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耳の痛いことほど根拠を明確に示す ~単なる悪口ではなく意味のある指摘に~

相手のマイナス面を指摘するときは必ず客観的な根拠を添えたい

コンサルタントという立場上、クライアントの現状や過去行ったことに対して、指摘をする場面というのが少なからずある。
例えば、クライアント社内で走っているプロジェクト全体を統括するPMOになれば、プロジェクト運営方法のインストールが、我々コンサルタントの一つの役割になるため、クライアント側の現状のやり方に対して、何が問題なのかを示し、その改善を促すことになる。他にも、クライアントの今後の事業戦略・M&A戦略を策定する案件に入れば、これまでの戦略の問題点や、今後の改善点を示すことになるなど、クライアントに対して何かしらの指摘をする機会は案外多い。
そういった相手への指摘をする際には、客観的な根拠を添えることを特に気をつけている。経験則や感覚ではなく、誰が聞いても納得できるファクトがあるかないかで、指摘の説得力は大きく変わってくるし、我々コンサルタントの価値も大きく変わってくると思っている。

客観的根拠の無い指摘はただの悪口に聞こえる

上述しているような指摘は、相手にとっては非常に耳の痛いことであることが多い。だからこそ、しっかりと根拠を示さないと、単なる悪口に聞こえてしまい、それが原因でそれ以降のコミュニケーションに支障をきたしたり、プロジェクトの推進が滞ったりすることがある。
「指摘」と「悪口」の大きな違いは、その目的にあると思っている。
「悪口」という言葉の意味を辞書(大辞泉)で調べると、”他人を悪く言うこと”と出てくる通り、その目的は他人を悪く言うことにある。一方で、「指摘」という言葉を辞書(大辞泉)で調べると、”人の言動・仕事などの誤りや欠点を指摘し、正すべきであるとして論じること”と書いてあり、その目的はどう正すべきかを論じることにあると分かる。
どう正すべきかを論じるのであれば、その前段で問題点を示す際に、相手にもこちら側の言っていることに納得してもらう必要がある。そのために、客観的な根拠は不可欠なのではないだろうか。

根拠を分かりやすく伝えることで信頼を得られる

以前、クライアントのある部門長にコスト削減の問題提起をしたことがあった。決して根拠の無い指摘ではなかったが、言われた側の部門長は、自分たちの苦労も知らずにコストを下げろと言われていると感じてしまい、その後のコミュニケーションに苦労してしまった。これは、我々コンサルタント側が、丁寧に根拠を伝えて説明をしなかったがために生じてしまったことであり、未然に防ぐことが出来た事態であっただけに、悔しさが残る経験になった。
一方で、根拠を明確に示すことで、指摘を通じてクライアントの信頼を得られた経験もある。
あるクライアントの事業戦略の見直しを行うプロジェクトの最終報告で、クライアントから「報告書の内容はほとんど前から分かっていたことだった」と言われたとき、プロジェクトマネージャーは次のように返した。
「その分かっていたことでさえ改善できないから、御社のXX事業の利益はXX円まで下がり、競合に対しても遅れを取っている。今回のプロジェクトの大きな成果として、それに気づけたこともあるのではないか。」
経営陣の怠慢・業績の悪化の2つの客観的なファクトから説明したことによって、クライアントからの評価は上がり、その後もご相談を受ける関係を築くことができている。

普段のコミュニケーションから企業間コミュニケーションまで”丁寧な指摘”が重要

ここまで述べてきたような”丁寧な指摘”の重要性は、普段の社内でのコミュニケーションでも言えることだと思っている。社内でも、他人に対して問題点を示し、改善のためのアドバイスをする機会があれば、明確な根拠を示すことは意識したい。
また、話を企業対企業のスケールまで拡大させると、M&Aでもこの”丁寧な指摘”が重要であると言えるのではないだろうか。
M&Aでは買収企業と被買収企業との間のシナジーを追求することが多いが、その際に重要なのが、企業間コミュニケーションであるとよく言われている。両社にシナジーを生み出すためのアセットやノウハウが揃っていても、PMIにおいて経営陣や現場同士のコミュニケーションが上手く行かなければ、シナジーの発現は難しいからである。
例えば、コスト削減によるシナジーを追求する際には、買収企業が被買収企業に対して、これまでのやり方の見直しを要求することが想定されるが、当然その中では、現状のやり方に対する指摘が発生する。
こういったM&Aを成功させるための企業間コミュニケーションの文脈でも、客観的な根拠を添えた丁寧な指摘が重要になるのではないかと思った。

MAVIS PARTNERS アソシエイト 井田倫宏