない。なぜそんな当たり前のことを聞いてくるのだろうと不思議に思っていたが、おそらく私と質問者の間に、コンサルという仕事に対する認識の違いがあるのではと感じた。おそらく質問してきた人は「コンサルとは何かを教える仕事だ」と思っているのだと思う。

MAVISが考えるコンサルとしての価値

もちろん、高い専門性を持ち、“先生”のような立場で自分の持つ知識や経験を企業に提供することもコンサルタントの大事な仕事であると思う。それ自体を否定するつもりはないが、MAVIS(少なくとも私)が考える価値のあるコンサルタントではない。私が思う価値のあるコンサルタント像を極端な言葉で表現すると、“誰でも知っている情報を組み合わせて誰も思いつかない示唆を出せる”人である。というのも、今の世の中、ネットや書籍のみならず、有識者インタビューもしやすくなってかなり専門的な情報にも容易にアクセスできるようになってきた(もちろん限界はあるが)ので、相対的に“専門的な知識”というものの価値は下がっていると思っている。
また、業界知識はコンサル会社よりもクライアントの方が当たり前のように詳しいし、先進事例もクライアント社内で研究されている。かつてコンサルタントの武器であった戦略フレームワークなども、当たり前のように管理職以上の方々は習得されている。なので、クライアントが知らないことを教えてあげようと思っても、そもそもクライアントが知らないことが少ないケースが多い。これはレベルの高いクライアントほどそうだと思う。だからこそ、情報は誰でも知っているものと割り切って、そこから何が言えるのかといった示唆にしか価値がないし、ある情報とある情報を組み合わせたときに何が言えて、その結果クライアントにどんな気づきを与えられるか、といった頭の使い方(思考プロセスやアプローチ)をすることでしか価値は出せないと思っている。ただ、これは言うは易しなので、そうそう価値を出せるものではなく、こちらも必死に考えるしかない。

本当にクライアントから頼られる“パートナー”になるために

MAVISでは知識ではなく、“なぜそう考えたのか“というアプローチに価値があると思っているので、選考プロセスでもそれを評価できるような課題を課している。課題のスライドの分量は問わないが、結果だけではなく、なぜそう思うのかという思考プロセスを丁寧に説明してくれる人にMAVISメンバーは好感を持つ。クライアントもそういうコンサルタントを求めていると思うからだ。
一方で、今後さらにMAVISが頼られる存在になるためには、それだけではだめだと思っている。事業会社の人からすると、やはり最終的には“実行してなんぼ”の部分もある。実行するためには多くの人が納得するようなロジックが必要なのだが、実際にはロジックだけではなくて、「どの役員にどのタイミングで相談をして、誰を味方につけてどう実行に持っていくか」という社内的な泥臭い根回しが必要だと思う。これは要不要問わず、事実なのだから仕方がない。「社内的な事情は知らないが、ロジカルにこうすべき!」だけではパートナーにはなれない。ロジカルさもありつつ、クライアントの社内事情も理解して、確実に戦略を実行に移すサポートができるパートナーを目指していきたいと個人的には思っている。

MAVIS PARTNERS マネージャー 渡邊悠太