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提案を相手に気持ちよく受け取ってもらえるには

M&A戦略 MAVIS PARTNERS コラム17

気持ちのいい提案方法とは何か

「全て応対していますよ」

これは私が、クライアントにどう提案したら相手は気持ちよく受け取ってもらえるかと悩んでいたときに弊社MAVISの社長が言っていた。曰く、普段から他の人がどういう提案の仕方をしているのかを知るために、来ている営業メールや電話には全て応対しているとのことだった。

コンサルタントとして相手にアドバイスをしたり、場合によっては相手の意見に反対したりする場面がある。とはいえ、相手はその道のプロであり、しかも大体が目上の方で、駆け出しコンサルタントとして少々気後れすることが多々ある。相手からすると、「こちらはずっとこの道一本でやってきたのに何だこの若造は」という気持ちが生じてしまうのではないかと。

どうすれば相手が気持ちよく受け取ってもらえるような表現方法が身につくか悩んでいたが、なるほど社長の言う通り、提案される側に回って、どう提案されると自分は気持ちよく受け入れられるのか研究するのも1つの手だなと思い、その日から営業をかけられたら機会があったら逃さないように心掛けた。

ストーリー型

普段は心に防御壁を作っているので、あまり気づかなかったが、案外ほぼ毎日営業をかけられていた。飲食店の呼び込みからTwitterのダイレクトメッセージ、家に来る宗教の勧誘などなど。

その中で友人から、某外資系の生命保険の紹介を受けたので、話を聞いてみた。

この生命保険会社の担当の営業手法は、共感型のストーリー営業だった。

私も生命保険はよくわからないし無駄だと思っていた

入るきっかけがあった

生命保険に入ったことによってこう変わった

私自身も生命保険なんて必要ないと思っている人間の1人だったけれども、今は生命保険に入るべきだと感じますよということを、生まれ故郷の話から始まり、大学の部活や彼女のことまで、一見関係ないように思える話もしていた。

人にはミラーニューロンと呼ばれる見聞きしただけで、まるで自分も同じ行動をとっているかのような錯覚を起こさせる神経細胞があるらしい。映画を見て同じように悲しくなり涙が出るのはこれのせいだ。共感型のストーリー営業では、関係ない話でもヒット性の高そうな話を散りばめて、相手が興味を示していたら広げて、とにかく共感してもらえることを重視しているようだ。

結論、この生命保険に加入して、毎月5万の支払いに苦しんでいるが、そんな時、生命保険会社の営業が言っていた「愛する人のために」という言葉を思い出すと苦ではなくなる。営業の話したストーリーは共感するポイントが何点かあり、ゴールまで提示されているので、この生命保険に入った私のストーリーも出来上がっているのだ。

一度ストーリーが出来上がるとブレにくさのような物を感じた。

提案の際の方法としてストーリー型はありかもしれない

よく、「伝えるときは要点を簡潔に」と言われて、私は言葉通りに簡潔に伝えることを心掛けていたが、それだけだと受け手の心に響かないのではないかと反省した。その要点にはどんな背景や思いがあって、結論が導き出されているのかを共有することが、受け手の共感や実行力に影響を及ぼしそうだ。

ある会社の社員の離職率が高く、特に買収された側の社員が7割方辞めてしまっていて、その理由を人事に聞くと、「会社が何を目指しているかわからない」という声が多かったそうだ。買収された側の社員のほうがより離職率が高かったことからも、ただ売上や販管費の目標数字を提示するだけではなくて、会社としてどういうストーリーを描いていくのかをセットで話したほうが、受け手は共感して実行に移してくれそうだ。

今後何かを人に提案するときは、要点は簡潔に、追加してどういうストーリーが背景にはあるのかを伝えることを心掛けたい。

MAVIS PARTNERS アナリスト 北川和道